TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】木曜日が大好き

執筆:渡辺友郎

2024年9月10日

『週刊プロレス』と『RURRN!』、『宝島』しか読まない高校生だった。

 子供の頃から、『週刊プロレス』の発売日である木曜日が楽しみでしょうがなかった(現在は毎週水曜日発売)。通学途中にあった、小学校の隣の今はもうないローソンで、早朝に届いた雑誌の束から週プロを荷解きしてもらって購入。貪るように、文字どおり隅から隅まで、バーベルの広告とかまで読んでいた。高校生になると、高校の最寄駅だった明大前と甲州街道の間に薄暗い本屋がポツンとあって、水曜日の放課後に行くと早刷りの週プロを買うことができた。町田までの帰路、小田急線の車内で週プロを読むのが至福の時間だった。

 アメリカに留学していた大学時代も変わらず週プロは日本から取り寄せて買っていた。金曜日の授業が終わると、ワシントン州タコマから愛車のI-5をすっ飛ばしてシアトルの『宇和島屋』へ直行。航空便で届いた週プロを「日本時間の木曜日中に買えたぞ!」と喜んでいた。ポートランドへ引っ越した後もシアトルから毎週送ってもらっていた。能天気でバカで、我ながら純粋だった。

 どうにか大学を卒業後、東京で働き出して数年。レコード会社で働き始めた頃から、忙し過ぎてあれだけ大好きだった週プロを購入しなくなっていた。それでも、別の理由で木曜日は1週間で1番好きだった。

 木曜日の夜に呑みに行くと調子がいいのだ。二日酔いに見舞われても、翌日さえ気合いで乗り切れば、週末は有効に時間を使えるからだ。仮にもし金曜日の夜に深酒したら、週末が台無しになってしまう恐れがある。木曜夜の乾杯は最高のルーティンなのだ。そうして毎週木曜夜に決まって呑みに行っていたら、「木曜日休みの愛人でもいるのか?」と奥さんに痛くもない腹を探られる、若干ハードな弊害もあるにはあった。でもやっぱり、“洗練された呑みに行くなら木曜日がベスト”は、シティボーイ達にもお勧めな、私的勝利の方程式だと思う。

 あと大好きな『秘密のケンミンSHOW極』も木曜日の放送だしね。やっぱり木曜日が大好きです。

プロフィール

渡辺友郎

1974年、東京生まれ。レコード会社にてビジュアル・プランナーとしてCDジャケットや物販アイテムの制作を担当後、2007年に独立してクリエイティブ・プロダクション〈Lodge ALASKA〉を設立。翌年2008年には、架空のレコードレーベルをコンセプトに、国内外のクリエイターがデザインを手掛けるTシャツブランド〈タコマフジレコード〉を始動する。犬とビールが大好物。

Official Website
https://tacomafuji.net/