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オリンピックのあとは、セカンドハンド。

2024年8月7日

 今回の特集はセカンドハンド、つまり中古品です。といっても、古着、古本、家具、生活雑貨、絵画、オブジェ、ポスター、骨董品、布、民芸品、おもちゃ……。そう、めちゃくちゃ広いんです。フリマや骨董市に行ったことがある人ならわかると思いますが、もう手に負えないくらい、いろんなものがあります。なかには、コレほとんどゴミなのでは? というようなものも見かけますが、一方では、それを喉から手が出るほど欲しがっている人がいたりもする、というのが、この世界の面白さだったりします。つまり、それが価値あるものなのかどうかは、自分で決めるしかない。“自分だけのお宝”を見つけることこそが、セカンドハンドの醍醐味なのです。

 とはいっても、大海原のようなセカンドハンドの世界から、何をどう探せって? というのが、この本のテーマです。ひとつ例を挙げると、他人とは被らない、「ジャンル」を何かひとつ見つけて掘る、というのはディガーにとって王道の探し方。例えば、「海外のぬいぐるみのなかでも、製薬会社のマスコットキャラ」「絵葉書のなかでも、箱入りのセット絵葉書」「マッチ箱のなかでも、柄に絵が描かれたフィーチャーマッチ」といった具合に。特集の中でも、21人の古いもの好きが偏愛あふれるコレクションを見せてもらいました。他にも、世界中の蚤の市でみんなが何を買っているか調査したり、東京中の古着屋や古道具店を回って気になるものを集めたり、NYの人気デザイナーと日本の骨董市に行ったりしながら、「こんなものを探してみるといいんじゃない?」という「視点」のヒントを、たくさん紹介しています。

 そしてもちろん、古いものとの出合いには、運も必要。いいものを見つけるためには、いいお店をたくさん知っておくことも大切です。今回の号には、日本全国の個性あふれるセカンドハンドショップの取材はページはもちろんのこと、これまでポパイが取材してきたお店や蚤の市を180軒以上まとめた「イエローページ」も付けました。オリンピックも終わって、残りの夏は何をして過ごそうかな〜というそこのあなた。まずは、ポパイを片手に、フリマに蚤の市に出かけてみるところから、セカンドハンドの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょう?

こちらは先日、旅行で行った、サマルカンドの蚤の市。と、そこで見つけた旧ソ連時代の北朝鮮のお皿という珍品。いつでもどこでもセカンドハンド。

柳澤耕平(本誌担当編集)