ライフスタイル

はじめての車、お金にまつわるQ&A。【前編】

2024年5月25日

車はともだち。


llustration: Kotaro Kimura
text: Ku Ishikawa
2024年6月 926号初出

 車を買いたい! でも、金銭的な面で躊躇う人も多いだろう。車両価格と維持費の相場は? 新車と中古で税金に差は出る? 2人の識者に聞いた、お金の話。いよいよカーライフが始められそうだ。

Q1. お店にずらっと並ぶ車、それぞれに価格が貼られているけど、その金額を払えば乗れる?

A1. 貼られているのは車両本体価格。その価格の10〜15%を足した総額がおおよその乗り出し価格。

「乗り出し価格」というのは、納車までにかかるお金のこと。購入の際に「乗り出しはいくらですか?」と聞けば、支払う総額を教えてくれる。車両本体価格の10〜15%プラスが相場で、20%ほどかかるものもある。ここには、国で定められている必要最低限の保険「自賠責保険」も含まれているが、補償されるのは対人事故の賠償損害(限度額付き)のみだ。

乗り出し価格に含むもの

・自動車税
・自動車重量税
・自動車税環境性能割
・リサイクル預託金
・消費税
・車庫証明の代行費用
・移転登録の代行費用
・納車費用

※一部抜粋

Q2. 車を維持するうえで、必要な経費って?

A2. 駐車場代、ガソリン代、自賠責保険代、任意保険代、税金(自動車税・自動車重量税)、車検代、点検代などが主な諸経費。

 最もイメージしやすいのは駐車場代にガソリン代だろう。駐車場なら屋根付きか屋根なしか、ガソリン代はガソリン車かEVかクリーンディーゼル車かなどで支払う金額に差が出る。どれくらいの頻度で運転するかによってここは差が出るので、どんな乗り方をしたいのかを見極めてほしい。任意保険代とは、自賠責保険以外に運転者が任意で加入し、支払う保険代のこと。保険内容によって金額は変わる。自動車税は毎年4月1日現在の所有者が対象になり、5月末までに支払うもの。車の年式や、重さや排気量、エコカーかそうでないかなどによって複雑に金額体系が変化する。車検は新車の場合、購入から3年後。それ以降は2年ごとに受けなければならない。一例だけど、新車でホンダのコンパクトカー「フィット」を購入したら年間の維持費は40万円程度で、日産のセダン「フーガ」なら56万円程度と試算されている。だいたい50万ほど、と覚えておこう。

Q3. 自動車税や自動車重量税はどの車も同じなの?

A3. 車の重さと排気量によって、税額が変わるよ。

 まず「軽自動車」か「普通車」どちらに乗っているかで税金の設定が大きく異なる。自動車税は「軽自動車」だと共通で10、800円。「普通車」は総排気量によって25,000〜110,000円。自動車重量税はその名の通り、車の重量が大きくなればなるほど金額が高くなる。新車であれば「軽自動車」は一律1年で3,300円、「普通車」は8,200〜49,200円だ。

自動車税+軽自動車税(年間)

軽自動車 ¥10,800/¥10,800
1000cc以下 ¥29,500/¥25,000
1000cc超 1500cc以下 ¥34,500/¥30,500
1500cc超 2000cc以下 ¥39,500/¥36,000
2000cc超 2500cc以下 ¥45,000/¥43,500
2500cc超 3000cc以下 ¥51,000/¥50,000
3000cc超 3500cc以下 ¥58,000/¥57,000
3500cc超 4000cc以下 ¥66,500/¥65,500

*左から、新規登録時期が2019年9月30日まで/2019年10月1日以降※一部抜粋

Q4. 新車も中古車も支払う税金の金額は同じなの?

A4. 登録から13年経過した車は、税金が高くなるよ。

 車が国内で初めて登録された年のことを「年式」というけれど、それから13年、18年と経過すると課税対象となる。これは排出ガスが少なく、燃費の良い自動車を税金で優遇することで、地球温暖化を防ぐという狙いがあるからだ。自動車税でいえば13年経過すると約15%、18年以上経過すると約20%の重課税。自動車重量税は、13年経過で約40%、18年以上経過で約50%もの重課税になる! なお、エコカーなどの減税対象車に関しては13年以上経過しても重課税は発生しないことも。保険の補償金が下がったり、修理にお金がかかったりというのもあるけれど、旧車はお金がかかるといわれる一つの理由が税金でもあるのだ。

自動車重量税(車検期間2年の場合)

軽自動車 ¥6,600/¥8,200/¥8,800
〜0.5t ¥8,200/¥11,400/¥12,600
〜1t ¥16,400/¥22,800/¥25,200
〜1.5t ¥24,600/¥34,200/¥37,800
〜2t ¥32,800/¥45,600/¥50,400
〜2.5t ¥41,000/¥57,000/¥63,000

*左から、登録年から13年未満/13年経過/18年経過(すべてエコカー以外)※一部抜粋

Q5. 任意保険はどういう基準で選べばいい?

A5. 他の補償は大きく変わらない。車両保険をどう考えるか。ロードサービスにも注意。

 新車・中古問わず、必ず入るべきは無制限の「対人・対物保険」。人身事故や物損事故では多額の損害賠償金を請求されるので、安心して運転するためには必須だ。付帯するかどうかを考えてよいのが「車両保険」。これは事故で自分の車が壊れたときに、その修理費を補償してもらうものだが、全体の保険料が高額になるので、新車を除き、運転がうまい人は加入しないことも多い。また、中古車の場合はパーツが希少などの理由で、修理費が高くなるケースもあり、車両保険の補償では賄えないと考えて外す人も。注視しておきたいのが「ロードサービス」にまつわる補償。任意保険には含まれていることがほとんどだが、各社で規定を超えたときの対応が異なるので確認しよう。エンストしてレッカーサポートをお願いして、自分はタクシーで帰るとなったとき。上限の距離が定められている場合、その距離を超過したら、タクシー代を全額負担、という契約もあるのだ。

Q6. 燃費って大切ですよね。EVやクリーンディーゼル車がいいのかなぁ。

A6. 燃料費は安くなるけど、車体価格を考えての選択が賢明。

 EVはエンジンオイルが不要で、ブレーキパッドの減りも少ないため、消耗品代もお得。特に自宅で充電できる場合はコストがかなり安い。クリーンディーゼル車の燃料は軽油であり、ガソリンより燃費が良く、燃料自体の税金も少ない。ただEVにせよ、クリーンディーゼル車にせよ、ガソリン車に比べて車体価格が高額になる傾向も。例えばトヨタのコンパクトSUV「ヤリス クロス」ならガソリン車とハイブリッド車で40万円ほど異なる。維持費の差や税制優遇はあるが、どれだけ車に乗るかで、その車体価格を高いと感じるか安いと感じるかに違いが出る。

教えてくれた人

若林由晃

わかばやし・よしてる|1988年、長野県生まれ。カーリースサービス「定額カルモくん」店長。ディーラーにて整備と中古車販売を経験後、個人向けカーリースの販売に従事。


伊藤真二

いとう・しんじ|1978年、青森県生まれ。ファイナンシャルプランナーであり、車の情報WEBメディア「カルモマガジン」の監修も担当。お金と車にまつわる記事を多く執筆。