トリップ

小旅行のマイ・ルール。/〈Unlikely〉デザイナー・中田慎介

2023年11月16日

小旅行とパッキング。


photo: Naoto Date
illustration: Okataoka
text: Neo Iida
2023年12月 920号初出

旅は必ずオーバーパッキング!
泊数+1泊の荷物をポーチで整理。

パッキング
パッキング
バッグ
パッキング

「よいしょ!」と中田慎介さんが勢いよく背負ったのは〈パタゴニア〉の「ガイドウォーター・ダッフル」。容量80lの超デカサイズに圧倒されて、熊でも倒しに……? と尋ねると「いえ、2泊3日の北海道旅行です!」とキッパリ。なんでも中田さん、〝旅支度は1泊ぶん多め〟がマイ・ルールなんだそう。

「ストーリーを大事にしたい派なので、都会的な街だと思ってハイテクな服で出かけたのに、自然が多くてのどかだと違和感を感じてしまう。それで着替えをたくさん持っていくようになりました」

 着ていくスウェットも含めれば、セットアップは計3着。ジャケット、ダウン、ベスト、スニーカーと、2泊3日プラス1泊ではきかない量の服が詰め込まれている。加えて下着や入浴グッズもあるから、80ℓはパンパンだ。

「パッキングは大得意なので、用途別にストレージバッグに詰めます。バイイングで出張に行くようになって20年。ミラノの地下鉄でポケットに入れた財布をスられたこともあります。トライアンドエラーの末にここまで辿り着きました」

バッグ
黒と迷彩のストレージバッグは〈DAIWA PIER39〉の展示会用に作ったもの。ポーチを駆使して細かく整理整頓していく。

 目的地に合った服を着るのは、アパレルの仕事を通じて培った流儀でもある。

「日頃、ブランドの展示会やお店に行くときはそこの服を着ていきます。それが自分なりの愛情表現でもあるから、一日に3回着替えることも。旅先でその土地に合った服を着るのも、根っこは同じ。行った先で百点を取りたいんですよ」

中田慎介さんのパッキングリスト

A:リバーシブルで表情を変える、軽量ベストをまずひとつ。
旅先では本当に助かる、ポケットの多い〈DAIWA PIER39〉のベスト。ナイロンタフタとブロックフリースのリバーシブルだから、一着持っていくだけで着回しの幅がぐんと広がる。脱ぎ着の多い車移動なんかにバッチリ。

B:万が一の冷え込みに備え、肉厚ダウンも持っていく。
〈ポーター〉の黄色のストレージバッグの中身は、なんと〈Unlikely〉の肉厚ダウンベスト! ギュギュッと詰め込めばこんなにコンパクトになるのだ。急に冷え込んだときも、一枚持っておくと安心。

〈Unlikely〉の肉厚ダウンベスト

C:旅先でサマになるのは、絶対セットアップ。
〈ニードルス〉のジャージ素材のセットアップに、〈DAIWA PIER39〉のグレーのスウェットのセットアップをパッキング。「旅行先でいちばんサマになるなと思うのがセットアップ。どんな空間にも合う気がします」

D:下着類は泊数+1セットずつ、ハンカチも同様に。
Tシャツはループ付きで干すのにも便利な〈The▲Hermit Club〉のホワイトとグレーを各1枚と、〈Settin〉のホワイトを1枚。下着類もひとまとめ。フランネルシャツの余り生地で作った大判の布は、風呂敷や敷きものとして使う。「行き先が北海道なので、札幌の〈WAKE.〉のトランクスを持参。ホテルのガウンタイプの寝巻きの下にはけば、館内を歩くときにチラ見えしてもいやらしくないかなと」

下着とハンカチ

E:移動時の体の疲れは、ネックピローで極力回避。
『ビームス』で購入したイタリア〈BANALE〉のネックピロー。もっちりした手触りで、首周りをそっとホールド。広げるとチェアクッションとしても使えるし、適度に丸めて背中に挟むも良し。長時間のフライトや車移動に欠かせないアイテム。

ネックピロー

F:必要なものを厳選したケアグッズ。
〈モンベル〉のトラベルキットパックは、広げて洗面所に吊るせる便利グッズ。持っていくのは〈イソップ〉のアライバルキット、〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉の石鹸、ヘパリーゼやロキソニンなどの常備薬、凝りを癒やすピップエレキバン、耳栓と爪切り、蒸気でホットアイマスク、石鹸が泡立つボディネット、困ったときの裁縫セットなど。基本的に現地調達はしない中田さんだけど、唯一の例外は髭剃り。「これだけはT字カミソリで十分なんです」

ケアグッズ

G:なんぼあってもいい、ノベルティの袋たち。
何かあったときのために持っていく予備の袋は、仕事柄どんどん増えるノベルティが多め。自分で作った〈DAIWA PIER39〉や〈マウンテンリサーチ〉の白い巾着に、〈パタゴニア〉でもらったギフトラッピング用のデカ袋。

H:トム・サックスのポーチは、大事なメガネ入れ。
トム・サックスのサコッシュポーチには〈TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.〉」のクリップオンサングラスを。「メガネやサングラスはとにかくたくさん持っていっちゃいます。これはクリップを付ければサングラスになるタイプで、クリップ部分だけを別のメガネにも付けられるので気に入っています」

サングラス

I:あると便利!45ℓのごみ袋。
ジップロックもいいけれど、必ず家にあるのがゴミ袋。45ℓの大容量なのにかさばらない。「バッグの中で液体がこぼれて大惨事になったことがあるので、缶も瓶もこれでぐるぐるに。使用済み下着を入れたりも」

J:飛行機も新幹線も移動中はこれひとつで。
機内や車内ではダッフルバッグは頭上の荷物棚や網棚に置いてしまって、身の回りの持ち物は〈DAIWA PIER39〉のポケッタブルバッグを広げてなんでもポイポイ。座席ではこれひとつあればとりあえず大丈夫。

K:探索のおともは、ポーチひとつ。
これだけ荷物を持っていくけれど、現地での街歩きはなるべく身軽に。ポケットや間仕切りの多い〈DAIWA PIER39〉のポーチは小物を入れるのに便利。お財布やケータイなどの必需品を入れ、ハンドバッグっぽく持ち歩く。

L:街歩き用の〈ニューバランス〉とホテル履きの〈モンベル〉。
2泊3日ならスニーカー一足で済ませてしまうそうだけれど、中田さんの場合はさらに一足プラス。〈ニューバランス〉のグレーの990v6は、合わせやすいし歩きやすいし言うことなし。ホテル館内や軽いお出かけ用の〈モンベル〉のソックオンサンダルも必携。

M:ランニングウェアもひとまとめ。
旅先でもランニングを欠かさない中田さん。トレーニングウェアは〈DAIWA LIFESTYLE〉のパッカブルショーツに付属の巾着に入れている。

教えてくれた人

中田慎介さん

中田慎介

〈Unlikely〉デザイナー

秋冬の旅はクラシックでタフな〈Unlikely〉でゴー。ベースはスウェットのセットアップに淡いグリーンのフランネルシャツを重ねて。裏地がナイロンリップストップのツイードジャケットはリラックスして着られるし、出先でレストランなどに行くのにもぴったり。キャップは〈IDEA〉。足元は〈アディダス〉のスタンスミスで軽快に。