トリップ

本物の水平線、野生のオオワシに出会える近所の無人島。

2023年9月28日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Fuya Uto

絶景

 壱岐よりさらに純度の高い自然に触れたければ、勝本港から遊覧クルーザーで10分ほどの距離にある無人島「辰ノ島」へ。蛇ヶ谷、海の宮殿、マンモス岩などのポップなネーミングを裏切らない怪奇な見た目の岩場や透明すぎる海に歓声をあげながらクルーズツアーを楽しんでいると、いつの間にか爛々ときらめくヒスイ色の海のど真ん中に。クリアな海に感動していたら「この透明度で、10点満点中7点だな」と、船長。これで!? 風が立っていない日や日差しが強い夏には、水深5〜6mの海底が見えるほど透き通り、船と水面との境目がなくなって空に浮かんで見える“宙船”と呼ばれる現象が起こるらしい。

クルーザー
眺めのいい2階席は早めに満席になる。座りそびれてて1階にいたら船首甲板に連れて行ってくれた。ラッキー。

 島に上陸せず帰ることもできるが、時間があれば島内を散策しよう。西側と東側の先端を探索するトレッキングコースに入り、15分ほど山頂に向かって歩くと突端にある「羽奈毛崎」に到着する。高さ60mある断崖絶壁だが、柵はなし。正直、足がすくむ。でも、恐怖心を抑えて海に目を向ければ障害物がない純度100パーセントの水平線を拝むことができる。運が良ければ道中、崖で休憩するオオワシを見られたりもする。原風景がそこら中に残っていながら、ここまでアクセスがしやすい無人島はなかなかない。

インフォメーション

辰ノ島

チケットは「渡船」と「遊覧」があるけれど、まるごと体験できる「遊覧+辰ノ島上陸」(¥2,500)がオススメ。「日本の快水浴場100選」にも選ばれている円弧の白砂ビーチでは、シャワーや更衣室もあり夏は特に賑わう。基本的に飲食販売をしていないので持参した方がいい。立ち入り禁止エリアもあるから、出航前の案内所で貰える地図を見ながら冒険しよう。迎えの船は約1時間ごとに来てくれる。

◯長崎県壱岐市勝本町東触 ☎︎0920・42・2020(勝本町漁協)