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野口聡一が未来に残したい、宇宙から見たある景色。

ITOCHU SDGs STUDIO × POPEYE

2023年9月26日

photo: Naoto Date
text: Keisuke Kagiwada

外苑前の「ITOCHU SDGs STUDIO」で始まったTIME CAPSULE DEPARTMENT」(9月26日(火)~11月26日(日)開催)は、各界で活躍する方々に未来に残したいモノ・コトを展示してもらうイベントだ。僕らは出展者のひとり、野口聡一さんにインタビュー。宇宙に行った経験がある野口さんが未来に残したいモノとは?

野口聡一インタビューカット

 今、どこに住んでいますか? そう聞かれたら、多くの人はきっと国や街を答えるでしょう。中には港区女子なんて言う人もいるかもしれませんが(笑)、「地球です」と答える人はあまりいないと思います。そんなことは当たり前のことだからです。だけど、2030年になったとき、僕たちは果たして当たり前のように、「地球に住んでいる」と言えるのでしょうか。今、地球の気候変動は、それくらいの危機に瀕しています。

 よく温暖化という言い方をしますが、それは事態を甘く見せてしまうのであまり適切とは言えません。実際、最近は国連も温暖化ではなく沸騰化という表現に変えようとしています。つまり、寒かった場所がちょっとぬるくなる程度の話ではなく、このままいくと地球は僕たちが住めなくなるくらい暑くなる可能性があるんです。

 19世紀にイギリスで始まった産業革命以来、僕たちの暮らしは科学技術の恩恵を受けてきました。僕が宇宙に行けたのも、科学技術の発展のおかげです。しかし、その一方で急激な工業化は地球環境を汚し続けてもいて、僕の小さい頃も、工場が排出する煙や排水による公害が問題になっていました。最近は法規制により、そういうローカルな被害は減ってきていると思います。その反面、いよいよ牙を剥いてきたのが、非常に長い間かけて大気中に放出されてきた温室効果ガスによる地球沸騰化です。

 もちろん、40億年にわたる地球の歴史を見れば、ゆっくりと気温は上昇しています。してはいますが、ここ100年、もっと言えばここ20、30年の急激な変化とは比べものになりません。それがこの間の色々な異常気象にも繋がっているわけです。そのこととしっかり向き合わなきゃいけないし、対処していかなきゃいけない。でないと、2030年には、「地球ってやっぱり綺麗だよね」ではなく、「昔はよかったね」と言うことにもなりかねません。そう考えると、2030年に残したいものって、地球以外に何があるのでしょうか。

野口聡一が撮影した宇宙の写真
2009年に撮影した地球の写真。肉眼でもほぼこの写真と同じように見えるそう。意外と近い!ちなみにカメラは「Nikon D3」でレンズは100ミリ〜200ミリを使用。

 そのために今、僕がしているのが啓発活動です。まずは現状がどうなっているのかを認識してもらう。この地球の写真は2回目に宇宙に行ったときに上空から撮ったものですが、自分がこの目で見たんだというリアリティを入れつつ、「今の地球は間違いなく綺麗です。だけど、このペースで沸騰化が進んでいくと、この青が赤に変わっていく可能性があるんだ」と。でも、ただホラーストーリーにして脅かしているだけじゃダメなので、現状の危険度は話しつつ、「だけど、僕たちの持っている科学力やイノベーションでそれを変えることがまだできるんじゃないか」という、ハッピーストーリーとうまく組み合わせて発信していければなと思っています。

 具体的に言うと、今の日本では1年間で11億トンくらいの温室効果ガスを排出しています。うちざっくりと4割が発電で、3割が乗り物系……自動車です。まずはそこを変えていきましょうと。例えば、石炭を燃やして電気を作るのではなく、ソーラーパネルによる太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーに変えていく。あるいは、ハイブリットや電気自動車に変えていく。この点では日本は頑張っている方で、僕個人としても、日本のメーカーさんの脱炭素化に向けての取り組みを応援するような活動もしています。

 残念ながら、電気をこまめに消したり、家庭でできることでどうにかなる段階は過ぎていますが、そういうことも「地球の環境を守るためには、再生エネルギー大事だよね」という世論を形成するきっかけにはなるので大事だと思います。そうした世論が、国全体が変え、世界全体が変えていくはずなので。

野口聡一インタビューカット

 いずれにしても、2030年にもう取り返しがつかないなんて状態にならないためには、今すぐ動くしかありません。だから、今の11歳の子供たちには、今の大人が何に悩んで、何に立ち向かっているのかを見ていてほしいし、僕たちとしてはそんな子供たちが18歳になったとき、「あなたたち大人はこの10年間何やっていたんですか?」と言われないように頑張るしかないと思います。

プロフィール

野口聡一ポートレイト

野口聡一

のぐち・そういち|1965年、神奈川県生まれ。これまで3回の宇宙飛行に成功し、世界初3種類の宇宙帰還と15年間で船外活動4回はともにギネス公認記録。2022年、JAXAを退職。今後は、大学や研究機関、民間企業での研究支援と共に、人材育成などにも関わる予定。

ITOCHU SDGs STUDIO

SDGs STUDIOロゴ

伊藤忠商事が運営するSDGsを様々な角度から切り取った情報発信・体験の場をつくり「人と商いと地球」をつなぐカルチャープラットフォームとして、展示コンテンツや「星のキッチン」「こどもの視点カフェ」などを展開。

◆当社冠番組『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』における世の中の「SDGs」の取り組みを発信。(番組ナビゲーター:SHELLY氏)

◆SDGsに関わる活動をされている団体等への展示スペース・SNS発信等の撮影スペースとして無償提供。

場所:東京都港区北青山2-3-1 (伊藤忠商事 東京本社敷地内 Itochu Garden)

Official Website
https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/20230926.html

Instagram
https://www.instagram.com/itochu_sdgs_studio/