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【#1】ネコ研究者のポートランド – SF旅行記

執筆: 服部円

2023年8月10日

photo & text: Madoka Hattori
edit: Yukako Kazuno

京都大学の大学院でネコの研究をしている服部と申します。もともとファッション誌の編集者をしていたのですが、ネコとヒトとの関係に興味があり、本業の傍ら数年前に研究の道に足を踏み入れました。

今回は、7月にポートランドで開催された国際学会とサンフランシスコの科学博物館「Exploratorium」のレポートを書かせていただきます。

まず国際学会とはなんぞや、という話なのですが、簡単に言うと研究について発表する場です。著名な研究者が講演したり、学生がまだ論文になっていない採れたてほやほやの研究結果を発表したりします。私が参加したのはThe Animal Behavior Society(ABS)という動物行動学の学会です。会場はアメリカ・オレゴン州ポートランドにあるOregon Convention Centerで、東京でいう国際フォーラムのような場所です。

世界中からイヌやネコのほか、昆虫や鳥、タコなどさまざまな動物の研究者たちが集まり発表が行われました。学会で発表された研究については、私の研究をはじめ未公開データが多く詳細をお伝えできないのですが、学会の雰囲気だけでもお伝えしたいと思います。

学会では朝8時から夜9時まで研究の発表が行われています。まるでパリコレか⁉︎ というくらいの忙しさです。(華やかに見えるパリコレの取材ですが、実際は分刻みでショウが開催され、かつ会場もバラバラなため、車内でパンをかじりながら移動するなんてこともありました……)

メインホールのほか、いくつかの小さめな会議室でも同時に発表が行われていて、どうがんばってもすべての発表をみることはできません。気になるタイトルとアブストラクト(要旨)をチェックし、時間を見ながら部屋をハシゴします。音楽フェスのように事前のタイムテーブルチェックが必須です。

今回の発表で特に面白かったのが、タコがモノを投げることを発見した研究です。(すでに論文化されていました)Netflixで話題になったタコとの交流を描いたドキュメンタリー『オクトパスの神秘』や書籍『タコの心身問題―頭足類から考える意識の起源』(みすず書房)など、個人的にもタコの認知や賢さに注目しており、大変興味深い発表でした。

ちなみに今回私が参加したのはポスター発表と呼ばれる、研究内容を大きな一枚の紙に印刷して展示する発表でした。スライドを使う口頭発表がショウだとしたら、ポスター発表はさながら合同展示会といったところでしょうか。

昨年、約8ヶ月かけておこなった行ったネコに関する実験の結果を発表し、世界各国の研究者たちからアドバイスや意見をいただきました。ここから、学術誌に投稿するための論文にまとめていきます。先は長い……。

さてポートランドに来るのは今回が初めてだったのですが、休憩時間に少しだけ街を散策することができました。次回はポートランドの街並みとともにレストランやお店についてお伝えします。

Oregon Convention Center
1990年にオープンした巨大な会議場。屋上にはソーラーパネルがずらりと並んでいました。コミケ的な催しも開かれるとか。ちなみに周辺には目ぼしい観光スポットなど一切ありませんでした。

プロフィール

服部円

はっとり・まどか | 編集者、大学院生。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、ファッション誌の編集者として働く。現在、京都大学野生動物研究センターの博士後期課程に在籍し、ネコとヒトとの関係について研究している。2023年5月にカルチャーとサイエンスを繋ぐWEBメディア『文化と生物学』をローンチした。

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