PROMOTION

ゲーム感覚でやってみよう、シティボーイの部屋の安全対策。

2023年8月22日

photo: Naoto Date
text: Nozomi Hasegawa

 学校や勤め先ではやっている防災訓練。同じくらいの時間を過ごしている自宅でもやって然るべきだけど、いざやろうとしてもどんなことから始めればいいのかわからない。そんなときに知ったのが、防災・減災意識を高める「家具安全対策ゲーム(通称:KAG)」。今回は、永福町と新高円寺の中間にある松ノ木エリアでシェアハウスに住む徳永健臣さんと一緒に、ゲーム感覚で「KAG」をやってみた。

KAGとは?

家具安全対策ワークシート

 地震に洪水、土砂崩れ……災害は突然やってくるものだってわかっているけれど「時間があるときに対策しよう」と思って先延ばしにしていない? 例えば今この瞬間、家にいるあなたを地震が襲ってきたら果たして身の安全は守れるのだろうか。倒れてきた棚に挟まれてしまったり、割れた窓ガラスでケガをしてしまうかもしれない。実際に、地震でのケガの30〜50%が家具類の転倒・落下・移動が原因というデータもあるようだ。そんなもしも、のときのための家具の安全対策をゲーム感覚で楽しめるのが、日本赤十字社が考案した「KAG」。読みかたはそのまま「カグ」で、自宅の平面図を描いて、その図をもとに自宅に潜んでいる危ない箇所を探してみよう、というもの。

松の木ハウス

 今回は、永福町の中華料理店『中華可菜飯店』スタッフの徳永健臣さんが暮らすシェアハウスにお邪魔して「KAG」の実施から、安全対策までを行うことにした。徳永さんは自宅で「KAG」を実施するにあたり、日本赤十字社が開催している「防災セミナー」を特別に体験。自然と防災・減災への意識も高まっているようだ。

ワークシートに記入する徳永健臣

「東日本大震災が起こった日のことは今でも覚えています。僕は香川県出身なので被災はしなかったのですが、いつ大きな地震が来るかわからない、と学校の先生や両親から言われながら育ってきて。学生時代は年に数回、防災訓練や地震が起きたときのための講習を受けていたので、防災・減災の取り組みは結構身近な存在だと思っていたんです。でもいざ『KAG』をやってみると家の中で危ない箇所をいくつか見つけました。『防災セミナー』で地震のシミュレーション映像を見たのですが、それと同じように自分の家で家具が落ちてきたり壊れたりして、自分やルームメイトがケガをする姿を想像したらとても怖くなったし、知識はあっても生活の中での安全対策は十分ではなかったんだと気付きました」

関東大震災から100年。いまこそ備えよう。

「日本赤十字社」が監修! 防災2択クイズ。

自分の身を守るための正しい知識が学べる「防災2択クイズ」もやってみよう。
https://www.jrc.or.jp/lp/save365/magazine/hanako03/

完成図をもとにやってみよう。

家具安全対策ワークシートの完成図
日赤の「防災セミナー」で配布されたワークシートに、徳永さんが自宅の平面図を記入したものがこちら。危険な場所として、棚や窓、食器棚、冷蔵庫にバツ印をつけている。

 自分も「KAG」をやってみたいという人は「防災セミナー」に参加するのがいちばんだけど、自宅でも試してみることは可能。適当な紙(余ったメモ紙でもOK)とペンを用意して、まずは部屋の平面図を描いてみよう。「窓」や「ドア」も描くと、地震が起きたときの部屋の様子をよりイメージしやすくなる。また、「倒れてくるもの」「動くもの」「落下するもの」「割れるもの」を意識すると、自然とバツ印をつける危険な場所も見えてくるはずだ。

「棚の上に『中華可菜飯店』のワークショップで造った梅酒がドンと置いてあるので、倒れてしまったらきっと大惨事になりますね。窓は割れると危ないし、揺れた拍子に食器棚の扉が開いてしまうかも。冷蔵庫には食材がたくさん入っていて重さがあるので安定している気もしますが、もしかしたら倒れてくる可能性もあるな、と思いました」と、徳永さん。今回はこの4か所に注目をして安全対策を行っていくことに。

①冷蔵庫周辺を整理する。

安全対策をする徳永健臣

 まず最初に手をつけたのは冷蔵庫。パスタ料理が得意なルームメイトが置いた乾麺や調味料、缶ジュースなどを片付けるところからスタート。

「地震が起きたら、すぐに飛んできちゃいますよね」と言いながら、低い棚に収納し直す徳永さん。頻繁にホームパーティを開催するこの家では、友達が置いていった飲み物が自然と冷蔵庫の上に溜まってしまうこともあるという。「これからは、ここにモノを溜めないように気をつけないと!」と、とりあえず片付けは終了。

冷蔵庫の安全対策をする図

 綺麗になった冷蔵庫の上には早速「冷蔵庫ストッパー」を接着。地震の衝撃でドアが開いてしまう心配も和らぎ転倒防止にもなる優れもので、数百円から購入可能。冷蔵庫や壁紙に直接粘着テープを貼るため、もしかしたら壁紙が剥がれてしまうこともあるかもしれない。賃貸で暮らしている人は、壁紙との相性や万が一剥がれてしまっても大丈夫なのかを確認してから設置するのが吉。

②食器棚の開き戸を固定する。

 次に徳永さんが取り掛かったのは食器棚。「地震の衝撃でバーンと扉が開いてしまったら、中のマグカップやお皿がたくさん落ちてしまいそう。そうなったらケガをするかもしれないし、片付けも大変だろうなあ」。そこで登場するのが、扉にロックをかけてくれるストッパー。扉の真ん中で水平になるように位置を決めて、接着テープで固定するだけ。

 これさえあれば、扉が勝手に開いてしまう心配はなし。右側にあるつまみをスライドすればロック解除も簡単にできるし、ステンレスやプラスチックなどさまざまな素材の商品が販売されているので、家具の雰囲気や予算に合わせて選ぶこともできる。「ストッパーがあるとかなり安心できますね。他の棚にも設置したほうがよさそう」

③窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る。

 徳永さんが一日の中で多くの時間を過ごすテーブルの、真横にある窓もしっかりと対策をしていこう。窓ガラスに透明フィルムを貼れば、地震だけでなく台風から窓を守ることだってできる。フィルムを貼る前に、まずは窓の汚れを綺麗にするところからスタート。

 クリーナーや濡らした新聞紙を使っての窓掃除が終わったら、窓の大きさに合わせてフィルムをカット。大きな窓の場合はフィルムが足りなくなってしまう可能性もあるので多めに買っておくと安心だ。

透明フィルムを窓に貼る図

 フィルムのカットを終えたら窓に貼っていこう。「ずれないように……気泡が入らないように……」と、慎重にフィルムを貼り付けていく徳永さん。「一人でやるのは難しそうな気がしたんですけど、意外とできました。普通の窓だけではなく食器棚のガラスなどにも貼りたいです」

④重いものは低い場所に移動する。

安全対策をする徳永健臣

 最後は、棚の模様替えをすることに。「『防災セミナー』では、土台となる下の段から上の段に向かって、収納するモノを軽くしていくといいと教えてもらいました。下段で収納しているのは雑誌なので、重みがあって倒れにくそう。2段目や上段には、みんなで遊べるボードゲームが収納されているので、あとは棚の上にドン! とのった2つの梅酒を安全な場所に移動させるだけ」徳永さんはその移動先に床に近い棚の中をセレクト。小さなひと手間で、安全対策バッチリの棚が完成した。

徳永健臣の写真

 4つの安全対策を終えて「想像以上に簡単でびっくりしました」と、徳永さん。「ストッパーやフィルムは案外手頃な価格だし、棚にいたっては防災グッズを使わずとも対策をすることができました。今日使ったアイテムは一人暮らしの方でも半日あれば設置できると思います。ワークシートに記入した段階では気づきませんでしたが、安全対策を行ってみたら壁に飾ってある額縁や時計も危ないんじゃないかと気になってきちゃいました。地震の対策になるし、普段とはまた別の視点で自宅を見てみる、というのも面白かったです」。自分や身近にいる大切な人を守るために、まずは簡単な対策からやってみよう。

インフォメーション

日本赤十字社の防災・減災

関東大震災から100年。当時から災害救護を行っている日本赤十字社は、過去の教訓を未来につなげ、日本全体で「災害への備え」や「防災意識」を高めるために防災セミナー動画等で啓発活動を行っている。記事中で徳永さんが体験していた「家具安全対策ゲーム(KAG)」も防災セミナーのカリキュラムのひとつ。

防災・減災についてより詳しく知りたい方は「SAVE365Magazine」もチェック👇https://www.jrc.or.jp/lp/save365/

日本赤十字社の活動をもっと知るなら by マガジンハウス

Hanako:いまこそ備えよう!防災2択クイズ
https://hanako.tokyo/learn/385751/

anan:災害時のセルフケア・女性の防災必須アイテムは?
https://ananweb.jp/anan/495595/

プロフィール

徳永健臣

とくなが・けんしん|2004年、香川県生まれ。2年前に上京し、現在は永福町の中華料理店『中華可菜飯店』でスタッフとして働く。現在暮らすシェアハウス(通称:松ノ木ハウス)には半年ほど前に入居。