カルチャー
【#2】マイ・コラージュ・アーカイブ
2022年12月21日
edit: Keisuke Kagiwada
前回、僕が初めてアナログ(つまり、フォトショではなく手で切り貼りする)で作ったコラージュは、ウィンストン・スミスとの共作だったという話をしました。
ウィンストンとやったときに思ったのは、素材を切り抜くなら、デジタルよりアナログのほうが全然楽だってこと。デジタルのときは、髪の毛の一本一本まで精密に切り抜こうと思っていたんだけど、アナログはそこまで気にしなくていいし、むしろ気にしないことが味になったりもするんですよね。それがまず楽しかった。
あと、デジタルの場合、展示するときはそのデータを紙に出力するわけですよ。だから、一点物ではないし、果たして作品と呼べるのかなって葛藤もずっとあって。当時はNFTなんてものもなかったですから。でも、アナログなら作品だと胸を張って言える。そんな感じで、単独作でもアナログのコラージュにどんどんハマっていったんです。
今回紹介するのは、そうやって自分だけで作ったアナログコラージュの最初期のものです。僕の作品すべてについて言えることですが、テーマはまったくありません。いつもほぼ直感で作っているので。だから、タイトルもない。
まず素材になる雑誌や本をパラパラ見て、頭の中で「これがこうなってこうなるな」と組み立てた上で、手を動かしていく感じです。それで「ここに機械っぽいイメージが欲しいな」ってなったら、別の雑誌や本の中を探す。自分の持っている本のどこにどんな素材があるかは、だいたい把握しているので。そうやって探す中で、もっといいものが見つかる場合もありますけど。基本的にはそうやって作っていて、これも同じ。作るときは感覚が9割なんです。
素材を白黒にコピーした上でコラージュしたのは、ウィンストンとやったときに、素材同士の色のテイストがチグハグだと気持ち悪くなると気づいたから。まぁ、あえてチグハグにするっていうのもありっちゃありなんですけど。
あと、当時はコピー機を持ってなかっていうのもあります。インクジェットのプリンターは持っていたけど、それだとあんまりいい色が出ないから、コンビニにコピーを取りにいってたんです。そうなると、カラーコピーって高いじゃないですか(笑)。失敗もできなくなるし。その点、白黒なら10円でできるわけで。だから、白黒になったっていう。
今回合わせて紹介する曲は、Psychic TVの「Godstar」にしようかな。これを作っている当時は、Psychic TVばかり聴いてた気がするので。
プロフィール
河村康輔
かわむら・こうすけ|1979年、広島県生まれ。代表的な仕事に、『大友克洋GENGA展』メインビジュアル、『AKIRA ART OF WALL』、作品集に『2ND』『MIX-UP』など。2021年からは、〈UT〉のクリエイティブディレクターを務めている。
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