いつもポケットには清潔なハンカチを。
Handkerchief
2022.09.23(Fri)
photo: Hirokazu Kobayashi
illustration: Shigeo Okada
text: Shintaro Kawabe, Ku Ishikawa
edit: Tamio Ogasawara
2022年10月 906号初出
ハンカチをポケットに入れ忘れただけで、そわそわと落ち着かないのは僕だけじゃないはず。手を洗えばハンカチで手を拭くという当たり前の行為を、普通に行える人はきっといろんなことがちゃんとできる人間だ。持論だが、コーディネートは最後にハンカチを選ぶことで完成すると思っている。たくさん持っていれば、どれをポケットに入れようかと毎朝考えるだけでもなんだか楽しいので、ちょっと気の利いたものならいくらでも欲しいのである。

ミラノの「リナシェンテ」の4枚組のハンカチ
海外に行ったら必ず、その国のお国柄が出るハンカチを買うようにしています。ミラノの百貨店「リナシェンテ」の下着売り場では、この4枚組のものを何度か買いました(写真左)。イタリアらしく色のグラデーションは冴え、綿の素材感もしなやかで、吸い取りもよく、約10年、毎日のように使っていますが、生地のクタリ感もほぼありません。縫い代の始末がループ状になっているので、チーフとしても使えそうなくらいです。ロンドンに行けば必ずジャーミンストリートを覗くのですが、こちらは『ターンブル&アッサー』で買いました(写真右上)。シャツの残布で作られたものですが、縁の繊細でかわいいチェーンステッチにブリティッシュトラッドが宿っていましたね。

〈ロレックス〉のノベルティハンカチ
ハンカチは100枚ほど持っていますが、最近のお気に入りは〈ロレックス〉のものでしょうか(写真左)。腕時計を購入するともらえるノベルティで、私はヤフオクなどで買っています。最初はおふざけ半分で使っていましたけど、綿の素材がスイスのファブリックメーカー「クリスチャン・フィッシュバッハ」のようなスイス綿と思わしきハリのある生地感で、水分の吸水もよく、今や一番使っていますね。ノベルティですが手を抜いていないのが〈ロレックス〉らしいかと。ポップアートな〈ドレイクス〉(写真右上)や岡本太郎の「森の神話」が模された一枚(同下)もそうですが、プリントものはスーツにも合わせられますし、ポケットに忍ばせているだけで楽しいものなんです。
こんなハンカチなら使ってみたい。