カルチャー
【#1】ヒップホップ新人類学
2022年6月21日
text: Jiro Ishii
iPhoneはもちろんiPodすらなかったそんな時代。僕は1枚のCDをウォークマンにセットして、それをポケットに突っ込んで街へ出かけた。
どんなCDをチョイスして家を出るかは1日を左右する重要なことだったけど、ものぐさな僕はこまめにCDを入れ替えず、飽きるまで同じ1枚を繰り返し聞き続けたりした。
ZTMZ(ズットモズ)が4月20日にリリースした1stアルバム「ZtoA」は、そんな昔を思い出させてくれる傑作だ。

ヒップホップの新人たちの音楽を聞く時はいつも、全く新しい着眼点や進化したテクニックの数々に魅了されて、彼らの行く末を想像しては胸が踊ってしまう。
ただ、矢継ぎ早に新しいタレントが登場する昨今、「ラフさ」や「不安定さ」が個性なのか、それとも経験値の低さなのか、判断できないことも多々ある。
そんなレイムな気持ちの中、僕はZTMZの音楽を聞いた。忖度も、斜に構える必要も一切ないクオリティに唖然とした。それと同時に、こんなに高いスキルを持った連中がシーンにエントリーしてきたのか…と衝撃を受けた。
ZTMZは新興グループだけど、彼らのラップを聞けばそのスタイルが一朝一夕で確立されたものじゃないことがわかる。
ラップの発声、言葉の発音、ワードセンス、リズム感や間の取り方など、全てが抜群に安定していて、彼らのスタイルとして定着している。それは決して短くなかったであろうキャリアの裏付けでもある。
メンバーは、HYDRO as BNJ、J.Rick、Lil辰徳、SIAOの4人で、個々に独立したアーティストとして活動していたという経緯がある。きっとそれぞれに紆余曲折を経て2022年現在、ZTMZとしてユナイトしたのだろうというストーリーを想像してしまう。
1stアルバム「ZtoA」では、色とりどりのトラックを自由自在に乗りこなす彼らの足腰の強いラップを聞くことができる。バラエティに富んだ楽曲の数々は、あっという間に時間を経過させてくれる。

最近のヒップホップ、なんだか疲れちゃったなぁという人におすすめの新人ZTMZ。
もし今がCDしかない時代だったら、僕はしばらくの間このアルバムをウォークマンにセットしたままだろうと思う。
■ZTMZ
ZTMZとは、HYDRO as BNJ、J.Rick、Lil辰徳、SIAOの四人組。ズットモズと読む。 それぞれクルーやバンド、ソロでの活動をしており、遊び仲間であったが、チーム戦MC BATTLE’AS ONE’への出場をきっかけに結成。 キャリア、パフォーマンス、音源共に実績十分すぎるグループである。
プロフィール
石井仁朗
Instagram
https://www.instagram.com/ishiwyi/
ピックアップ

PROMOTION
〈adidas Originals〉とミュージシャンの肖像。#2
dodo
2025年5月9日

PROMOTION
見上愛さんと、春風吹く東京競馬場へ。
JRA
2025年5月16日

PROMOTION
ぼくらを繋ぐ〈KEEN〉の万能シューズ。
KEEN
2025年5月30日

PROMOTION
〈OTAKARA NYC〉の色彩豊かな手刺繍の「お宝」を『NEPENTHES』で手にしよう。
〈OTAKARA NYC〉
2025年5月17日

PROMOTION
Tシャツがないと、僕の夏は始まらない。
無印良品
2025年5月12日

PROMOTION
「サウンドバーガー」と〈WIND AND SEA〉のコラボレーションで、’80sバイブスを持ち歩こう。
オーディオテクニカ
2025年5月8日

PROMOTION
〈メゾン マルジェラ〉の「スプリンターズ」で高まるスポーティークラシック。
Maison Margiela
2025年5月14日

PROMOTION
初夏の準備を〈TATRAS〉と。
TATRAS
2025年5月13日

PROMOTION
12 HOURS ADVENTURE with DEFENDER ディフェンダーが僕らの冒険心を掻き立てる。
DEFENDER
2025年6月4日

PROMOTION
雨の日は手ぶらで〈エーグル〉のレインコレクションを。
2025年5月7日