古くからアガチャー(慌て者)と呼ばれていた沖縄の固有種。1981年の発見当時はノグチゲラ以来100年ぶりの新種に日本中が沸き、やんばるの森が広く知られるきっかけになった。翌年には天然記念物に指定。一時はマングースに襲われ720羽ほどに減り、現在は約1500羽に。2013年開館の「クイナの森」では、個体数を増やすべく、人工で卵を孵化させ野生に返す取り組みを行っている。
小さい頃、密着番組でヤンバルクイナの姿を見て「恐竜だ!」と驚いた。逞しい脚で地面を踏みしめ、すばしっこく走る。がっつり『ジュラシック・パーク』の影響だけど、憧れた。だから安田の「ヤンバルクイナ生態展示学習施設 クイナの森」で〝クー太〟を見たときは「やっぱり!」と興奮してしまった。スタッフの由美子さんも頷く。
「のしのし歩く姿が恐竜みたいですよね。飛ばないぶん脚が屈強なんです」
クー太は野生児で、初代「キョンキョン」の引退にともない2019年に2代目に。現在3歳で適齢期だけど、つがいになると奥に引っ込みやすいため、独り身で頑張ってもらっている。でも本能で落ち葉を集め、巣作りをしてしまうそう。健気!
ここはヤンバルクイナの飼育を行い、生態を観察できる施設。改めて眺めると、お腹は白と黒のボーダー、背中はブラウン、顔の横に白いラインをピッと入れて、くちばしはオレンジ。環境に適応するためにこうなったとはいえ、オシャレ。飛べなくても十分かっこいいけど、なぜそうなったんだろう。
「諸説ありますが〝飛ぶ必要がなくなった〟が近いかもしれません。世界には約130種のクイナがいて、飛べる鳥もいます。大陸と分離したあと、沖縄本島における最大の四足歩行動物は小柄なリュウキュウイノシシで、天敵はカラスとハブくらい。捕食者がいなかったんです。そのかわり時速30㎞で走るし、夜は木の上で寝るんですよ」
えっ、飛ばずに木に登る?
「樹皮がゴツゴツした木を選んで、ダーッと走って登るんです。夜行性のハブから身を守るためですね。でも下りるのは苦手で、よく落ちてます(笑)」
ドジっ子で、カメラアピールもばっちり。クー太、天性のアイドルだね。
お土産に。世界自然遺産登録記念の切手&ポストカードセット¥500

ロードキルに注意!
やんばるの道路は「とび出し注意」の標識だらけ。歩いて移動するヤンバルクイナを誤ってはねてしまう、“ロードキル”が起こりやすいのだ。特に4~5月の子育て期には、餌を確保すべく、黒くて小さなヒナを連れ親子で道路を横断することも。残念ながら2021年は34件の事故が発生(環境省公表)。施設周辺は生息域なので、すぐ止まれる速度で安全運転を。
インフォメーション

ヤンバルクイナ生態展示学習施設 クイナの森
国頭郡国頭村安田1477-35 0980·41·7788 9:00~17:00 水休 大人¥500(※7月1日より¥700に)