クー太に会いにクイナの森へ。
2022.07.05(Tue)
photo: Naoto Date
illustration: Kazutaka Tsugaoka
text: Neo Iida
2022年7月 903号初出
小さい頃、密着番組でヤンバルクイナの姿を見て「恐竜だ!」と驚いた。逞しい脚で地面を踏みしめ、すばしっこく走る。がっつり『ジュラシック・パーク』の影響だけど、憧れた。だから安田の「ヤンバルクイナ生態展示学習施設 クイナの森」で〝クー太〟を見たときは「やっぱり!」と興奮してしまった。スタッフの由美子さんも頷く。
「のしのし歩く姿が恐竜みたいですよね。飛ばないぶん脚が屈強なんです」
ここはヤンバルクイナの飼育を行い、生態を観察できる施設。改めて眺めると、お腹は白と黒のボーダー、背中はブラウン、顔の横に白いラインをピッと入れて、くちばしはオレンジ。環境に適応するためにこうなったとはいえ、オシャレ。飛べなくても十分かっこいいけど、なぜそうなったんだろう。
「諸説ありますが〝飛ぶ必要がなくなった〟が近いかもしれません。世界には約130種のクイナがいて、飛べる鳥もいます。大陸と分離したあと、沖縄本島における最大の四足歩行動物は小柄なリュウキュウイノシシで、天敵はカラスとハブくらい。捕食者がいなかったんです。そのかわり時速30㎞で走るし、夜は木の上で寝るんですよ」
えっ、飛ばずに木に登る?
「樹皮がゴツゴツした木を選んで、ダーッと走って登るんです。夜行性のハブから身を守るためですね。でも下りるのは苦手で、よく落ちてます(笑)」
ドジっ子で、カメラアピールもばっちり。クー太、天性のアイドルだね。