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New Balanceの研究を覗いてみようじゃないか。

このスニーカーが和紙でできてるだって!?

2021年7月20日

photo: Naoto Date
text: Shintaro Kawabe

演劇好きな人ならお馴染みかもしれないけれど(なんてったって、明治座がある)、浜町駅に降り立ったことがある人は少ないかもしれない。ちょっと歩けば老舗が立ち並ぶ人形町、隅田川を渡れば下町に新しい風を吹き込んでいる清澄白河という場所柄もあって、正直影を潜めていた感が否めないこの街も、2019年にデザインホテルが開業するなど少しずつ変化してきているので、以後お見知り置きを。
そんな日本橋浜町の住宅街に2020年7月、突如オープンした『T-HOUSE New Balance』には足を運んだことがある? 話題のスニーカーが発売されたり、ここでしか買えないシューズやアパレルがあったりするコンセプトストアだ。商品の販売だけでなく展示やイベントも開催することが多く、行けば新しい発見があって楽しい。何やら今回も面白そうな展示をやっていると聞きつけたので、日本橋浜町へいざ行かん!

T-HOUSE New Balance

一見するとスニーカーショップには見えないこの建物は、移築した築123年の蔵をベースに作られている。内装設計を手掛けたのはスキーマ建築計画の長坂常さんだ。
1階は、厳選したアイテムのみを扱うショップで、吹き抜けの2階には、独自にアパレルやスニーカーを開発する「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance」のスタジオがある。実はここで〈Snow Peak〉や〈オーラリー〉とのコラボレーションシューズも生み出されているとか。
●東京都中央区日本橋浜町3-9-2
●03-6231-1991
●11:00〜14:00・15:00〜19:00、金・土・日11:00〜19:00 水・木休

駅から少し歩いた閑静な住宅街に現れる真っ白な蔵。さぁ、中へ入ってみよう。

おぉ、なにやら見たことないスニーカーや分解されたスニーカーのパーツが並んでいるぞ。
どうやらこの施設の2階にある「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance」が主体となって取り組んでいるアップサイクルについての研究過程を見せるインスタレーションが開催中のようだ。昨年11月に続き、今回が2回目の研究発表だという。

改めてアップサイクルについて説明すると、役に立たない不用品を用いて元の製品よりも価値ある物を作らんとする取り組みのことで、〈ニューバランス〉においては、スニーカーを製造するときに出る端材を使って何かできないかと考えることだ。
この取り組みを進めるにあたり、声をかけたのがアーティストデュオNerholとしても活動するグラフィックデザイナーの田中義久さん。田中さんから出たアイデアはなんと、和紙を使ってスニーカーを作るというアートプロジェクトだった。

1回目の研究では、〈ニューバランス〉のスニーカーを作る工場からスエードやメッシュ、リフレクターなどの端材を使って、徳島県にある和紙工房「アワガミファクトリー」で手漉き和紙を作成した。
楮などの植物の繊維を混ぜ合わせて和紙を作る工程に、レザーやメッシュ、スエードなどの廃材を繊維状になるまで細か〜くカットした端材を材料の一つとして加えるというわけだ。

粉砕した端材を和紙の溶液に流し込んでいくため、綺麗なマーブル模様が浮き出てくる。そうして作られた生地を使って作られたのが上のスニーカーとシューズボックス。
う……美しい! よく見ると毛羽立ったメッシュの繊維や、キラッと反射するリフレクター素材も見て取れる。マーブル模様のスニーカーなんて見たことないし、今すぐにでも履きたいんだけど、これらはあくまでもアートとして作られたものなので、実際に履くことはできない。

だとしても、本来ならば捨てられる工場のゴミから、うっとりするようなスニーカーを作るなんて面白い研究じゃないか。
この1回目の研究結果からスエードとヌバックの素材が和紙にする上で相性が良いことがわかった。その発見を生かし、今回発表された2回目の研究に続くのだ。

そしてこれが今回初めて発表された和紙スニーカーの第2弾! スニーカーに使われたスエードとヌバックの端材を色ごとに分けて和紙に流し込むことで、より鮮やかなマーブルカラーを誕生させた。確かに、前回に比べて和紙と端材はしっかりと一体化しているように見えるけど、やはり、まだ履けないんだって。あくまでもアートとしてね。かっこいい。
しかし! 今回はこのアップサイクルの取り組みを実際に僕らも手にすることができるように、こんなものも作成されていた!

一つ一つ表情の違うシューズボックス。

どどん! シューズボックス!
このボックスに使われている和紙は、量産化を見据えて手漉きではなく機械生産。色鮮やかなスエードやヌバックの繊維が均一に混ざった和紙は、ダンボールに貼り合わせることで実際の使用にも耐えられるようになった。「new balance」や「NB」のロゴには手漉き和紙が使用されていて、一箱一箱ロゴを切り出して組み合わせる手の込みようだ。

シューズボックスって靴を収納する以外にも例えば、キャップや靴下などの小物をしまうのにも使えちゃうし、あると意外と便利なのよ。それがこんな綺麗なボックスだったらなおさら部屋に置いておきたくなる。
そしてこのシューズボックス、買えば手に入るというわけではないのだ。


〈ニューバランス〉のシューズをクリーニングに出すと、
和紙のシューズボックスと一緒にカムバック!

インスタレーションの期間中(〜8月10日)に〈ニューバランス〉のスニーカーを『T-HOUSE New Balance』内の特設ブースでクリーニングに出せば、1週間ほどで綺麗サッパリになって、さらに特製の和紙シューズボックスに入って帰ってくる。
それも全ての〈ニューバランス〉のモデルがサービスの対象。クリーニングメニューは以下の2種類。

メニュー
① 水洗い・手洗い(本体+シューレース):2,750円
② 水洗い・手洗い・防水&防臭加工(本体+シューレース):3,850円

その他のご案内事項
・何足でも出せるけど1日に2足まで!
・シューズボックスは数に限りがあるので、なくなり次第配布は終了とのこと!

〜〜7 DAYS LATER……〜〜

パンパカパーン! 綺麗にクリーニングされたスニーカーが和紙のボックスに入ってカムバック! いろんな取材やら撮影に履いて行って薄汚れていた「M1700」が真っ白になって戻ってきた。特別なシューズボックスに入っているもんだから、新しいスニーカーを買ったときのような高揚感すらある。
汚れて靴箱に眠っていたスニーカーも綺麗になればフレッシュな気持ちで履けるし、〈ニューバランス〉のスニーカーは履き潰すというより、大切に長く履き込んでいくほうが似合う気がする。それに、すでに持っているものを大切に使うことが、僕たちのできる一番身近な地球に優しいことなのかもと思ったりもする。


このインスタレーションは研究の過程が順に展示されているから、生地の開発やアップサイクルについて一緒に考えている気分になるし、最近履いてなかったスニーカーを綺麗にして再び履くきっかけにもなる。
まだまだ研究は継続中。もっと研究が進んで和紙のスニーカーを履けるようになったら最高だし、今後も『T-HOUSE New Balance』の動向に注目していかないとな、と勝手に使命感を得て日本橋浜町を後にしたのだった。