TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
LIFESTYLE

【#1】嫌いな生き物

2021.07.10(Sat)

 始めまして、獣医師として(当時は飼育時々獣医でしたが)旭山動物園に配属になり現在は園長をしている坂東です。

 さて夏本番ですね!コロナ下でアウトドアブームも過熱気味のようで、今年は虫取りにチャレンジしてみようかな、なんて考えている人も多いのではないでしょうか?自分は小学生の夏休みはほぼ毎日虫取り、夏休みの工作は昆虫標本でした。

 今でも虫は大好きなのですが、唯一苦手というか、もしも体に付こうものなら気絶するほどダメなのが毛虫です。これは生理的に、というよりトラウマです。小さい頃は毛虫をたくさん捕まえて砂に埋めて誰が一番先に出てくるかなんて遊んでいました。毛虫は好きな方だったのですが…。

 第1の事件は小学2年生の夏休み、父親と裏山に虫取りに行った時のことです。草藪の中を父の後に付いて歩いていたのですが、ふと目の前の草に大きな毛虫が付いていました。なぜかとても怖くて前に進めなくなりました。すると父が戻ってくるなり「男のくせに情けない!虫かごに入れて連れて歩け!」と言い、どうやって虫かごに入れたかは覚えてないのですが、泣きながら毛虫入り虫かごを首からぶら下げて歩かされました。

 第2の事件は小学4年生の学校帰りの通学路。住宅街を歩いたりしていると道ばたの雑草や生け垣の葉をむしって、指でもみつぶしたりして歩きますよね?そうまさに指先で草をもみもみしているとなんかネチョネチョ。手を見るとケムシがつぶれていたのです。ぶっ倒れそうになりました。これが2回もあったのです。

 ちなみに父の「男のくせに…」はまだまだあるのですが、お子様にはあまりスパルタ教育にならないように…ちなみに毛のないアゲハの幼虫なんかは平気でむしろ可愛いくらいです。

 なんだ動物園の話じゃないのか!すいません。ではサルの仲間が嫌いな生き物はなーんだ?あなたもサルの仲間です。もしかしてヘビ?何かいやな体験をしましたか?きっと実物のヘビを見たことなくても嫌いな人が多いのではないでしょうか。実はサルの仲間は本能的にヘビが嫌いです。チンパンジーやテナガザルなど旭山動物園のサルの仲間も園内にいるアオダイショウが放飼場の外を這っているだけでパニックを起こします。別にいやな体験があるわけでもないのに怖がる理由もないのに異常なまでの反応をするのです。はるか昔に僕らの祖先がネズミのような小さな生き物だった頃,ヘビや爬虫類は天敵でした。その頃の記憶が受け継がれ本能的にヘビを忌避するのだと思います。サルの仲間が生息する熱帯や亜熱帯では、小型でも猛毒を持つヘビがたくさんいます。ヘビを怖がらない個体は自然の中では生き残れないでしょう。

 だけど触ってみてなんだけっこうツルツルして気持ちいいじゃんとなると、むしろ可愛いかもとなります。さすがヒト、学習ですね。僕もその一人でしたが、マムシに噛まれるとんでもない体験をしました。やはりもっと本能的な感性は磨いておかないといけませんね。特にアウトドアではヘビは要注意ですよ!

脱皮中のヘビ!

プロフィール

旭山動物園

昭和42年、日本最北の動物園として開園。市外や外国からの観光客も合わせて毎年140万人前後の入園者数を誇る。国内動物園で初めて繁殖に成功した動物園に送られる「繁殖賞」を、ホッキョクグマをはじめ、20回受賞している。

公式instagram公式twitterはこちら。旭山動物園の動物を24時間ライブ視聴できる動画配信サービスも提供中。
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