WHERE WEAR Vol.4

〈Horses〉の赤ニットと堪能する、秋とジャズ喫茶。

2026年11月1日

cinematography & color: Yusuke Mizoguchi
styling: Yutaka Aoki
hair & make: HORI
direction: Arisa Ito
photo: Natsuki Ito
edit: Miu Nakamura

パーティではスーツ、レストランではジャケットみたいに、常識的なドレスコードは教科書を見ればわかる。だけど、近所の中華料理屋や少し離れた博物館では、どんな服で遊びに行けば心地よく過ごせるのか。ファッションムービー「WHERE WEAR」の主人公は、いつもそんな“些細な服のTPO”を大事にする。

 突然だけど、最近、大人になるとはどういうことかって、ずっと考えてる。仕事や服装のTPOを知ることも大切だ。でも、歳を重ねても好きなものに夢中でいられる大人にこそ、僕は憧れる。

 今日はいつもより少しだけおしゃれをして家を出た。選んだのは、今秋にスタートした〈Horses〉の鮮やかな赤のニット。理想の大人像に一歩近づけてくれる一着だ。〈Horses〉は、日本の技術と生産背景を生かし、シーズンごとに1つの素材に絞って服を作るブランド。デザイナー名を公表せず、服そのものを見てほしいという姿勢もユニークだ。数年かけてコレクションを積み上げ、1つのワードローブを完成させるという。ファーストシーズンは、プルオーバーからビーニー、ワインボトルスリーブまで、ニットオンリーの展開が面白い。

 赤といえば、ソニー・ロリンズも好んで着ていた色。ジャズを聴きに行くなら、これくらいの遊び心があってもいい。というのも、今日行こうと思っていたのは、神保町にあるジャズ喫茶「On a slow boat to…」だから。

 店内には、中音域の音抜けが抜群な1970年代の〈アルテック・ランシング〉のヴィンテージスピーカーがある。一杯ずつ丁寧に淹れた香り高いコーヒーを片手に、そこから流れるジャズに酔いしれるひとときは何物にも代えがたい。それでいて、堅苦しさがないのも魅力だ。店主の白澤さんは音楽誌にレビューを寄稿するほどジャズに詳しく、棚にはロックやポップスのレコードも並ぶ。リクエストやお客さんとのおしゃべりもOKな気軽さもある。長年培った音楽への愛情や知識を、誰もが気軽に楽しめる場所として開放しているのだ。

 急がず焦らず、好きなものとじっくり向き合い、少しずつ積み重ねていく。そんな〈Horses〉の姿勢は、白澤さんの音楽との向き合い方にも通じる気がする。豊潤なジャズの音色に耳を傾けながら、こんな時間を大切にできる大人に、僕もなれたらいいなと改めて思った。

Back home…

コーデュロイパンツ¥47,300(バウルズ info@vowels.com) サイドゴアブーツ「シャンフォート」¥110,000(パラブーツ/パラブーツ 青山店☎︎03・5766・6688) その他は私物

今回のアイテム

〈Horses〉のニット

スタンドカラープルオーバー¥66,000(ホーシズ info@horses-mm.com)

今回訪れた場所

On a slow boat to ...

2021年に神保町にオープンした音楽喫茶。店名はジャズの曲『On a Slow Boat to China』と村上春樹の短編『中国行きのスロウ・ボート』に由来。「…」には行き先はあなた次第、という思いが込められている。店主の白澤さんは、浪人時代を過ごした神保町・御茶ノ水に思い入れが深い。店内には古い建物の床が残され、アンティーク家具や本が並ぶ。コーヒー(¥800〜)は週に1度自家焙煎する深煎り豆を5〜10分かけてネルドリップ。キーマカレー(¥1,250)や自家製スコーン(¥750)と一緒にいただけば、その豊かな風味がもっと引き立つからおすすめだ。

◯東京都千代田区神田猿楽町1-5-20 ☎︎03・5244・5655 水 11:30〜18:00、木金 11:30〜22:00、土 12:00〜21:00、祝 12:00〜19:00、日月火休 ※ライブ開催日は17:00閉店。祝日営業に伴う振替休業あり。

Official Website
https://slwboat.com/

Instagram
https://www.instagram.com/slwboat/