フード

太巻きを並べてみてわかったことがある。

2024年3月23日

photo: Wataru Kitao, Yuki Sonoyama
text: Eri Machida

図鑑にするほどではないけれど、比べて観察できたらちょっと嬉しい。そんな食べ物やアイテムを勝手に並べて分析してみる「似て非なるもの調査隊」。初回は太巻き。海苔をとっても国産だったり、生海苔だったり、具材にしても東京湾の大穴子をメインにしているものもあれば、きゅうりが主役のものまで幅広い。さらに、お米の品種や具材のボリュームなどが店や店主の好みによって変わるから、見た目はほぼ一緒だけど、口に入れたときの違いは大きい。寿司とおにぎりという米界の2大ファストフードに挟まれて、影がちょっと薄かったけれど、探り出すと奥が深かった。

①お鮓所 醍醐 売店

WIDTH 横 5.8cm                                                       1本(9個) ¥1,200
HEIGHT 高さ2cm
DEPTH 縦 4cm
46g

WIDTH 5.8cm
HEIGHT  2cm
DEPTH 4cm
46g

1本(9個) ¥1,200

1本(9個) ¥1,200

 江戸末期に深川で創業し、日本橋、銀座を経て、昭和11年に田園調布で開業した寿司店『醍醐』。本店まで足を運ばなくても、田園調布駅構内にあるテイクアウト専門店で手軽に購入可能。ガラス張りの厨房で、注文後、職人さんが作ってくれる。具材は全て国産で、富山県産コシヒカリ、大分県竹田産のしいたけ、栃木県壬生産のかんぴょう、大田区大森の海苔を使用。シンプルな材料だからこそ、素材1つ1つの上質さが際立っている。羽田沖の新鮮な穴子ときゅうり、かんぴょう、玉子の太巻き「羽田巻き」や大田区のお土産100選にも選ばれている「茶巾寿司と穴子の箱寿司」などもある。

インフォメーション

太巻きを並べてみてわかったことがある。

お鮓所 醍醐 売店

◯東京都大田区田園調布2-25 東急スクエアガーデンサイト ☎︎03・3721・3490 8:30〜19:00、月曜のみ8:30〜17:00 無休

②すし処 桃山

WIDTH 5.8cm
HEIGHT 2cm
DEPTH 5cm
51g

4個入りパック¥420 1本(8個入り)でも購入可能。色合いを綺麗に見せるため、玉子はV字に揃えている。

『自由が丘デパート』の駅側の入り口付近にたたずむ持ち帰りと出前専門の寿司店。ビルが建てられたのと同じ年の1953年に創業。33年間勤めているオーナー兼板前の布施清さんは、毎朝5時半から準備を始める。具材多めお米少なめで、かんぴょう、玉子、三つ葉、桜でんぶが入っており、三つ葉が爽やかでいい香りの後味が残る。一度冷凍して解凍することが甘い玉子焼きの秘密だ。ベーシックコレクション以外にも、蟹や穴子、五目ごはんの太巻きもあり、柚子入りや海苔を2枚使用した特選太巻きも時々登場。宣伝などはしていないので見つけた日は買ってみよう。

インフォメーション

太巻きを並べてみてわかったことがある。

すし処 桃山

◯東京都目黒区自由が丘1-28-8 自由が丘デパート1階 ☎︎03・3717・7449 10:00〜20:00 水休

③マイスター工房八千代 銀座

WIDTH 6.5cm
HEIGHT 2cm
DEPTH 4cm
49g

天船巻きずし¥1,300(8個)  お米は新潟県産のこしいぶき。

 兵庫県多可町にある本店で1日に1500本〜2000本売り上げている太巻き専門店『マイスター工房 八千代』が2023年1月に銀座にオープン。太巻きのメインはきゅうり(!)で、かんぴょう、平飼いの卵を使用した玉子焼き、しいたけ、高野豆腐も入っており、食べ応え抜群。海苔は出川哲朗さんの実家である『つた金』。ひと口目は厚焼き玉子の方を食べ甘辛く味付けされた具材を楽しみ、二口目にきゅうりを食べることが推奨されている。

インフォメーション

太巻きを並べてみてわかったことがある。

マイスター工房八千代 銀座

◯東京都中央区銀座7-11-3 ☎︎03・6264・6323 11:00〜18:00 月休

Official Website 
https://www.maneki-co.com/yachiyo-ginza/

④有職

WIDTH 6cm
HEIGHT 2cm
DEPTH 4.5cm
48g

利久  6個入り¥1,588、8個入り¥2,517

利久  6個入り¥1,588、8個入り¥2,042

 1933年に創業した『有職』は皇室の園遊会や茶会などにも利用されている老舗上方寿司店。笹の葉に包まれている「ちまき寿司」や、茶巾に見立てた薄焼き玉子を使った「茶巾寿司」発祥の店として知られている。じっくり焼いた穴子と奈良漬けの太巻き「利久」は先輩への手土産にも堂々と持っていける品格あり。海苔は生海苔を使っており、焼いていないため海苔本来の風味が強く感じられる。近海物の脂の乗った穴子を厳選し、創業以来使い続ける秘伝のタレで味付け。年間を通して変わらない味で提供するため、季節ごとに最適なお米を選んでおり、12月は秋田県産のつぶぞろい。

インフォメーション

太巻きを並べてみてわかったことがある。

有職 本店

◯東京都港区2-2-21 永田町法曹ビルB1 ☎︎03・3560・7577 平日9:00〜16:00、日祝9:00〜15:00 無休

⑤越路

WIDTH 5.5cm
HEIGHT 2.7cm
DEPTH 4.5cm
53g

4個入り¥270

 1956年創業の和菓子とお惣菜、喫茶の店『越路』。太巻きは4つで270円とリーズナブルで、おやつ感覚で買えるのが嬉しい。具沢山の太巻きには、かんぴょう、玉子、きゅうり、かにかまぼこ、桜でんぶ、しその実漬けが入っていて、お米は千葉県産のコシヒカリを使用。イートインメニューには太巻きだけでなく、いなり寿司やおにぎり、地元でファンの多いラーメンまであり、あんみつやお汁粉など甘味も食べられるから、ランチタイムを逃したときや小休憩にぴったり。

インフォメーション

太巻きを並べてみてわかったことがある。

越路

◯東京都目黒区祐天寺2-9-3 ☎︎03・3712・4354 9:00〜19:00 月休