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Nothing But Dickies
Dickies
2023年8月9日
photo: Shingo Goya
text: Koji Toyoda, Neo Iida, Shintaro Kawabe(snap)
special thanks: Akeem
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/dma-R100103-03.jpg)
この写真を見て、「あ、若かりし頃の江川芳文(ヨッピーさん)だ!」ともし分かる人がいたら、それはかなりのスケート通もしくはパイセンだろう。その隣は、誰かと言えば尾澤彰さん。1984年に東京で結成されたスケートチーム「T-19」のメンバー(スケシンさんやHFさんも所属)で、チーム初のプロスケーター。“スケボー”が根付き始めた‘90年代初頭の東京スケートカルチャーを語るに欠かせないレジェンドである。しかし、お二人とも若いなー。一体いつの写真なんです? とヨッピーさんに聞けば、なんと1991年! SFで開催された伝説的なスケートコンテスト「BACK TO THE CITY」に出場(現在は、絵師として活動するESOWさんも一緒に)したときに、友人のケニーさん(T-19メンバー)宅で撮影された1枚とか。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/dma-R100103-02.jpg)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/dma-R100103-04.jpg)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-e3b5ff2eae5d7192965ce7fc00a5c17dd6735a4.png)
この写真を見れるだけで貴重なんだけど、何よりも注目して欲しいのは、先輩方が履いてるパンツ。ただのチノパン? と思うなかれ。絶妙な光沢感を放ったそれは間違うことなき〈ディッキーズ〉の「オリジナル874」。スケーターのパンツと言ったら、〈ディッキーズ〉がもはや当たり前の存在になっているけど、その歴史は90年代初頭頃に始まったみたいなんだ。その元祖は、〈アンタイヒーロー〉のジュリアン・ストレンジャーだとする説や、ビースティボーイズ由来のワークウェアブームの流れという説もあるけれど、ヨッピーさん曰く、当時のトレンドは40インチを選んでデカ履き。細いウエストだと腰回りが突っ張っるから、デカいサイズを靴紐でギュッと絞って履くと調子が良かったみたい。日本ではビッグサイズを扱う店はなかったそうだから、アメリカ遠征に行ったときに『TARGET』で何本もゲットしては穿き潰していたんだって。そんなレジェンドたちの背中、いや足元を見て、東京のスケーターに〈ディッキーズ〉が浸透していったのは確か。ここぞとばかりに僕もデカ履きしてみようかな?
江川芳文
〈Hombre nino〉〈XLARGE〉デザイナー
「西海岸のローカルスケーターたちが、「オリジナル874」を履いている姿に憧れて。自分も真似して履くようになったのが、〈ディッキーズ〉との出合い。男っぽい雰囲気だし、お得意のT/Cツイルはグリップテープが当たってもまったく気にならないほどタフ。僕はダボダボな40インチを選ぶようにしていたので、裾が擦り切れたらクロップド丈にして、暑い夏になるとカットオフしてショーツに。一本を余すことなく有効活用していましたね。足元は、オリジナルキャンパスが多かったかな。当時のアメリカのスケーターたちの間では、40インチの〈ディッキーズ〉が定番だったこともあってか、後にトミー・ゲレロが〈フォーティーズ〉と言うブランドを始めるんですよ」
尾澤彰
職人、〈TRAEVISO〉デザイナー
「この写真を撮影した’91年頃は、〈ディッキーズ〉や〈ベン・デイビス〉、〈エクストララージ〉にも似たタイプのワークパンツがあったので、それらをルーティンして履いてましたね。江川はデカ履きでしたが、僕の場合はちょい太め。34インチくらい。エンジニアブーツでスケボーしていたこともあるくらい古着好きだから、〈JCぺニー〉のユーズドシャツなんかとよく合わせたり。とにかく丈夫だからクタクタになるまで使えるんですが、生地がヤレすぎなのは個人的に好きじゃなかったので、いい塩梅のところで履き替えるようにしていたかな。それこそ、LAのメルローズ通りの古着店で状態のいいものを何本もまとめ買いして。色はネイビーや水色、白をよく選んでいましたね」
ESOW
絵師
「‘87〜’88年頃はハワイとLAに住んでいて、現地のスーパーで買ったのが最初。その前は『中田商店』で買った軍パンや〈リーバイス〉でした。俺ら〈ドッグタウン〉が大好きで、創設者のジム・ミューアの弟がやってるスイサイダル・テンデンシーズが〈ディッキーズ〉にネルシャツにバンダナ巻いて〈バンズ〉履いてるのを見て、そういう格好をし出した気がします。あとLAのギャングもチノを膝で切って、ハイソックスに〈ナイキ〉のコルテッツでした。90年代に入るとビースティ・ボーイズが流行って、より〈ディッキーズ〉や〈ベン・デイビス〉が広まった感じです。当時の〈ディッキーズ〉は工事現場のおじさんが履く作業着。丈夫で破けないし、安いのが良かったんです」
片山寛世 13歳
中学生
PAINTER PANT(used)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7703-Edit.png)
千島楽 22歳
『ARKTZ HARAJUKU』スタッフ
LOOSE FIT DOUBLE KNEE WORK PANT
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7987-Edit-1.png)
アリーヤ・ショランケ 19歳
学生
FLAT FRONT WORK PANT SHORT LENGTH
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7935-Edit.png)
山下輝彦 43歳
タチアナ焙煎所店主
original 874
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7635-Edit.png)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7624-Edit.png)
児玉柊太朗 15歳
学生
WORK PANT SHORT LENGTH(used)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7851-Edit-1.jpg)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7847-Edit.jpg)
八木健史朗 38歳
『YAGIMOKKO』代表
original 874
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-Nikon-3272-Edit.png)
高田侑澄 21歳
『prov』スタッフ
DOUBLE KNEE WORK PANT(used)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7690-Edit-1.png)
宮田佐夢 25歳
『16(Sixteen)』スタッフ
874 FLEX WORK PANT
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/08/DMA-_DSC7731-Edit.png)
’90年代初頭にスケーターたちの信頼を勝ち得た〈ディッキーズ〉は、それから30年以上経った現在もパークやストリートでガシガシと滑りまくるヤングガンズたちのユニフォームであることに変わりはない。みな安くて、丈夫で、量販店やスケートショップなど、どこでも手に入るこのチープシックをやっぱり自由に穿いてる。憧れのスケーターを真似てクロップ丈にしたり、好きなモチーフや言葉を自らプリントしてみたり。モデルもスーパーベーシックな「オリジナル874」だけにこだわらず、ペインターやダブルニー、派生モデルの「FLEX」など、自分のスタイルにぴったりな一本をチョイス。もはや〈ディッキーズ〉はヤングなスケーターたちのスケボーカルチャーの入り口で、OGたちには絶対に欠かせない存在になっている。その上、今や〈ディッキーズ〉は、伝説的なムービー『ビデオデイズ』で早熟な滑りを披露した天才、あのガイ・マリアーノを擁するスケートチームも運営しているし、この先もスケーターとの蜜月が覆ることはないね。もし明日からスケボーを始めようかなとお悩み中のキッズは、デッキと一緒に〈ディッキーズ〉のワークパンツを一本買っておけば間違いないよ。
インフォメーション
Dickies
Official Website
https://www.dickies.jp/
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