ライフスタイル

ホットロッドって一体何ですか?

2022年6月4日

photo: Yutaro Tagawa
text: Keisuke Kagiwada
2022年6月 902号初出

右が葛木良さんで、左はその父であり『ロッドモータース』代表の葛木誠さん。
2人の後ろにあるのが、ドラッグレースの日本記録を出した’64年型コルベットだ。

 映画『アメリカン・グラフィティ』を観たら、「一度はホットロッドに乗ってみたいなぁ」と誰だって思うはず。でも、本作に登場するカスタムされたアメ車がホットロッドと呼ばれているのは知っていても、その言葉の持つ実際の意味は知らない。教えてわかる人!

「大まかに言えば、車を自分好みにカスタムして遊ぶことを指す言葉ですかね。’60 年代頃のアメリカにおいて、ガレージで自分の車のホイールを大きくしたりするところから始まっていると思います」

 そう教授してくれたのは、アメ車専門カスタム&チューニングショップの老舗、『ロッドモータース』の葛木良さんだ。なるほど。その上、ホットロッドというとビジュアルの迫力に目が行きがちだが、真の目的はそこではないという。

現在、お店でカスタム中のトランザム。シートが臙脂だったのを白に変え、車高を低くし、ホイールもチェンジしたそう。

「『アメリカン・グラフィティ』には、直線の公道でドラッグレースをするシーンがありますが、’60 年代のアメリカでこれが若者たちの間で大流行していたんですよ。だから、とにかく速くするためにみんないろいろなカスタムをした。まずは強力なエンジンを載せ、そのパワーをしっかり生かすために後ろタイヤを太くし、太くしたらはみ出しちゃうからボディも作り替え……。そうやって、外装もどんどん変わっていったんです」

 葛木さんが速さにこだわる理由は、ご自身がドラッグレーサーであり、日本記録保持者だからだ。

原型をとどめないくらいカスタムされた’69年のコルベットもお店でメンテナンス中。
外装のごつさや中にあるメーターの多さも含め、完全にバッドモービル。

「僕の’64 年型コルベットは、よーいドンで時速250㎞くらい出るようにカスタムされていますから、もう人間の乗り物じゃない(笑)。ホットロッディングの最終形態ですね。もちろん、店では速さのためだけではないカスタムもやっています。お客さんの中には映画を観て、『こういうふうにしたい』って人も多い。『ゴースト・バスターズ』のECTO-1みたいな車を作れますか?』とか(笑)。『アメリカン・グラフィティ』もそうですが、日本のホットロッド文化は、映画の影響が大きいですね」

インフォメーション

ROD MOTORS

1977年にサンフランシスコで開業し、’81年に現在の場所に移転。’50年代から’80年代前半のアメ車のカスタム、チューニング、メンテナンスまでを行っている。オートマをマニュアルに変えてほしいなんていうマニアックな依頼も対応可。

◯神奈川県横浜市都筑区高山18-8 ☎045·942·2229 9:00~20:00 不定休