PROMOTION

銭湯店主、風呂へゆく。

目指すは文京区にある『ふくの湯』。

2022.06.08(Wed)

photo: Naoto Date
edit: Neo Iida

お風呂に入る前に……

前回の「銭湯店主の風呂噺。」では、墨田区にある銭湯『御谷湯』の若旦那・片岡シンさんに、「銭湯で働く人はどうやってお風呂でととのっているの?」という質問をぶつけてみた。そして今回は、片岡さんが気になっているという銭湯を、一緒に訪ねてみることにした。目指すは文京区にある『ふくの湯』だ。

『大黒天の湯』でくつろぐ片岡シンさん。鳥取県の三朝温泉をモデルとした人工ラジウム温泉。柔らかいお湯が肌に潤いをもたらしてくれるそう。

「銭湯の仕事をしていると、なかなか他の風呂に入る機会がないんですよ」

そういう片岡さんと一緒に、ぶらり千駄木へ。本郷通りから細い路地を抜けると、寺院や渋い菓子店が見えた。『御谷湯』のある墨田区石原も、『ふくの湯』がある文京区千駄木も、ざっくり“下町”とひと括りにされがちだけど、似ているようでちょっと違う。千駄木は東京大学や東京芸術大学を有し、夏目漱石や川端康成が居を構えたことでも知られる文学の街だ。また地形的には本郷台地に根ざす山手エリアに属している。下町にもそれぞれの街の顔があるのだ。

壁面に“一富士二鷹三茄子”が踊る『大黒天の湯』。銭湯絵、タイル、ペイント、円柱と、スタイルの異なる装飾を違和感なく同居させてしまうのが今井さんの真骨頂。

『ふくの湯』の創業は1972年。歴史ある銭湯を2011年にリニューアルし、現在の洗練されたデザインに生まれ変わった。

「うちの銭湯も、同じ銭湯設計の今井健太郎さんにお願いしてリニューアルしたんです。だから一度見てみたかったんですよ」

というわけでさっそく入浴。浴場は週替りで切り替わるそうで、この日の男湯はラジウム泉の「大黒天の湯」。壁面には中島盛夫さんによる縁起のよい一富士二鷹三茄子が堂々と描かれている。お隣の「弁財天の湯」は日本最高齢絵師である丸山清人さんの雄大な赤富士が。浴場の仕切り部分の絵は、ペインティングユニットGravityfreeによる大黒天と弁財天がそれぞれペイントされている。タイルで表した松もモダンだ。

週替りで様々な薬湯が楽しめる『弁財天の湯』は、中央に6角形の洗い場があるのが印象的。この日は真っ青なひのきオイル入りだった。

「日本を代表するふたりの銭湯絵師さんの絵が拝めるなんて贅沢ですね。このきらびやかな世界観でお風呂に入れるなんて、すごく気持ちがいいです」

そこへ店主の村西彰さんがやってきて、銭湯絵の話をしてくれた。

「一富士二鷹三茄子というのは、この辺りで生まれた言葉なんですよ。まず駒込富士神社は江戸時代から“富士講”で有名で富士塚もある。また、近くに鷹匠屋敷があったそうです。そしてこの地域では駒込茄子が名産。この地域には縁起物の3点が揃っていたんです」(村西さん)

『弁財天の湯』の片隅にある一人用の「壺湯」。天井にはGravityfreeが描いた鳳凰が羽ばたいている。そっと瞑想したい。

そういえば『御谷湯』でも葛飾北斎にちなんで富嶽三十六景の絵が描かれていたっけ。地域に由来する銭湯絵があるって、なかなか粋だ。こうしたアイデアも、各銭湯の店主が今井さんと相談するなかで生まれていくという。都内にある数々の銭湯デザインを手掛ける今井さん。依頼が絶えないのにはこんな理由があると片岡さんが教えてくれた。

「建築家の方に依頼すれば、きっとおしゃれな銭湯って作れると思うんです。でも今井さんは銭湯の構造を理解してくれている。配管のためにはスペースを取らないといけないし、お風呂を沸かす設備も、電気風呂やサウナなどの電気系統も複雑です。銭湯ならではの設計というのがあるんですよね。そういうことまで含めてお願いできるので、みんな安心してお任せできるんだと思います」

湯から上がって「ポカリスエット イオンウォーター」をごくり。ラジウム温泉でじわっと温まった体に、さわやかな甘さが沁みる。

ラジウム泉でポカポカに暖まったら小休止。水分もしっかりとって、しばしの休息を。開店したばかりの『ふくの湯』には、地元のお客さんがどっと押し寄せた。この光景は『御谷湯』とも変わらないが、片岡さんは11時開店ということにびっくりしていた。

「銭湯をやっている者からすると、すごいことだと思います。うちでも頑張って15時ですから。夜まで営業して11時に開けるというのは、体力的にもけっこうきついんです。ご家族で頑張って、地域のために営業されているんだと思います。お客さんにとって午前中からお風呂に入れるって、すごく嬉しいことですもんね」

さらに、入り口の階段部分にあった電動リフトにもいたく感心。バリアフリーに関しては、銭湯をやるうえで欠かせない要素だと片岡さんは言う。

「お風呂屋さんって地域のものなので、その人たちがいかに心地よく使えるかを考えたときに、高齢者が増えてきたら福祉的な取り組みをしないといけないと思うんですよね。『御谷湯』でも家族で利用できる介護風呂を作っていますし、段差もなくしていますし。そういう工夫をしながら、全世代が楽しく集まれるお風呂でありたいですね」

店主の村西さん。『御谷湯』の社長(片岡さんの義理のお父さん)とはゴルフ仲間なんだそう。村西さんは2代目で、3代目を息子さんが継ぐ予定。

公共浴場としての役割を果たす銭湯。しかし、東京では年々銭湯が閉業している。令和2年には500軒を切り、令和3年時点には481軒になった(東京都浴場組合ウェブサイト「東京銭湯」より)。

「銭湯が閉まると経営難だと思われがちですが、土地も資産もある方が多いので、どちらかというと継ぎ手の問題が大きいんです。休みがないし、掃除も大変だし、なかなか子や孫の世代が継ぎたがらない。外部から『やってみたい!』と手を挙げてくれる人もいますが、『年金があるしなあ』という感じでしょうし、文化を残そうとまでは考えないですよね。足立区の大黒湯や台東区の蛇骨湯など、銭湯界のビッグネームがどんどん閉業しているのはとても寂しい。なんとか残していけたらと思うんですけど」

銭湯に入る前に飲んでおきたい「ポカリスエット イオンウォーター」。水分とイオン(電解質)をほどよくチャージしながら、健やかなバスタイムが過ごせる。入浴後にはもちろんぐいっと飲んで水分補給を。さっぱりとした甘さで飲みやすい。

後継者問題に揺れる銭湯業界だが、『御谷湯』や『ふくの湯』のように高齢者に配慮し、デザインも刷新して、時代にあわせてアップデートを続ける銭湯もある。

「11時から開いてるわけですから、谷根千散策をしてひとっ風呂浴びるなんて最高ですよね。地元の人はもちろん、多くの人に銭湯の魅力が伝わればいいなと思います」 片岡さんも『ふくの湯』のお湯に大満足のご様子。江戸から脈々と受け継がれる貴重な銭湯体験が、これからも楽しめますように。東京の銭湯は、いつの時代も最高だ。

千駄木の街の銭湯『富久の湯』として、1972年にオープン。2011年にリニューアルを行い、現在のデザインに。その際、名前も「ふくの湯」となった。大黒湯と弁財天のふたつの風呂があり、週替りで男湯と女湯を入れ替えている。『ふくの湯』
○東京都文京区千駄木5-41-5☎ 03・3823・0371 11:00〜24:00、土・日・祝8:00〜24:00 木休 入浴料は大人¥480
ととの湯プロジェクト 公式サイトはこちら

銭湯の帰り道に聴きたくなるプレイリストを片岡さんに作ってもらった!

プロフィール

片岡シン

かたおか・しん/1977年、兵庫県生まれ。バンド「片想い」でボーカル・三線を担当する傍ら、墨田区石原の老舗銭湯『御谷湯』では3代目の若旦那として店を切り盛りする。アルバム『B my baby』発売中。

インフォメーション

「ポカリスエット イオンウォーター」でととの湯

入浴前に「ポカリスエット イオンウォーター」を飲んで、たくさん汗をかいて、いつもより気持ちいい入浴体験をしよう! というプロジェクト。サウナに入らずともしっかり水分補給をしてお風呂に入れば、パカーンと気分が晴れるのだ。レッツトライ!
SHARE: