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『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』をチェックする。

リム・カーワイ(監)

©cinemadrifters

 マレーシア出身の映画監督リム・カーワイは、大阪を拠点にしながら、世界を股にかけて映画を作る“シネマドリフター(映画流れ者)”だ。こちらは2024年に休業宣言した彼が、15年前に撮ったデビュー作のデジタルリマスター版。なのだが、戸惑うしかないほどの問題作だ。主人公のア・ジェは10年ぶりに故郷に帰還するが、なぜか家族もご近所さんも彼のことを覚えてない。しかし、実は覚えてないふりをしていただけだというレストランの店主が、この異常事態の鍵を握る男のところへ連れていくという。「なるほど、こっち系のミステリか」と観客が安堵したのも束の間、なぜかア・ジェは処刑されてしまった……のかと思いきや、タイトル画面を挟んだ次の場面では、 生きているア・ジェが例のレストランを訪れる。まるで条件の変わった別の世界線で、同じ時間を生き直すかのように。という禍々しい展開にもかかわらず、語り口は心地よさすら感じられるほど静か。なんなんだ、この映画は! 11月29日より全国順次公開。

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