マレーシア出身の映画監督リム・カーワイは、大阪を拠点にしながら、世界を股にかけて映画を作る“シネマドリフター(映画流れ者)”だ。こちらは2024年に休業宣言した彼が、15年前に撮ったデビュー作のデジタルリマスター版。なのだが、戸惑うしかないほどの問題作だ。主人公のア・ジェは10年ぶりに故郷に帰還するが、なぜか家族もご近所さんも彼のことを覚えてない。しかし、実は覚えてないふりをしていただけだというレストランの店主が、この異常事態の鍵を握る男のところへ連れていくという。「なるほど、こっち系のミステリか」と観客が安堵したのも束の間、なぜかア・ジェは処刑されてしまった……のかと思いきや、タイトル画面を挟んだ次の場面では、 生きているア・ジェが例のレストランを訪れる。まるで条件の変わった別の世界線で、同じ時間を生き直すかのように。という禍々しい展開にもかかわらず、語り口は心地よさすら感じられるほど静か。なんなんだ、この映画は! 11月29日より全国順次公開。
22:45〜NHK BS『BS世界のドキュメンタリー 選』を見る。
「潜入調査 ネット極右の正体」 世界のテレビ局や独立系プロダクションが制作したドキュメンタリーを放送する当番組。 白人至上主義に傾倒する男性を装ってSNSアカウントを作成したジャーナリスト。ネオナチ組...
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