マレーシア出身の映画監督リム・カーワイは、大阪を拠点にしながら、世界を股にかけて映画を作る“シネマドリフター(映画流れ者)”だ。こちらは2024年に休業宣言した彼が、15年前に撮ったデビュー作のデジタルリマスター版。なのだが、戸惑うしかないほどの問題作だ。主人公のア・ジェは10年ぶりに故郷に帰還するが、なぜか家族もご近所さんも彼のことを覚えてない。しかし、実は覚えてないふりをしていただけだというレストランの店主が、この異常事態の鍵を握る男のところへ連れていくという。「なるほど、こっち系のミステリか」と観客が安堵したのも束の間、なぜかア・ジェは処刑されてしまった……のかと思いきや、タイトル画面を挟んだ次の場面では、 生きているア・ジェが例のレストランを訪れる。まるで条件の変わった別の世界線で、同じ時間を生き直すかのように。という禍々しい展開にもかかわらず、語り口は心地よさすら感じられるほど静か。なんなんだ、この映画は! 11月29日より全国順次公開。
『センチメンタル・バリュー』を観る。
『私は最悪』で話題になったヨアキム・トリアー監督&レナーテ・レインスベ主演コンビの再タッグ作。今度のテーマはズバリ、家族だ。ノルウェーで活躍する女優ノーラの前に、幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不...
『ブゴニア』を観る。
ネットの陰謀論に洗脳されてしまったらしいテディは、純朴な従弟のドンを従え、製薬会社のやり手経営者ミシェルを拉致監禁する。テディいわく、ミシェルは地球を侵略するエイリアンだというが、彼女には身に覚えが...
『トゥギャザー』を観る。
心機一転すべく山奥に引っ越してきた倦怠期のカップルが、ハイキングの最中に不穏な穴の中に落ちたことで、なぜか体がくっつき始めてしまうというボディホラー。愛し合う2人が1つになる。エモいラブソングの歌詞...
『いくつもの鋭い破片 上』を読む。
近年、ミュージカル化されたり、ルカ・グァダニーノ監督に再映画化されるという噂もあったりと、再評価の渦中にある『アメリカン・サイコ』。その著者による久しぶりの小説がこちら。1981年のLAの高級住宅街...
『実験音楽 1970年から現代まで』を読む。
実験音楽とは何か? 誰もが気になっているはずのその問いに、ジョン・ケージから大友良英まで、半世紀にわたる実験音楽の営みを500名を超える作家とその作品を通して向き合った鈍器本。著者は言う。「私はこの...