この気持ちを、何と表現したらいいのだろう。本作で観客が主として目にするのは、初老の黒人女性パンジーが、誰かれ構わずキレ散らかす姿だ。「全てを終わらせたい」と言いながら、まるで死を恐れているかのごとく病院をはしごする彼女は、家族だけに留まらずいく先々で出会う赤の他人にまで当たり散らす。コメディならまだしも、かなりシリアスな作品なのだから、観ているこちらは気まずさしかない。にもかかわらず、本作から目が離せないのはなぜだろう。彼女のことは、まるで好きになれない。「実はいい人でした」もないのだから、救いがない。唯一救いがあるとすれば、彼女の妹が囁く「理解はできないけど、愛してる」という言葉だけだ。そんな本作を観た後、心に萌しこのた気持ちを何と表現すればよいのか。今もなお、わからないままだ。10月24日より公開。
『センチメンタル・バリュー』を観る。
『私は最悪』で話題になったヨアキム・トリアー監督&レナーテ・レインスベ主演コンビの再タッグ作。今度のテーマはズバリ、家族だ。ノルウェーで活躍する女優ノーラの前に、幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不...
『ブゴニア』を観る。
ネットの陰謀論に洗脳されてしまったらしいテディは、純朴な従弟のドンを従え、製薬会社のやり手経営者ミシェルを拉致監禁する。テディいわく、ミシェルは地球を侵略するエイリアンだというが、彼女には身に覚えが...
『トゥギャザー』を観る。
心機一転すべく山奥に引っ越してきた倦怠期のカップルが、ハイキングの最中に不穏な穴の中に落ちたことで、なぜか体がくっつき始めてしまうというボディホラー。愛し合う2人が1つになる。エモいラブソングの歌詞...
『いくつもの鋭い破片 上』を読む。
近年、ミュージカル化されたり、ルカ・グァダニーノ監督に再映画化されるという噂もあったりと、再評価の渦中にある『アメリカン・サイコ』。その著者による久しぶりの小説がこちら。1981年のLAの高級住宅街...
『実験音楽 1970年から現代まで』を読む。
実験音楽とは何か? 誰もが気になっているはずのその問いに、ジョン・ケージから大友良英まで、半世紀にわたる実験音楽の営みを500名を超える作家とその作品を通して向き合った鈍器本。著者は言う。「私はこの...