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『ユニバーサル・ランゲージ』をチェックする。

マシュー・ランキン(監)

© 2024 METAFILMS

 舞台は雪の積もるカナダのウィニペグ。実在する街ではあるものの、本作ではペルシャ語とフランス語が公用語となり、イラン文化が強く反映された場所。架空の設定が加わっている。そんな世界において描かれるのは、メガネを七面鳥に奪われた同級生のために、氷の中に埋まったお札を取り出そうと東奔西走する幼い姉妹と、彼女たちが出会う一風変わった者たちをめぐる人間模様。ところで、ウィニペグの映画監督といえばガイ・マディンという鬼才がいて、彼はこの街がいかに退屈であるかを描くことでお馴染みだ。本作でも、劇中に登場するツアーガイドは、何の変哲もない駐車場を名所として案内する。しかし、にもかかわらず、そんな退屈なウィニペグの風景が、本作ではとんでもなく素敵に映し出されるのはどうしたことか。カメラの置き方次第で世界はこんなにも輝くのかと驚くしかない。その視線は、物語の描き方とも通じている。なぜなら本作が描くのは、一見すると嫌な人々でも、別の角度にカメラを置けばいい人かもしれないことを、オフビートなタッチで伝えてくれる物語なのだから。8月29日よりシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開。

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