刑期を終えた中年の白人男が絶望的な表情で牢獄を後にする。男はサウスブロンクスで黒人ギャングを束ねる顔役、フランク・ホワイトだ。やがて彼は、絶望的な表情のまま、警察も巻き込んだ麻薬ビジネスをめぐる戦争に参戦することになるだろう。興味深いのは、彼がその間、ほとんど”外”に出ないこと。有刺鉄線の張り巡らされた牢獄から車でまず向かうのが、同じくらい頑丈そうなゲートに閉ざされた家なのは象徴的だ。ある建物の中にいたかと思えば次のカットでは別の建物の中にいる彼が(移動シーンがあったとしても車や地下鉄の中)、その肌を外気に晒すシーンは劇中でほとんどない。そればかりか、警察と壮絶なカーチェイスを繰り広げて車が大破した後、1人だけなぜか忽然と姿を消してしまうことすら。世界それ自体が窮屈な牢獄で、囚われの身である彼は外に出ることを禁じられているかのよう。だからこそ、その後に待ち受け……あとは言わぬが花でしょう。8月22日よりシネマート新宿ほかにて全国順次公開。
『センチメンタル・バリュー』を観る。
『私は最悪』で話題になったヨアキム・トリアー監督&レナーテ・レインスベ主演コンビの再タッグ作。今度のテーマはズバリ、家族だ。ノルウェーで活躍する女優ノーラの前に、幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不...
『ブゴニア』を観る。
ネットの陰謀論に洗脳されてしまったらしいテディは、純朴な従弟のドンを従え、製薬会社のやり手経営者ミシェルを拉致監禁する。テディいわく、ミシェルは地球を侵略するエイリアンだというが、彼女には身に覚えが...
『トゥギャザー』を観る。
心機一転すべく山奥に引っ越してきた倦怠期のカップルが、ハイキングの最中に不穏な穴の中に落ちたことで、なぜか体がくっつき始めてしまうというボディホラー。愛し合う2人が1つになる。エモいラブソングの歌詞...
『いくつもの鋭い破片 上』を読む。
近年、ミュージカル化されたり、ルカ・グァダニーノ監督に再映画化されるという噂もあったりと、再評価の渦中にある『アメリカン・サイコ』。その著者による久しぶりの小説がこちら。1981年のLAの高級住宅街...
『実験音楽 1970年から現代まで』を読む。
実験音楽とは何か? 誰もが気になっているはずのその問いに、ジョン・ケージから大友良英まで、半世紀にわたる実験音楽の営みを500名を超える作家とその作品を通して向き合った鈍器本。著者は言う。「私はこの...