1970年代、軍事独裁政権下のブラジル・リオデジャネイロ。幸福を絵に描いたようなパイヴァ一家の暮らしは、家長であり政府に批判的だった元下院議員のルーベンスが強制連行されたことにより一変。さらには、彼の妻であり母のエウニセ、娘の1人まで連れて行かれることに。彼女たちは解放されたものの、ルーベンスは行方不明のまま。かくして、エウニセが真相を暴くために動き出すという、実話を元にした作品だ。そんな本作において重要となるのが、写真に他ならない。一家は家族写真を撮ることをならわしとしており、海辺で友人たちを含む楽しげな撮影シーンが冒頭に据えられる。しかし、連行された後、暴力的に顔写真を撮られたエウニセが取調室で見せられるのはファイリングされた反政府活動家たちの顔写真だし、解放後、彼女が軍の横暴を告発すべく国外の新聞に掲載するのも父不在の家族写真。写真は、単に幸せな時間の記録という意味だけなく、ときに攻防の武器にもなるのだ。今やクラウドに大量に保存され、現像されることはもちろん、顧みられることすらほとんどない”データ”になってしまった写真(それは本作のラストを飾る現代パートでも暗示される)が、もっと重要だった時代の記憶としても興味深い作品だ。8月8日より公開。
『センチメンタル・バリュー』を観る。
『私は最悪』で話題になったヨアキム・トリアー監督&レナーテ・レインスベ主演コンビの再タッグ作。今度のテーマはズバリ、家族だ。ノルウェーで活躍する女優ノーラの前に、幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不...
『ブゴニア』を観る。
ネットの陰謀論に洗脳されてしまったらしいテディは、純朴な従弟のドンを従え、製薬会社のやり手経営者ミシェルを拉致監禁する。テディいわく、ミシェルは地球を侵略するエイリアンだというが、彼女には身に覚えが...
『トゥギャザー』を観る。
心機一転すべく山奥に引っ越してきた倦怠期のカップルが、ハイキングの最中に不穏な穴の中に落ちたことで、なぜか体がくっつき始めてしまうというボディホラー。愛し合う2人が1つになる。エモいラブソングの歌詞...
『いくつもの鋭い破片 上』を読む。
近年、ミュージカル化されたり、ルカ・グァダニーノ監督に再映画化されるという噂もあったりと、再評価の渦中にある『アメリカン・サイコ』。その著者による久しぶりの小説がこちら。1981年のLAの高級住宅街...
『実験音楽 1970年から現代まで』を読む。
実験音楽とは何か? 誰もが気になっているはずのその問いに、ジョン・ケージから大友良英まで、半世紀にわたる実験音楽の営みを500名を超える作家とその作品を通して向き合った鈍器本。著者は言う。「私はこの...