離婚して失意のどん底にいるトビアスと、気鋭の料理人のアルムートが、”衝撃的なアクシデント”を通して出会い、紆余曲折を経て恋に落ちる。しかし、幸せな時間は長続きせず、アルムートは病に侵される。よくある”難病モノ”だと早合点してはならない。アルムートがバイセクシャルだったり、新機軸をいろいろ打ち出している。そして何より、トビアスを演じるアンドリュー・ガーフィールドの顔! 常に笑っているのか泣いているのかわからない彼の素晴らしい表情が、本作に忘れがたい印象を添えている。例えば、ホアキン・フェニックスやケイシー・アフレックだったら、押し付けがましくて胃もたれしただろう。ガーフィールドはギリギリその手前に踏みとどまり、『天下一品』でいえば”こっさり”な感情表現に徹している。今の映画には、このガーフィールドの顔こそが必要だ。6月6日より公開。
『海賊のフィアンセ』を観る。
知る人ぞ知る異端の映画監督、ネリー・カプランが1969年に発表した作品だ。舞台は架空の村テリエ。そのはずれで母と暮らすマリーは、不法滞在者であるがゆえに、他の村人たちからつまはじきにされている。母が...
『THE END(ジ・エンド)』を観る。
ポストアポカリプス的な状況下の地球において、地下シェルターで贅沢に暮らす富裕層一家とその仲間たちのお話だ。しかし、広大な塩抗の中に設られた彼らの家はハリボテめいていて、そこで営まれる装われた普通の暮...
『ジェイ・ケリー』を観る。
年末の恒例行事となりつつある、バームバック監督作のネトフリ独占配信(とはいえ、数えてみると2、3年に1本のペースだったが)。今年、その主役を務めるのは、ジョージ・クルーニーだ。クルーニー演じるジェイ...
『ネクロポリティクス 死の政治学』を読む。
平和の象徴と目されもする民主主義は、同時に分断を生み、虐げられた者たちを死に至らしめる暴力装置として、要するにネクロポリティクスとしても機能してきたし、今もしている。黒人差別やガザの現状を鑑みれば自...
『ヒップホップ名盤100』を読む。
よくある「歴史を動かした名盤100選」ではなく、「2025年の気分で聴ける名盤100選」であることを目指したっていうコンセプトがまずいい。どんなアルバムが紹介されているかはその目で確かめていただくと...