マジでとんでもない映画だ。NYに漂着したボブ・ディランがフォークシンガーとして頭角を現し、やがて”プラグイン”するまでを描く半伝記映画なのだが、まず驚くべきは、体感では半分くらいが曲を演奏するシーンで構成されていること。しかも、そのほとんどがフルコーラス……より正確に言えば、執拗なまでに”歌い始め”と“歌い終わり”を聴かせる作りになっていること。これは伝説のニューポート・フォーク・フェスティバルで、ブーイングにあいながら歌い続けたボブへの敬意なのか?にもかかわらず、しっかりドラマチックなのだから、恐れ入る。あと、劇中で「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」のMVにオマージュを捧げるような安易なシーンがないのもいい。さすが、マンゴールド。2月28日より公開。