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『王国(あるいはその家について)』 草野なつか(監)

本作の複雑な構造を短文で説明するのは至難の業。ある台風の日に殺人事件が起こり、事件前後の出来事を、犯人と被害者遺族である夫婦が、脚本の読み合わせやリハーサルを通して幾度となく演じ直す……という言葉ではたぶん本作の20%も掴めてないが、まぁそれは観てもらうとしよう。どうやら事件の鍵を握るのは、幼馴染である犯人と被害者遺族の妻がかつて台風の日に過ごした「密度の濃い凝縮された時間」(『台風クラブ』みたいだ)にあるらしいのだが、この映画自体こそが「密度の濃い凝縮された時間」と言いたくなる驚異の150分。12月9日より公開。