カルチャー

「堀内誠一 絵の世界」全国巡回展がはじまった。

2022年1月18日

©Seiichi Horiuchi
text: Ryota Mukai

 僕らにとって堀内誠一さんといえば、「POPEYE」のロゴの生みの親であり、数々の雑誌のエディトリアルデザインを手がけた伝説的な存在。絵本作家として活動をしていたのはもちろん知っていたけれど、「絵本作家の道こそ運命が決めた本命」と語っていたとは知らなかった。そんな絵本の仕事に焦点を当てた展覧会「堀内誠一 絵の世界」が開催中だ。

 『オズの魔法使い』『あかずきん』など古典的な名作からオリジナルまで、手がけた作品は60を超え、昔よく読んでいたあの絵本が実は堀内誠一さんの作品だったと発見することが多々ある。個人的な話で恐縮だが、自分にとっては『ぐるんぱのようちえん』がそんな一冊。体が大きなぞうの「ぐるんぱ」が作る靴やお皿はどれも、人間が使えないほどビックサイズのものばかり。子どもたちと出会ったことで、靴は遊具に、お皿は巨大なプールに変身して素敵な「ようちえん」ができる、というお話。子どもながらに「大きな靴のなかに入ってみたいなあ」「巨大ビスケット食べたい」とわくわくしたのを思い出した。

 本展では、絵本はもちろん、画塾に通いながら描いた作家になる前のデッサン、『マザー・グースのうた』を始めとする挿絵、そして雑誌のロゴやアートディレクションの仕事まで内容は盛りだくさん。京都(開催中)にはじまり、春に静岡、夏には神奈川と順次巡回予定。近くにくるまで、絵本を読み返してじっくり待つことにしよう。

インフォメーション

「堀内誠一 絵の世界」展

堀内誠一生誕90年を記念して、画業を振り返る本展が開催。
『大丸ミュージアム京都』で1月24日まで。その後、『クレマチスの丘 ビュフェ美術館』(3月19日から7月25日まで)、『県立神奈川近代文学館』(7月30日から9月25日まで)ほか、全国を巡回予定。