TRIP

ニッポン博物館列島 Vol.5

-中国・四国・九州・沖縄編-

2021.09.22(Wed)

illustration: RUMINZ
text: Nozomi Hasegawa
2020年6月 879号初出

北から南まで幾千館。もはや日本は博物館の王国だ。
第5回は中国・四国・九州・沖縄編。しばらくは博物館には困らないね!

40. 岡山|民芸
倉敷民藝館

東京の「日本民藝館」に次いで1948年に開館した倉敷民藝館は、江戸時代の建物を改装した土蔵造りで、屋根の和瓦と貼り瓦に白壁のコントラストが美しい。収蔵品も負けず劣らず充実で、魔除けのための虎が描かれた貴重な朝鮮民画「四瞳猛虎鵲図」に、初代館長の外村吉之介も愛した「かご」は世界でも有数のコレクション。倉敷ガラスや備中和紙のはがきなど、地元の伝統工芸品が揃うショップもお忘れなく。 岡山県倉敷市中央1-4-11 ☎086・422・1637

日本で2番目に古い民藝館は建物までもが民芸品のようだ。

41. 島根|歴史
島根県立古代出雲歴史博物館

古事記や日本書紀などの神話の舞台になった出雲は、日本史上の謎を多く残す土地。そんな神の国・出雲の実像に迫るのがこの博物館だ。「教科書を書き換える」と評された弥生時代の大量の銅剣、銅矛、銅鐸に、鎌倉時代の出雲大社を支えた直径3mの巨大な杉柱「宇豆柱」、日本神話の悪役「ヤマタノオロチ」退治の絵などの史料からは、知ってるようで全く知らない古代日本の姿が見えてくる。 島根県出雲市大社町杵築東99-4 ☎0853・53・8600

日本神話に登場する「神の国」。出雲とはいったい何なのか。

42. 広島|民俗・文化
湯本豪一記念日本妖怪博物館

三次は、あの水木しげるもかつて漫画化した江戸時代の妖怪物語「稲生物怪録」の舞台。ここは民俗学者兼妖怪研究家の湯本豪一が集めた約5000点もの妖怪資料を収蔵する通称「三次もののけミュージアム」。「稲生物怪録」の絵巻物をはじめ、おにぎりみたいな妖怪「人面」が所狭しと描かれた「人面草紙」や、幻獣フィギュアまで、水木ワールドとはまた違うヘンテコで愛らしい妖怪の世界が広がっている。 広島県三次市三次町1691-4 ☎0824・69・0111

知ってるつもりになっていたが、妖怪の世界は思いのほか深かった。

43. 福岡|歴史・自然史総合
北九州市立いのちのたび博物館

西日本最大級の自然史・歴史博物館は日本有数の恐竜展示で有名。ダイナミックな竜脚類の骨格標本はもとより、妙にリアルなヴェロキラプトルのロボが動く360度の体感ジオラマなんかもあって、福井のお株を奪う勢い。加えて史上最大の飛行生物「ケツァルコアトルス」に、約3000万年前に生きた飛べない海鳥「ペンギンモドキ」、シーラカンス化石など恐竜の陰に隠れがちな古生物の展示も豊富で予想外に面白い。 福岡県北九州市八幡東区東田2-4-1 ☎093・681・1011
※入館には事前WEB予約が必要です。

恐竜はもちろん、その陰に隠れた太古の動物たちが実は結構面白い。

44. 福岡|文化・歴史総合
九州国立博物館

郷古隆洋さん(P46)の『BATHHOUSE』も近い、太宰府にある日本で4番目の国立博物館。飛鳥時代の「遣唐使船」模型や、キリスト教宣教師が日本の職人に特注した蒔絵と螺鈿の聖母マリアの額縁など、日本の国際交流の中心地だった九州ならではの資料から、京都や奈良とまた違う日本史が見える。東洋医学の書『針聞書』に登場する「はらのむし」という謎キャラは博物館のマスコット。可愛い。 福岡県太宰府市石坂4-7-2 ☎050・5542・8600(ハローダイヤル)

江戸や東京とは違う。世界と通じて生まれた日本の文化は九州にあり。

45. 佐賀|陶磁器
佐賀県立九州陶磁文化館

有田、唐津、上野、小鹿田など、多くの焼き物の産地を抱え、独自の発展を遂げてきた九州の陶磁文化を、源流である中国・朝鮮の陶磁からまるっと学べるのがここ。九州各地に加えて沖縄の壺屋焼までカバーした古陶磁の数々に、現代の作品群。加えてコレクターの柴田夫妻による世界有数の古伊万里コレクションまで資料は膨大。作品だけじゃなくパネル展示もあって、きちんと知識も身につくのがいい。 佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1 ☎0955・43・3681

焼き物の国、九州の陶磁器文化は柴田夫妻のコレクションから学ぶ。

46. 長崎|歴史
壱岐市立一支国博物館

中国の史書『魏志倭人伝』にも“一大国”として登場する壱岐島では482の遺跡や遺物が確認され、ほとんど島自体が博物館。ちなみに「一支国」という名は、その後の中国の史書に登場するもの。ムンクの叫びのような「人面石」のレプリカからは弥生時代に占いが盛んに行われたことが、亀の装飾品からは古墳時代に亀が長寿の象徴だったとわかる。ちなみに建物の設計は黒川紀章。縄文もいいけど弥生もね。 長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触515-1 ☎0920・45・2731

ひとつの島に500近くの古代遺跡。もはや島全体が博物館、の博物館。

47. 大分|文化・化学
大分香りの博物館

時に記憶を呼び戻す効果もある香りの世界は奥深い。ここではルネ・ラリックがデザインした香水瓶が見られる他、「シャネル N°5」をはじめとした20世紀の名香水のコーナーでは一部を試嗅もできる。ちなみに300種類以上ある天然香料のうち動物から採取されるものはわずか4種類で、実物がみられる。インストラクターの指導によるオリジナル香水作り体験は見逃せない。 大分県別府市大字北石垣48-1 ☎0977・27・7272

なんとなくの好みだけじゃなく好きな香りを選べるようになる。

48. 沖縄|自然史・民俗総合
沖縄県立博物館・美術館

ビーチもいいが博物館で沖縄を満喫するのもいい。琉球王国として独自国家を築き、戦後は日本とアメリカの間で世変わりを経験した沖縄の文化は、本州に存在するどことも違う独特のもの。戦前まで首里城に掲げられていた重要文化財「旧首里城正殿鍾(万国津梁の鐘)」や、貿易国家として繁栄していたことを象徴する「進貢船」の模型、王国時代の民芸品、琉球衣装などから、鮮やかな琉球文化の源流を辿ろう。 沖縄県那覇市おもろまち3-1-1 ☎098・941・8200

青い海やチャンプルーだけじゃない。琉球文化の原点を探して。
SHARE:

ピックアップ