カルチャー

【#4】YouTubeの裏話。新たなる挑戦。

2021年5月29日

コロナ禍でライブができない日々が続いています。私は以前にも一度仕事ができない状況に陥ったことがあります。顔面麻痺を患った時です。医者から「いつ治るかわかりません」と聞いた時のショック!…仕事どころではなかったです。とにかく治療とリハビリに専念するのみでした。

同じ“仕事ができない”としても今回は健康な分、新たなる挑戦ができます。コロナでライブができないのなら、できるところでやろうと決めたのが YouTube でした。私の友人や知人に YouTube をやっていますと言うと、へぇ~そうですか!と驚いてはくれますが、ぜひ見ますとはなりません。そういう年齢層ではないんです。

私も見ることはあっても自分でやるとなると門外漢の YouTube。若いスタッフたちと一緒になんとかスタートしました。今は週2~3本の更新で落ち着きましたが、最初のころは毎日配信。1日で5~6本分の動画撮影です。若いスタッフが考えたよくわからない企画(すみません。わからないなりに楽しんではいます)が2~3本、私が考えるマジックにまつわる企画が2~3本。マジックを考えることは全く苦ではないのですが、事前に試してみないとうまくいくかどうかわかりませんので、ひとりで大実験大会です。

ただでさえモノがあふれかえっていた私の事務所は、YouTube のお陰でさらに混沌を極めます。お菓子、文房具、ペットボトル、BOX、布、100均で見つけたなんか面白そうなオブジェ…。この形ならこういうことができそうだなとか、何も思いついてはいないけれど、素材が面白いからなんか使えそうだなというものを見つけては取りあえず買って、そばに置いておくのが習慣になっています。結局うまくマジックに活用できなかったお菓子や飲みものなどは、撮影の時のスタッフのおやつになります。消費期限がないものは、アイデアが降りてくるまでそのままです。混沌を極めている時に、別の打ち合わせがあったりすると最悪です。事務所を片付けなくてはいけなくなりますから。で、片付けているときにアイデアが降りてきたりすると片付けはストップ。メモを書いて、忘れないようにして、そっと秘密の場所にしまいます。

混沌を極めた事務所のデスク。

どんなマジックをやるのかはスタッフにも言いません。驚く様子は初めての時が最高ですから。何が起きるかわからない、何を撮るのか私以外は誰も知らない撮影現場……ワクワクしますね!カメラマンには申し訳ありませんが、それでなんとかなっていますから良しとしていただいています。

と、楽しんで YouTube をやっていますが、再生数というのは中々伸びないものですね。始めてから1年ちょっと経ちますが、再生数トップはマギー司郎さんと一緒に銀ブラ(銀座をブラブラすることです)した動画、85万再生です。銀ブラしながらお互いの下積み時代の話となり、私はデパートの実演販売で、マギーさんはストリップ劇場で、マジックに興味のない人相手にマジックを見せていたよねと盛り上がりました。その時、見てもらうために必死になってやった苦労が見せる(魅せる)力になったんだねと納得し合うほのぼのとした動画です。                   

YouTube での私を見て、イメージが変わったとか、変なことしているなと思うかもしれませんが、私の思いはひとつだけです。「“人を引きつける何か“、それこそが芸」だと若いマジシャンに伝わればと思っています。

最近では三志郎、YOURI という若いマジシャンにも助けられながら、面白い動画を配信しています。のぞきに来ていただければ嬉しく思います。

プロフィール

Mr.マリック

1949年、岐阜県生まれ。超魔術師。サイキックエンターティナー。今年で超魔術30周年を迎える。BS朝日『超魔術見破りバトル!Mr.マリックVS最強の東大生軍団』が6月20日(日)夜9時に放送。
昨年スタートしたYoutube公式チャンネル『マリックがきた!!』も大好評。https://youtu.be/U8TW3l3rqpk