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ファッション
LAの〈Supreme〉のショップが移転リニューアルオープン。
2023年3月14日
photo: Daiki Fukuoka
coordination: Megumi Yamano
text: Aya Muto
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〈Supreme〉新店舗、ウェストハリウッドに登場!。
2023年2月16日、ロサンゼルスの〈Supreme〉が新店舗をお披露目した。クリーンな白地の建物に馴染みのレッドのボックスロゴが現れたのは、小高い丘の中腹を東西に貫くサンセット通りの中でも巨大なビルボードが密集しているサンセット・ストリップと呼ばれるウェストハリウッドの一角。丸一年かけて仕上げたというショップは、緩やかなカーブを描くストリートに面し、建物自体がビルボードのような存在感を放っている。これまでのショップと画期的に違うのは、店の中のアートワークやスケートボウルの美しい骨組みが遠くからも見える、ひらけたデザインであることだという。「この空間がとても美しいので、離れた場所からでもよく見えるようにしたかった」と〈Supreme〉のウェスト・ルーベンスタインが語るように、シンプルな佇まいは一貫して保ちつつ、新しいスケールでのストリートへの存在感が感じられるショップとなった。
また、ここは時代ごとのロサンゼルスのカルチャーを辿ってきた、アイコン的なロケーションでもある。1940年代にはドライブイン・レストランが立ち、1950年代にはそれがダイナーに。その後カーステレオの名物セールスマンのショップとなり、1971年にはサクラメント発の『タワーレコード』のフラッグシップショップとして、その後30年以上もミュージック・カルチャーの大切なハブとしての存在を誇ることになる。2006年の閉店後は、イベントやプロモーションの一環として使われたりしたものの、長い間手付かずで眠っていたこの物件。LAに来れば営業時間前から入り浸って山のようにレコードを買っていったというエルトン・ジョンや、エラ・フィッツジェラルド、リンゴ・スター、ボブ・マーリーなども足を運んだという有名すぎるレコードショップの残した武勇伝は、これまでのどのテナント候補にも大きすぎたのかもしれない。
車で10分しか離れていない場所なのに、2004年よりクラウドを魅了し続けてきたフェアファックス通りの店のあったエリアとは、「革新的に違った雰囲気!さて、ここでどんなことができるか!」と新たな構想を〈Supreme〉は描いているようだ。「もちろん19年間拠点としてきたフェアファックスを離れるのは名残惜しくもある。2004年にオープンして以来、ロサンゼルスというスケートボード・カルチャーの世界中枢とも言える街で築くことができたコミュニティや友情は、LA中からフェアファックスに足を運んでくれた仲間たちがいたから。」ブランドの成長とともに新たなショップのロケーションを探すうちに、この物件に出会ったのは運命か。「強い思い入れを持っている人も多い場所だから、担っていかなくてはならない責任のようなものを伴うロケーションだった。自分たちがここだ、と思えた直感はもちろん、ロサンゼルスの歴史とカルチャーを継ぐ意味でも、この場所を選んだんです。」
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アーティストたちが豪華共演した店内。
〈Supreme〉のショップのDNAでもある、アート作品たちもシンプルな空間に花を添える。「ニューヨークのラファイエット通りのショップにあった、グラフィティ・アーティストDondiのペインティングが始まりで。」とルーベンスタインは懐かしく思い出す。新ショップ中央にはマーク・ゴンザレスのF1レーサーの彫刻、夕日の落ちる西を指しているというジョッシュ・スミスの死神の壁画、ネイト・ローマンの作品は店内のあちこちに、試着室に入ればネックフェイスの描いたキャラクターに遭遇し、壁一面を使ったLAへのラブレター、というFuck This Lifeのイメージインスタレーションも圧巻のスケールだ。〈Supreme〉の空間にいくつもスケートボウルを作って来たSimparchのスティーブン・バジェット設計の今回のボウルはなんと、構造自体に組み込まれた完全なフリースタンディング構造になっていて、宙に浮いているように見えるのだとか。その大きさと、構造エンジニアの偉業を冷やかすのも、ショップを訪ねる醍醐味となるだろう。ルーベンスタインは、ショップという空間に対する強い想いも最後に教えてくれた。「〈Supreme〉の店舗は、その洋服と同様に一見するとシンプルに見えます。しかし、その背景にはあらゆるディテールへの非常に緻密なこだわりがあるのです。建築、アートワークにとどまらず音響やディスプレイに至るまで、〈Supreme〉というブランドを物理的に反映したとても大切な場所なのです。このお店がユースカルチャーの中心として重要な役割を果たすように願っています」
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スケーターでお店の看板スタッフのティノ・ラゾは新作のフーディを着用。
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レジェンドスケーター、ハビエル・ヌネズ。「待望のオープンだ、いいお店になって嬉しいよ」 -
シャトーマーモントで行われたオープニングパーティに潜入。
新店舗オープンの前夜、同じサンセットブルバード沿いにあるウェストハリウッドを代表するホテル「シャトー・マーモント」で関係者を招いたパーティが開催された。ネイト・ローマンやIRAKのクンル・マーティンス、エリック・コストンなどシュプリームでもお馴染みのアーティストやスケーターが各地から集い、その新たな門出を祝った。中にはビデオグラファーのウィリアム・ストローベックやモデルで活動家のアドワ・アボアの姿も。お祝いムードはアール・スウェットシャツのDJで徐々に盛り上がり、パーティーは深夜まで続いた。
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銃弾痕のモチーフで知られるアーティスト、ネイト・ロウマン(Nate Lowman)。「他のアーティストの作品と一緒に並べて嬉しいよ、おめでとう」 -
伝説のグラフィティクルー、IRAKを代表するクンル・マーティンス( Kunle Martins)の姿も。「ニューヨークからお祝いに駆けつけたぜ」
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ラッパーのアール・スウェットシャツ(Earl Sweatshirt)。「フェアファックスからウエストハリウッドへ移転おめでとう、DJで盛り上げるよ!」 -
レジェンドスケーターのエリック・コストン (Eric Koston)。「ロサンゼルスのアイコニックな場所に〈シュプリーム〉がオープンして、これからも益々楽しみだ」
インフォメーション
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Supreme
◯8801 West Sunset Blvd., West Hollywood, CA, 90069 ☎︎1・323・655・6205 11:00~19:00、日12:00~18:00 無休
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