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「刺繍―針がすくいだす世界」に行く。

@東京都美術館

ART

 布の表裏を繰り返し縫う際限ない手作業の連続によって人の温もりと同時にパワーを感じ取ることができる素晴らしき手仕事、刺繍。そんな刺繍の多彩な造形と表現に注目したのが東京都美術館で開催する「刺繍―針がすくいだす世界」だ。本展では大正末から現在にいたる国内の5名の刺し手たちの作品が鑑賞できる。糸と針というシンプルな表現手法にかかわらずその手法やモチーフによって見え方が変わる刺繍の世界。糸や色の選び方、縫い方へのこだわりによって全く作品が変わり、5名の作家の作品を通して刺繍の面白さや奥深さに気づく展示になりそうだ。帰路に着く頃には新しい趣味ができているかも。

平野利太郎《サボテン》(部分)1955年 町田市立博物館蔵

近世以来の刺繍職人の家に生まれ、伝統的技法に基づきながら革新的な表現を追い求めた平野利太郎(ひらの としたろう・1904~1994)。

伏木庸平《こもんべべ》(部分)2023-24年 作家蔵

つくることをめざすのではなく、自分の奥底に流れる時間や感覚を確かめるかのように、日々、糸を刺し続ける伏木庸平(ふせぎ ようへい・1985~)。

望月真理《象は森の王様》2020年頃 個人蔵

ベンガル地方の女性たちの間で古布再生や祈りの思いから生まれ継承されてきたカンタと呼ばれる針仕事に共鳴した望月真理(1926~2023)。

尾上雅野《秋》1974年 公益財団法人日本手芸普及協会蔵

西洋刺繍の知識を土台に、羊毛を用いた躍動感ある絵画的な刺繍作品を発表し、日本手芸普及協会の会長も務めた尾上雅野(おのえ まさの・1921~2002)。

岡田美佳《ハーブの庭》1996年 作家蔵

いつかどこかで目にし、記憶した風景や事物を、自由なステッチで画面上につくり上げていく岡田美佳(1969~)。

インフォメーション

刺繍―針がすくいだす世界

会期:11月18日(火)~2026年1月8日(木)
休室日:2025年12月1日(月)、12月15日(月)、12月22日(月)~2026年1月3日(土)、1月5日(月)
時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
料金:一般 800円 、 65歳以上 500円 、 学生・18歳以下無料

Official Website
https://www.tobikan.jp/2025_uenoartistproject/

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