著者は昨今話題の思弁的実在論の地平を開拓したカンタン・メイヤスーらのもとで学び、『激しい生――近代の強迫観念』が翻訳されているフランスの哲学者とのこと。本書はそんな彼が書いた小説……というか、哲学書と同じくらい小説も発表しているらしいのだが、驚くべきことに読みやすい。実際、ドラッグの売人、元ロック・スター、トップモデル、革命家、UFO研究者などを主人公に据えた6つの短編が、やがて不死身の男をめぐる物語へと繋がっていくSF的な小説で、モチーフもポップだし、なんだったらエモさすらある。この人の小説が、もっと読んでみたくなった。¥5,280/河出書房新社
『海賊のフィアンセ』を観る。
知る人ぞ知る異端の映画監督、ネリー・カプランが1969年に発表した作品だ。舞台は架空の村テリエ。そのはずれで母と暮らすマリーは、不法滞在者であるがゆえに、他の村人たちからつまはじきにされている。母が...
『THE END(ジ・エンド)』を観る。
ポストアポカリプス的な状況下の地球において、地下シェルターで贅沢に暮らす富裕層一家とその仲間たちのお話だ。しかし、広大な塩抗の中に設られた彼らの家はハリボテめいていて、そこで営まれる装われた普通の暮...
『ジェイ・ケリー』を観る。
年末の恒例行事となりつつある、バームバック監督作のネトフリ独占配信(とはいえ、数えてみると2、3年に1本のペースだったが)。今年、その主役を務めるのは、ジョージ・クルーニーだ。クルーニー演じるジェイ...
『ネクロポリティクス 死の政治学』を読む。
平和の象徴と目されもする民主主義は、同時に分断を生み、虐げられた者たちを死に至らしめる暴力装置として、要するにネクロポリティクスとしても機能してきたし、今もしている。黒人差別やガザの現状を鑑みれば自...
『ヒップホップ名盤100』を読む。
よくある「歴史を動かした名盤100選」ではなく、「2025年の気分で聴ける名盤100選」であることを目指したっていうコンセプトがまずいい。どんなアルバムが紹介されているかはその目で確かめていただくと...