ライフスタイル

サウンドとヴィジョン。(イン・アザー・ワーズ,シカゴ.#3)

絵・文/Korey Martin

2021年12月6日

text & illustration: Korey Martin
translation: Catherine Lealand

 僕はシカゴに到着する前に、シカゴの音を耳にしていた。高速道路80号線を車で走っていると、高温の油が水の中で立てているような、ブーンという音とパチパチという音が遠くから聞こえてきて、1998年製のホンダの中で流れていたハウスミュージックと混ざり合ったのだ。そして、その音は徐々に一体化していった。遠くで打ち上げられた花火と。ユタ州からグレートプレインズ(大平原地帯)を車で横断し、「世界最大の休憩所」に立ち寄ってから、シカゴに到着すると、カブスが「ビリーゴートの呪い」に打ち勝ってワールドシリーズを制覇していた。縁起がいい。以来、シカゴの音と映像は時折、僕の中でちょっとした一体化をし、微笑むことがある。「ああ、僕はここに住んでいるんだな」と。

 最近、シカゴ・カルチャー・センターに行ったときのこと。ここはダウンタウンのランドマークで、年間を通して展示やイベントが行われている。そこに最近オープンした「Buddy」は、彼らの言葉を借りれば、「今いる友達とまだ会ったことのない友達との間につながりを作るための拠点となるショップ」。ベニヤ板の棚に所狭しと並べられていたのは、地元のアーティストや小さなメーカーの作品だ。シカゴでの生活から生まれたさまざまな作品に出会うことができ、とてもワクワクさせられた。映像作家のトム・パラッツォーロの写真の束の中に、タコの山車のそばを歩く男を映した「夢中になっている男」を見つけたときは、しばらく頭から離れなくなった。

 最終的に『Beyond Heaven : Chicago House Party Flyers From 1983 – 1989』という本を購入し、その中で初めて目にした曲をプレイリストに入れた。フランキー・ナックルズの「Your Love」だ。それをKOSSのヘッドフォンで聴きながら、シカゴが初期のコミックストリップに与えた影響を調査した展示『Chicago: Where Comics Came to Life (1880-1860)』を見るためにジグザグの階段を上った。

 この展示では、『The Tribune』や『Defender』といったシカゴの出版物に登場した、独創的で画期的なコミック作家たちの作品が、カラフルな迷路のように並んでいた。特に興味をそそられたのは、バウハウスの初代教授であるライオネル・ファイニンガーのコミックだ。ライオネル・ファイニンガーのどこか不安定なスタイルは、高熱のときに見た夢をみんなと共有したいかのよう。T.E.パワーズのコミック「印象派の起源」に出会ってしまったときには、自分でも笑ってしまった。先週の記事で「印象派の雑然」について冗談を言ったばかりだったので。

 「Buddy」とシカゴ・カルチャー・センターを後にして、僕は電車で帰宅した。電車の中で、シカゴで過去に起きたこと、今起きていることいには、まだまだ学ぶべきことが多いと実感した。悲鳴のような高音と雷鳴のような低音が、頭の中でざわめくコミックやハウスミュージックと混ざり合い、シカゴの音と映像が再び一体となった。そして、改めて実感したのだった。「ああ、僕はここに住んでいるんだ」と。

プロフィール

Korey Martin

1989年、テネシー州生まれ。シカゴ在住のアーティスト。その印象的な走り書きのようなドローイングは、最近では「The Quarantine Times」「Actual Source Books」に掲載されている。「POPEYE」の2020年11月号に掲載された卵料理企画のページにも、素敵な作品を寄せてくれた。