日本でもっとも早いアンデパンダン展(無審査・無賞・自由出品を原則とする美術展)のひとつとされる「黒耀会」を結成した芸術家、望月桂(1886-1975)。アナキズム運動の中心人物であった大杉栄や、社会主義運動の指導者となる堺利彦、民俗学者の橋浦泰雄、演歌師の添田唖蝉坊などが参加し、誰もが参加できる自由度の高い展覧会を開催。ときに一膳飯屋を営んで社会運動家や労働者の集う場を形成し、ときに犀川凡太郎の筆名で読売新聞に漫画を描き、とにき農民運動に尽力しつつ、信州の自然を題材に数多くの風景画を残した。そんな望月の多岐にわたる活動と、その活動に貫かれた自由と扶助の精神を紹介する本展。特筆すべきは開催にあたって結成された「望月桂調査団」の存在。風間サチコ、卯城竜太、松田修といった現代アーティストも加わり、美術・文学・社会運動などの研究者、アーキビスト、ジャーナリスト、編集者ら業界の垣根を越えて望月の資料調査を進めたそう。作家の足跡が、現代にどのような視座をもたらしてくれるのか学んでみよう。9月28日(日)をもって長期休館(リニューアルオープンは2027年5月5日頃)が決まった同館と、しばしのお別れの前に訪れてみてはいかが。
インフォメーション
望月桂 自由を扶くひと
会場:原爆の図 丸木美術館
会期:2025年4月5日(土)〜2025年7月6日(日)
時間:9:00~17:00
休み:毎週月曜日(祝日にあたる場合は翌平日)
料金:一般 900円、中高生または18歳未満 600円、小学生 400円
Official Website
https://marukigallery.jp/8527/
21:00〜日本テレビ『金曜ロードショー「火垂るの墓」』を見る。
「火垂るの墓」高畑勲(監)/1988年/日本/野坂昭如(原作)。原作は、神戸の大空襲を体験した野坂昭如による直木賞受賞作。戦争の愚かさと哀しさを高畑勲監督が描いた、いのちの物語。

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