「(略)ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうがやっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック……絵空事で大いにけっこう。…(略)」なんて登場人物のセリフから始まるのは日本における新本格ミステリブームの火付役となった『十角館の殺人』(綾辻行人・著/講談社)だ。Wi-Fiだらけで、古典的な推理物が通用しないように思われる現代だが(安心安全ということなのだが)、やっぱり推理ものって魅力的。
本展は、欧米の”detective novel”が輸入された明治期から、「推理小説」という言葉が戦後に普及するまで特に広く使われていた語である「探偵小説」に着目。翻訳と創作の歴史、名探偵のキャラクターやトリックの魅力を切り口に、須藤南翠や黒岩涙香ら日本における探偵小説の始まりから、探偵小説を構成する諸要素を『国立国会図書館』ならではの貴重な資料をもとに展示中。工藤新一くんが実在したら絶対足を運んでいただろう!
ネット上では本展の元になった「ミニ電子展示」でより多くの資料が紹介されているので、直接訪れるのが難しい場合には、ここから楽しんでみよう。
インフォメーション
探偵小説の世界へようこそ
会場:国立国会図書館ギャラリー(東京本館)
会期:2024年8月22日(木)〜9月17日(火)
時間:9:30〜19:00(土曜日は17:00まで)
入館は満18歳以上で、利用者登録が必要。詳細は同館のサイトをチェック。
休み:日曜、祝日
料金:無料
Official Website
https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/35/