映画では、ひとつのシーン内での人物たちの画面内での左右関係を混乱させないため、イマジナリーラインというものを設定し、それを越えないようにしましょうという暗黙の了解がある。しかし、本作はそんなラインを涼しい顔で踏み越え、ひとつの空間で別々に親密圏を築いている者たちを自由に撮り、それぞれのショットをさらりと繋げてしまう。キッチンでダンスを踊るカップルと何食わぬ顔の猫、部屋で談話する母子とベランダで洗濯物を干す祖母……。繋げてしまえば繋がってしまうし、繋がってしまえば繋がっているように見えるんだから、繋げますよ、という具合だ。こうした空間把握能力が、本作のキモと言えるかもしれない。“ひとつの空間“は“世界“へと広がり、マドリードと日本で展開されるそれぞれに無関係の3つの物語が、国境を越えて大胆不敵に繋がれる。なるほど、国境とはイマジナリーラインでしかなかったのか。7月19日よりポレポレ東中野、8月よりシネ・ヌーヴォにて公開。

慶伊道彦さんによるスタイルブック「In love with IVY “恋するアイビー”」が発売!
「フェアファクスコレクティブ」の創業者で、日本のネクタイ業界の第一人者である慶伊道彦さん。ドレス業界やファッションの変遷を長く見てこられ、アイビーファッションへの造詣が深い慶伊さんだが、2024年の末...

横浜美術館リニューアルオープン記念展 「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」
「バザールでござーる」「ピタゴラスイッチ」「だんご3兄弟」「スコーン」「モルツ」「ポリンキー」etc。これらの生みの親であり、’90年代以降のメディアの世界を牽引してきた佐藤雅彦にフォーカ...

「私物捨離」に行く。
「私物捨離」とはその名の通り、私物を大放出するマーケットだ。古物や工芸品など多様なジャンルのマーケットを定期的に開催している「代官山NEWOLD_Market」で「番外編」として7月5日(土)と6日(...

『ユリシーズ』を見る。
映画では、ひとつのシーン内での人物たちの画面内での左右関係を混乱させないため、イマジナリーラインというものを設定し、それを越えないようにしましょうという暗黙の了解がある。しかし、本作はそんなラインを...

『顔を捨てた男』をチェックする。
病で顔が変形している役者志望のエドワードは、新しい治療によりごく平均的な容姿を手に入れる。身分を偽り別人として暮らし始めた彼だったが、かつて想いを寄せていた劇作家の女性と再会。彼女が過去の自分を主人...