過去にトラウマを抱えるシルヴィアと、若年性アルツハイマーで記憶障害のあるソールが出会い、恋に落ちる。あらゆる障壁が立ちはだかるが、2人は着実に愛を育む。忘れたくても忘れられない女と、忘れたくなくても忘れてしまう男には、大切にすべきものが”今”しかない。回想などは使わず、適切な距離感のカメラで、そんな”今”のかけがえなさだけに肉薄せんとする本作には、ラストの呆気なさも含めてため息しか出ない。2月21日より公開。

『ファッションセオリー ヴァレリー・スティール著作選集』を読む。
ファッション・スタディーズのパイオニアであり、第一人者でもある著者のエッセイ集だ。僕たちからすれば信じられないことだけど、かつてファッションを研究することは、アカデミズム界隈では忌避されていたらしい...

『この会社は実在しません』を読む。
話題作『近畿地方のある場所について』と同じく、小説投稿サイト「カクヨム」での連載から書籍化へと至ったホラー・モキュメンタリー小説。とある製菓会社で謎めいた資料の束(かなりグロい)を発見した主人公が、...

『ジェイムズ』を読む。
マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』を、ハックと旅路をともにする黒人奴隷ジムことジェイムズの視点から語り直したら? そんな発想に基づくこの実験的小説が浮かび上がらせるのは、「紋切り型...

『ユニバーサル・ランゲージ』をチェックする。
舞台は雪の積もるカナダのウィニペグ。実在する街ではあるものの、本作ではペルシャ語とフランス語が公用語となり、イラン文化が強く反映された場所。架空の設定が加わっている。そんな世界において描かれるのは、...

『キング・オブ・ニューヨーク』をチェックする。
刑期を終えた中年の白人男が絶望的な表情で牢獄を後にする。男はサウスブロンクスで黒人ギャングを束ねる顔役、フランク・ホワイトだ。やがて彼は、絶望的な表情のまま、警察も巻き込んだ麻薬ビジネスをめぐる戦争...