驚くべきはこのようなタイトルが付された展覧会で「出土品」そのものは展示されていない点だ。本展が徹頭徹尾寄り添い、明らかにするのは、ハニワと土偶という「イメージ」がいかに受容されてきたかという文脈の解釈の歴史である。皇国史観に基づいた戦前・戦中の“伝統”イメージのあり方から、岡本太郎やイサム・ノグチらによる「原始美」の発見によって美的な価値が付された戦後。工芸、建築、写真、映画、演劇、文学、伝統芸能、思想、さらには『おーい!ハニ丸』などのテレビ番組に至るまで。現象を巻き起こすほど文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を追いかけながら、ハニワ&土偶に向けられた視線の変遷を辿る。本展の充実した資料・リサーチ・作品群は、日本人が歴史をどのように描きなおし、発掘してきたかという物語への挑戦でもある。東京国立博物館で開催中の展覧会「挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展『はにわ』」を併せて鑑賞すれば、より理解も深まるはずだ。ハニワの顔を模した表紙が印象的な重厚な図録、はに丸グッズや長谷川三郎《無題-石器時代土偶による》をプリントしたトートなどなど、ミュージアムショップでお気に入りのグッズを出土して帰ろう。
インフォメーション
ハニワと土偶の近代
会場:東京国立近代美術館
会期:2024年10月1日(火)〜2024年12月22日(日)
時間:10:00 〜 17:00、金・土は20:00まで※入館は閉館の30分前まで。
休み:月曜日※12月16日(月)を除く。
料金:一般1800円、大学生1200円、高校生700円、中学生以下・障がい者手帳提示と付き添い1名無料。
Official Website
https://haniwadogu-kindai.jp/
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119番の通報を受ける大阪の指令室に密着したノンフィクション。多いときには通報が1日1300件あるこの場所で、必死に助けを求める通報者と命をつなぐオペレーターの会話から日本の今を描く。