カルチャー

【#2】いとしのロベルタ

2021年8月17日

 タイトルからして謎佐々木マキさんの作品は、どれも面白いので基本的にオススメなのだが、今回はこの一作。

 「いとしのロベルタ」(絵本館)

 僕はこの作品だけはまだまだ掴みきれていない。謎が多すぎる。僕がただ読みきれてないのかも知れないが、そういう問題ではない気がする。

 この作品は、主人公の男がひたすら後悔の念に苛まれながら歩く、いとしのロベルタをさがしに。それだけ。ええ、それだけなのです。

 しかしなぜロベルタを探しているのか、この男とロベルタとの関係はなんなのか、客観的な一切の説明はなし。

 実は僕も以前、ある男が後悔し続けていくという作品の構想が芽生えたことがあった。
そんな時たまたまこの本に出会い、先にやられた!とまさに後悔するのではなく、むしろそうきたか!と、切り口の面白さに舌を巻いた。さすがは佐々木マキさん。
簡単には終わらせない、余計な説明はなし、読んでも読んでも掴めない、ロベルタがどんどん離れていく。

 この作品はいったい何を意味してるのだろう?と一度考え始めたら、やっかいな迷宮に迷い込みそうだ。

 さあ、ロベルタを探しにいきましょう。

インフォメーション

長田真作

ながた・しんさく|1989年、広島県生まれ。絵本作家。2016年に『あおいカエル』(文・石井裕也/リトル・モア)でデビューし、現在までに30冊以上の作品を手掛けてきた。去年8月、『ほんとうの星』と『そらごとの月』を2冊同時刊行し、話題を集めた。