ポパイ五十周年
インタビュー集

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POPEYE 50周年記念インタビュー

Jelly Ukai

プロフィール

ジェリー鵜飼

じぇりー・うかい|1971年、静岡県生まれ。アートディレクター。自身の作品の他、数々のCDジャケットやアウトドアブランドのカタログや広告などを手掛ける。「ULTRA HEAVY」としてユニットでのアート活動も行う。

Q1. あなたと『POPEYE』の関わりは?

初めて触れたのは、高校生の頃。中学の時から洋服が大好きで、沼津や小田原のマルイまで買い物に行っていたんだけど、雑誌を買ってアイテムを調べるようになったのは高校生になってから。
当時は『ホットドッグ・プレス』、『チェックメイト』、あと『メンズクラブ』があったけど、『ポパイ』の方が値段的にも身近だった。

Q2. シティボーイと聞いて最初にイメージする服やものは?

ネイビーのチノパン。〈ギャップ〉で昔売っていたようなもので、カーキじゃなくてネイビー。理由は分からないけど、僕の中の『ポパイ』のイメージはそういう感じ。

Q3. あなたのワードローブに欠かせないTシャツは?

メリノウールの、ポケットが付いているもの。色は何色でも。ブランドは特に決めてないけど、よく着るのは〈2-tacs〉か〈Icebreaker〉。僕はアウトドアをやるから、肌着はお金をケチらないで、気に入ったものを買うようにしてる。メリノウールは8年ぐらい前から着るようになりましたね。

Q4. あなたのワードローブに欠かせないジャケットは?

ジャケットは全然持っていないけど、あえて挙げるなら〈マウンテンリサーチ〉のコーデュロイ。大人になったら紺ブレを着るようなイメージがあったんだけど、僕はもう54歳なのに、そういう機会がまだ訪れない。もう少ししたら着るようになるのかな。

Q5. あなたのワードローブに欠かせないシャツは?

ボタンダウン。白が好きなんだけど、首の汚れが気になるから、よく着るのは水色。ブランドは決めてなくて、〈ポロ〉でも〈ブルックス・ブラザーズ〉でも、シンプルなもの。チェックのシャツも好きで、それは〈2-tacs〉が多いかな。

Q6. あなたのワードローブに欠かせないスウェットは?

ビンテージ風の重くてリブがしっかりしているものよりも、安くて軽くて毛玉がついちゃうようなものが好きです。一番のお気に入りは「フロストバイトロードレース」という福生のハーフマラソン大会の参加賞でもらったスウェット。軽くて柔らかいし、色が鮮やかで。それが欲しくて、毎年参加賞狙いで参加している(笑)。ちなみに今日着ているのは〈ポーラテック〉素材のアウトドア用で、風が通るから蒸れなくて良いですよ。

Q7. あなたのワードローブに欠かせないニットは?

90年代くらいの〈L.L.Bean〉の、ちゃんとしたウールを使っているもの。無地だけどちょっと色が少し混じってるような、おじさんっぽいものが好きですね。10年くらい前に中古で買ったものを、穴が開いてきたら奥さんに縫ってもらいながら、まだ着ています。

Q8. あなたのワードローブに欠かせないジーンズは?

〈リーバイス〉の501が好きだけど、おじさんになってきて、自分のサイズに合うものを古着屋とかで一生懸命探すのも面倒くさくなってきたんです。
今は〈エンズアンドミーンズ〉の定番を穿いています。自分にちょうどいい普通っぽさで、買うのが楽だしね。毎年出してくれるから、同じものを穿き続けて、色が落ちてきたらまた買う。

Q9. ジーンズ以外で、あなたのワードローブに欠かせないパンツは?

今はクライミング用のパンツが好きですね。昔はクライミングパンツと言ったら〈グラミチ〉しかなかったけど、今は日本のメーカーもいくつかあります。〈Quiet Sport〉の「DO PANTS」は、形も色も良いし、クライミング用だけどコーデュロイやデニムっぽいのがあって、街でも全然いける。

——岩を登る時も街を歩く時も穿いているんですね。

そう。ただ、クライミングパンツって後ろのポケットが1個しかないのが多くて、そこは不便です。普段はなるべく手ぶらで出かけるんですが、携帯と財布を同じポケットに入れるのが嫌で。なんで両方に付けないんだろうなといつも思う。

Q10. あなたのワードローブに欠かせないソックスは?

家族で〈ユニクロ〉や〈無印良品〉に行った時に「あ、3足まとめ買いで900円だ」と思って買うくらいかな。

Q11. あなたのワードローブに欠かせないシューズは?

若い時は〈ケッズ〉〈バンズ〉〈プーマ〉のスエードを探して買っていたけど、登山とトレイルランニングを好きになってから足の指の形が広がってきて。きつく締め付けられる感じがダメになってきました。最近は〈アルトラ〉のトレラン用のスニーカーばっかりで、特に好きなのは「ローンピーク」。とにかく履き心地重視で、デザインは我慢している(笑)。

Q12. いつもハンカチを持ち歩いている?

ハンカチは必ず使うんだけど、子どもに持たせるようなガーゼ素材ばかりですね。おしゃれさよりは、吸水性が高い方がいい。山やトレランをやっていると、鼻水がたくさん出るんです。チェックのおしゃれな刺繍入りのハンカチだと生地が硬くて鼻が痛くなっちゃうから、ガーゼの柔らかいものが一番。

Q13. あなたのワードローブに欠かせないアウターは?

〈JINDAIJI MOUNTAIN WORKS〉の「カンガルーアノラック」。プルオーバーで形も好み。元々深大寺に住んでいた方のメーカーで、最近は〈Riprap〉がコラボしたものが『POPEYE』に載っていた気がする。
ピーコートやダッフルは、20年前くらいに買った〈ビズビム〉を今でも大事に着ています。コートのボタンがすぐ取れてしまうけど、飽きの来ないカタチですね。

Q14. あなたのワードローブに欠かせないバッグは?

大学生の時から〈GREGORY〉のデイパックですね。中のコーティングがハゲてダメになったら新品を買い足しています。

Q15. あなたのワードローブを作るのに欠かせない店を教えてください。

〈2-tacs〉。靴もズボンもシャツもアウターも全部好きで「俺に向けて作ってるんじゃないか?」と思うくらい。デザイナーと年齢や趣味が近いから、同じことを考えているんだと思う。

Q16. ファッションアイテムの中で、お金のかけがいがあるものは?

靴。〈バンズ〉のボロボロのスニーカーもかっこいいけど、僕は登山をやるから、自分に合った靴が大事。そうでないと長く歩いたり走ったりする時に痛みが辛くなってくるから。色んな靴をトライアンドエラーしないとベストにたどり着かないし、靴だけは高くても絶対新品で買いますね。

——買い替えのタイミングや基準はどうしていますか?

ソールが減ってグリップが落ちたら、すぐ2軍として街履きにしています。本番は山で使うから。

Q17. 日常的に使っている香水やルームフレグランスは?

香水は使っていません。興味はあるんだけど、買うのがなんだか恥ずかしい。エチケットとして必要なのかとも思うけど、買ったことがないし、いきなり付けた時に何か思われるんじゃないかと心配してしまうんです。

Q18. 若いうちに買った方がいいものは?

欲しいと思ったものは何でも買ったほうがいい。僕も若いときは、毎日時間さえあればレコード屋と古着屋をハシゴして、気になったものは「俺が買うしかねえ」と言いながら買っていました。買わないと何も分からないからね。

Q19. 若いうちに行った方がいい場所や旅先は?

エジプト、アメリカ、北海道、九州。

Q20. いま住んでいる場所はどのように見つけましたか?

以前は田園都市線の宮崎台に住んでいて、その近辺で探したんだけどなかなかいい物件が見つからなくて。少しずつ範囲を広げてになった。全く頭になかった土地だけど物件が気に入って、その偶然が面白くて。
多摩川駅から国分寺や国立の方に向かって「国分寺崖線」と呼ばれる崖が続いていて、ここはその一部なんだよね。

Q21. シティボーイにおすすめの時計は?

〈Swatch〉のベーシックな黒。

Q22. シティボーイにおすすめのクルマは?

1番シティボーイっぽいと思うのは〈フォルクスワーゲン〉のゴルフ。おしゃれで可愛い。うちはアクアなんだけど、アクアは日本人にとってのゴルフだと思ってる。ハッチバックで大きさも近い大衆車という意味で。

Q23. シティボーイにおすすめのインテリアは?

〈イームズ〉のチェア。 僕が20代の時にすごく流行っていて、当時はリプロダクトじゃない、昔のビンテージが普通に買えたね。

Q24. シティボーイが読むべき本は?

沢木耕太郎さんの『深夜特急』。20歳の頃に大好きで、「こういう生き方をしたい」と妄想を広げていました。

Q25. 都会的だと感じる映画やドラマは?

『クレイマー、クレイマー』。登場する建物もインテリアもファッションも、スタイリングがいいんだよね。

Q26. 影響を受けた人物やカルチャーは?

ポストハードコアバンド「フガジ」のイアン・マッケイ。おしゃれなアーティストとは思われていないけど、昔から考え方が一貫していて、そういう見方をすると彼のファッションやスタイルがかっこよく見える。
資本主義が嫌いだから、ライブの入場料を5ドルにするんですよ。採算が合わなくて海外公演がほとんどなかったり、暴力が嫌いだからモッシュが禁止だったり、歌詞カードを配って「歌詞をちゃんと目で追ってくれ」と言ったりする。自分たちでチラシも本もレコードレーベルも作って安くして、子どもでも買える値段にする。そういうインディペンデントでDIYな部分に今も影響を受けています。

Q27. グルーミングで愛用している道具は?

牛乳石鹸で体を洗うくらいで、他はあまり気にしていない。保湿はしてないし、特に高機能なグッズも使っていないですね。運動して、汗を流して、新陳代謝を良くするだけです。

Q28. 髪型はどのように整えていますか?

大学生の時から全部自分で切っています。これもイアン・マッケイから習ったDIY。「昨日床屋に行ったでしょう」と思われるのが嫌で、あまり綺麗にしてほしくなかったんだよね。試しに自分でやったら学校でもバレなくて、「このくらいが俺はいいかも」と独学でやり始めました。バリカンのアタッチメントをカチカチ変えて使い分けながら、30分くらいでやってます。

Q29. 愛用しているペンやノートは?

A4のコピー用紙と普通の鉛筆。僕は管理が悪くて、物をよく失くすんです。いいものを買ってもすぐにどこかへ消えてしまうから、諦めました。

自分に向いているのは、何かコピー用紙に書いたら、すぐにくしゃくしゃに丸めて捨てるスタイル。アイデアを出す時も、そういう落書きからいいものが出てくることが多い。あんまりかしこまると、スタートの時点で失敗しちゃう。

Q30. 仕事と関係のない趣味、娯楽は?

何でも仕事になってしまうのだけど、一番仕事に関係ないのはフライ・フィッシングだね。『POPEYE』『BRUTUS』の特集で出たことはあるけど、初心者で釣れなかったから、仕事にはなってない(笑)。

Q31. あなたの好きな移動手段、乗り物は?

マイカー。若い時はずっとバス・電車でしたが、48歳になって初めて車を買ったんです。今頃になって「松田聖子を流しながら運転するのって良いな」と思うようになりました。

Q32. よく使う絵文字は?

絵文字はほとんど使わないね。ニコニコ笑っているやつくらいかな。

Q33. 小腹を満たしたいときは、家で何を作りますか?

サッポロ一番塩ラーメン。袋買いしておいて、おやつのタイミングで1人で食べる。鍋で作って、卵を落としてね。

Q34. お気に入りの飲食店は?

成城学園前の『名代 箱根そば』のコロッケそば。カレー味のコロッケを、崩しながら食べるんです。

Q35. お気に入りの喫茶店やカフェは?

山梨県北杜市の『CAMILOTA(カミロータ)』。小さなトレーラーハウスのお店でかっこいい。あとはカフェじゃないけど、長野県茅野市のベーカリー『カルパ』のカンパーニュも大好き。元々スケーターの子がやっていて、お店の雰囲気がいいしパンもおいしいです。

Q36. 友人の家を訪ねるときの手土産の定番は?

庭のミモザの木を切って持っていくくらいかな。いつも手ぶらで行こうとするから、妻に「なにか買っていかないとダメだよ。そういうのが常識なんだよ」とよく怒られている(笑)。以前は成城のパン屋さんのラスクをよく買っていたんだけど、コロナ禍でお店がなくなってしまいました。あれが僕の唯一の定番だったんだけどね。

Q37. つい集めてしまうもの、ずっと集めているものは?

やっぱり山の道具と釣りの道具。道具の背景にストーリーがあると、すぐ欲しくなっちゃう。例えばフライ・フィッシングのリールで、釣りのリールとして初めて「MoMA」に収蔵されたものがあって。釣り好きの工業プロダクトデザイナーが趣味でデザインしたらしいと聞いて、欲しくなってとりあえず買っちゃった。年に1回くらいしか使わないんだけどね。今はフリマをするタイミングもないから、どんどん集まっちゃってます。

Q38. お気に入りの旅先と現地での過ごし方は?

セカンドハウスを買った八ヶ岳。周りのお店も好きだし、登山もハイキングもできるし。娘と岩登りをするのが好きだから、(長野県川上村の)廻り目平で岩登りして、レタスを買って帰る、みたいな過ごし方をしています。ソフトクリームも食べたりね。調布から2時間ぐらいで行けるから、ちょうどいい距離です。

Q39. 旅に欠かさず持っていく便利なものは?

骨伝導のヘッドホン。旅先でジョギングするとき、骨伝導なら耳を塞がないから松田聖子を聴きながら走っていても危なくない。以前だったら『地球の歩き方』を持っていくところだったけど、今は色々変わってきましたね。

Q40. シティボーイにぜひ行ってもらいたい海外のお店やスポットは?

ニューヨークやサンフランシスコの野球場に行ってホットドッグを食べるのは、なんだかすごくシティボーイっぽい。球場で食べるあの感じがね。
あと、サンフランシスコの『トラブルコーヒー』がおすすめだったんだけど、もう無いかもしれない。小さい店で、シナモンシュガートーストがすごくおいしかった。あとはアメリカのごく普通のアウトドアショップ『REI』。

Q41. 国内で好きな店を教えてください。

狛江の『STEEP GRADE SHARP CURVES』。多摩川のすぐ近くで、買い物が終わった後はそのまま川に行けます。

Q42. いいお店の条件とは?

マスターの人柄や雰囲気まで含めて、かっこいい店。あと、お店で話しかけられるのが得意じゃないから、常連になってもそんなに喋らず、いい距離感を保てる店が好き。

Q43. お気に入りの日用品は?

ジップロック。登山にもトレイルランにも海外旅行にも使えて、愛用しています。一番シンプルなジップロックが一番かっこいいと思います。

Q44. 日々のルーティンは?

ジョギング。娘のお迎えに駅まで行く時に走ることもあるし、なるべく夜も走るようにしています。一番長いときは80km走ることも。家から青梅まで行って片道40km。帰ってきて80km。お昼にスタートして夜中に帰ってくる感じです。

Q45. 走り始めたのはいつから?

日課にしたのは約3年前ですね。ついこの間も、100マイルレースという160km走る大会に出て、39時間もかかったけど完走しました。54歳のおじさんが3年間でできたから、若い子だったら多分1年もあればできる。たくさん走ると好きな食べ物を好きなだけ食べられるから、始めてよかったですね。

Q46. 逆に、やめてよかったことは?

お酒とタバコ。タバコは子どもが生まれたときに頑張ってやめました。
お酒はもともと体に合ってなくて、すぐに赤くなって拒絶反応が出ていたんです。友達と楽しく喋れるあの雰囲気は大好きなんだけど、やっぱり気持ち悪くなってしまう。次の日も二日酔いで使い物にならなくなるので、4、5年前にやめました。だんだん誘われなくなってくるけど(笑)。でもやめて良かった。体が重い感覚が無くなりました。

Q47. あなたがもっとも「東京だな」と感じる場所や時間は?

麻布十番と六本木。東京タワーも近いし。15年くらい住んでいたんだけど、当時は駅もミッドタウンもヒルズもなくて静かな住宅街でした。ビルのワンフロア全部で12万円という物件があって家賃も安かった。

Q48. お気に入りの東京の街は?

成城学園前で、豪邸巡り。見てるだけ、歩いてるだけで楽しい。そこに住むのはもう無理って分かったから、純粋に楽しめます。駅前に『津田』という定食屋があって、夜は居酒屋に変わるんだけど、ここの「とろろ丼」がおいしくって。お客さんもガヤガヤしてなくて、落ち着いています。

Q49. あなたがシティボーイだなと思う人は誰ですか?

見た目だけだったら昔のウディ・アレンだけど、実際の友達だと、平野太呂くんとか、梶雄太くん。みんな東京育ちで、仕事もしっかりしていておしゃれだし、服装にもスタイルがあって。本人は、シティボーイと呼ばれたら「やかましい」って言うと思うけど(笑)。
〈WTAPS〉の西山(徹)くんや、いとうせいこうさんも都会的でシティボーイっぽいですね。

Q50. あなたにとってシティボーイとは?

ちゃんと働いて、ちゃんとおしゃれしている人。別に高いブランドを着てなくてもいいのだけど、自分の哲学があって、スタイルがぶれない人。あとはやっぱり、都会に住んでいること。僕は田舎に拠点があるけど、山の中でのオーガニックでストイックな生活にはあんまり憧れていなくて。「シティボーイでいたい」っていつも思ってるんだよね。

2026年9月1日