トリップ
壱岐民芸品「鬼凧」。伝統を祖父母から受け継ぐ若き職人を訪ねて。
2023年9月28日
photo: Hiroshi Nakamura
text: Fuya Uto
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/09/525E480C-EE01-4BC2-8781-212DB961E084_1_201_a.jpeg)
島で唯一の民芸品があると知って以来、必ず買おうと思っていた鬼凧。その昔、鬼ヶ島と呼ばれた壱岐で百合若大臣なる御仁が、悪さをする鬼を退治した伝記が由来の縁起物だ。一家にひとつは飾っているほど親しまれているそうで、確かに、商店の入り口やマンホール蓋の絵柄に使われていたり、至るところでバンバン目に入ってきた。
いざ手に入れに行こうと目指した先は、「女嶽神社」のすぐ近くにある『鬼凧工房 平尾』。1960年頃に創業した日本でたったひとつの鬼凧工房で、現在は90歳になる平尾フクヨさんと孫の斉藤あゆみさんが2人で作っている。あゆみさんは地元の高校を卒業後、島を出て福岡で暮らしていたが初代(おじいさま)が体調を崩したことをきっかけにUターン。小さいころからよく遊んでいた思い出のものを残したいと家業を継ぎ、4年前に猛特訓の日々がスタートした。「近頃やっと形になってきた感触があり、祖父母が残してくれた鬼凧のことをみんなに知ってほしいと、一層思うようになりました」とあゆみさん。サイズは30cm〜200cmまで合計7型あり、1,000円からとかなり安い。基本は家のお守りとして飾るが、糸をつけて飛ばす熟練者もいる。グッと睨むような迫力ある顔も、旅の安全を支えてくれるに違いない!
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竹で型を作るのは師匠のフクヨさんが、絵付けは斉藤さんの担当。 -
秘伝の食紅。基本はこの4色を使って鬼の顔を描く。継ぎ足している秘伝の食紅を駆使した鬼の顔が青空によく映えると地元でも評判に。 -
先代が描いた古い鬼凧。今と顔が若干違うのも面白い。
インフォメーション
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/09/ONDAKO_054-320x480.jpg)
鬼凧工房 平尾
初節句や新築祝いなどで贈る風習がある鬼凧を、半世紀にわたって作り続けている。裏山で自生している竹を伐採、和紙への絵付けなど、全6つの工程を分担して行う。サイズによるが、大体1週間ほどで完成する(¥1,000〜40,000)。広く知ってもらうために工房見学・絵付け体験・ステッカーの物販活動も行なっている。持ち運びを考え、小さいものをゲット。
◯長崎県壱岐市芦辺町箱崎本村触536 ☎︎0920・45・0718 10:00~15:00 土日休
Official Website
https://ondako.jp/en/product/demon-kite/
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