PROMOTION

STONE ISLAND

THE ARCHIVES 1982-2019

2022年11月1日

photo: Kazuharu Igarashi
text: Kosuke Ide
2019年12月 872号初出

「テクノロジーブランド」37年の歩み。

 本誌2018年10月号「みんなのマイ・ウェイ」特集でイタリア、エミリア=ロマーニャ州ラヴァリーノにある本社工場を直撃取材、「まさしく〝マイ・ウェイ〟を走り続けてきた『カルト・ブランド』」と紹介してから約1年。直後に東京・青山に旗艦店もオープンし、ここ日本において認知も人気も急激に上昇しつつある〈ストーンアイランド〉の存在は、もはや「カルト」と聞いて想像する「少数の熱狂的支持者」みたいなイメージを遥かに凌駕している。何せ、旗艦店は世界に25店舗を数える。堂々たるメジャーブランド。とはいえもちろん、このブランドが行う一挙手一投足をも見逃すまいと、熱い視線を注いでいるコアなファンたちが世界中にいるってことにはやっぱり間違いない。そんな〈ストーンアイランド〉が今年9月、実にその37年分に及ぶアーカイブをイタリアから引っ提げてやって来た。原宿・バツアートギャラリーで行われた『STONE ISLAND SELECTED WORKS – AN ARCHIVAL EXHIBITION』は、過去の2万点に及ぶというアイテムの中から厳選された45点を展示した、通常はまずお目にかかることのできない希少な歴史的プロダクトが並ぶイベントだ。その会場で、イタリア本社からやって来たオーナー兼クリエイティブディレクター、カルロ・リヴェッティと1年ぶりの再会。相変わらずエネルギッシュなカルロに「5点ほどアイテムを選んで解説してもらえないか」と依頼すると、「難しいね、全部好きなんだよ!」と笑いながら快諾してくれた。

 しかし、このブランドの歴史の長さを考えれば、カルロの葛藤も無理はない。1982年、まだ「ストリートブランド」なんて言葉が広く使われ始める前のこと。同ブランドの創設者であり伝説的デザイナー、マッシモ・オスティが最初のコレクションで発表したのは、トラックの幌に使う生地をアウターウェアに転用した「TELA STELLA」だった(もちろん、今回のイベントでも展示されている)。モードファッションの国・イタリアに突如として現れた、独創的なウェアの革新性に最初に反応したのは、ミラノを中心に当時、増え始めたアメリカンカジュアルウェアを好む若者たち。「パニナリ」と呼ばれた彼らのムーブメントが、〈ストーンアイランド〉のスタートダッシュを支えた。その後、’80 年代後半にはイギリスの若く熱狂的なサッカーファン「カジュアルズ」に強く支持されるようにもなった。つまり、このブランドの成長とヨーロッパのユースカルチャーの間には大きな関係があったってこと。

「といっても、それは〈ストーンアイランド〉が常にそうした特定の層の人々に向けた商品を作ってきたという意味ではないんだ」

 そうした過去の歴史を物語るアーカイブを前にカルロは言う。

「40年近くもブランドをやっているから、時代ごとに色々な商品を作ってきたけれど、我々には常に一貫していることがある。それは、決して〝ショートカット〟することなく、徹底して研究し、実験を繰り返して革新的なプロダクトを作り続けること、そして、マーケットの嗜好に合わせてものづくりをしないこと。だから、年齢層でユーザーを分けるという考え方もないんだ。支持者は12歳にも、63歳にもいる。我々の目指すものづくりに、高いモチベーションを感じてくれる人たちだね。長く続けているブランドなのに今も若い人たちに人気があるので、『一体どうやったんだ?』なんて聞かれるけど、秘密はないんだ。我々がやっていることはずっと変わってないんだからね。実験を続けるその姿勢を、若い人たちが評価してくれた。それは本当に嬉しいことだよ」

 昨年、本誌が取材したとおり、イタリア本社はまさしく「研究所」と呼ぶべき、素材と加工の実験工房だ。ポリエステルにステンレススチールを混紡した電磁波を避ける素材や、感熱樹脂膜の特殊加工を施し、外気温に応じて表面の色彩が変化する素材。微小なガラス粒子を高密度にコーティングさせることで、光を反射して輝く素材。熱転写プリントからレーザー処理まで、〈ストーンアイランド〉の工房でこの37年の間に行われたあらゆる実験によって生まれたプロダクトの数々を眺めていると、それらがこのブランドの持つ変わらないスピリットの〝生き証人〟であることがはっきりと伝わってくる。これだけ長い間、コンセプトを一切ぶれさせずに貫き続けるブランドは、世界を見渡してもそうないだろう。

「我々はファッションブランドよりも、テクノロジーブランドと呼ばれるべきかもしれないね。今回のイベントのメインビジュアルに月の写真を使ったのは、僕らは〝アパレルの世界の宇宙飛行士〟みたいなものだと思っているからなんだ。〈ストーンアイランド〉の月面着陸、ってところだよ」

〈ストーンアイランド〉はここから始まった。

01/TELA STELLA
SEASON: 1982 SS MODEL: 45402

1982年、記念すべき最初のコレクションにて発表されたケープジャケット。軍用トラックに用いられるターポリン生地の研究から生まれました。表裏に特殊な樹脂顔料を染み込ませ、色のコントラストをつけたコットンキャンバス生地。「初めて試作したときは、硬くて馴染んだ風合いもなく、とても着られたものじゃなかったんだ。それで、1時間ほどストーンウォッシュ加工してみたけど、それでもダメ。諦めて洗濯機に3~4時間入れっぱなしにしておいたところ、やっと柔らかくなってくれたというわけさ」。縫製後にエンザイムウォッシュ加工を施すことで、使い込まれたオイルスキンのような風合いも生み出した。

02/TELA STELLA
SEASON: 1983 SS MODEL: 65405

01と同じ、厚みのあるコットンキャンバス生地と光を反射するリフレクティブ生地を使ったショート丈のジャケットで、表地は白、裏地はサンドカラーに染色されている。ごく少量のタバコを用いたガーメントダイがもたらすメランジ効果によって、生地の表裏を異なる濃淡に仕上げた。前身頃には金属バックルが取り付けられている。ごく初期のプロダクトにおいては、〈ストーンアイランド〉のバッジは現在のように左腕に統一されていなかったこともわかる。

03/JOCK-23
SEASON: 1983-84 AW MODEL: 75436

独特の光沢を放つ生地は、コットンキャンバス生地に厚みのあるマットなPVCコーティングを施して生まれたもの。後ろ身頃の襟部分にウールポリエステル製メランジフェルト生地、ネックラインと肩部分の裏地はコットンジャージを使用。ボタンは金型から成型したラバー素材。ガーメントダイが施された着脱式のコットンフリース製ライナーをスナップファスナーで取り付けた機能的な一着。

04/PIGMENT PRINTED REP
SEASON: 1987 SS MODEL: 45470

カジュアルでタフな質感を持つレップ織り(畝織り)のコットンヘンプ生地を使ったコート。ガーメントダイによって着色が施されている。内側のストラップとボタンで後ろ身頃にケープも取り付けた。

05/GLAZED SILK LIGHT
SEASON: 1987-88 AW MODEL: 554710

厚手で光沢感のあるPVCコーティングを施した、半透明の特殊な三裂構造ナイロン生地を使用。裏地は起毛コットンジャージ。ナイロンとコットンそれぞれのガーメントダイ技術を用いて、異なる濃淡を生み出している。

06/RASO GOMMATO BLACK COVER
SEASON: 1988 SS MODEL: 654B10

ミリタリーに起源を持つコットンサテン生地の内側に、黒色のポリウレタンをボンディング(接着)したジャケット。左右のポケット部分には金型から成型したラバーパッチを使用。折り畳み式のフードも取り付けた。縫製後に施すガーメントダイは、当時も今も変わらない〈ストーンアイランド〉を象徴する加工技術。

07/NYLON RIPSTOP COVER
SEASON: 1988-89 AW MODEL: 754503

カーキの玉虫色をしたリップストップツイルのナイロン生地で、表地を琥珀色の透明ポリウレタンフィルムでラミネート。生地そのものの色とコーティングの色が合わさり、深みのある色に仕上がっている。

08/ICE JACKET CAMOUFLAGE THERMOSENSITIVE FABRIC
SEASON: 1990 SS MODEL: 054F05

温度に応じて色が変化する、リキッドクリスタルを用いた「サーモセンシティブコーティング」を施したエポックメイキングなジャケット。カモフラージュ柄をプリントした、コットンキャンバスのリップストップツイル生地を使用。折り畳み式フードはコットンポプリン生地で、身頃と同じく温度によって色が変化。温度が下がると柄のプリントが徐々に薄くなり、ウェアと同色かつ同一の濃さに変化する。

09/GLAZED SILK LIGHT
SEASON: 1992-93 AW MODEL: 17154303

PVCコーティングを施した三裂構造のナイロン生地。単独でも着用可能な着脱式のウール製ライナーを身頃の内側に取り付けている。二重襟は、ウールファブリックと白色のポリウレタンコーティングを施した、「Raso Gommato」製。セーリングに用いられるロープワークでアウターにライナーを取り付けている。

10/NYLON MICRO RIPSTOP – COTTON JERSEY
SEASON: 1996 SS MODEL: 24156585

ヘビーコットン製のスウェット素材をベースに、ヨークとフード部分は光沢のある樹脂で加工を施したナイロン製マイクロリップストップ生地を使用。染色はガーメントダイによるもの。

11/LINO GOMMATO REVERSE COLOUR PROCESS
SEASON: 1998 SS MODEL: 28154P49

表地を透明なポリウレタンでボンディングしたブラックリネンキャンバス生地。「Stone Island」のレタリングや袖口部分の2本のストライプ、左袖のバッジはそのままに、縫製後の加工によって酸化し腐食したような色味に仕上げている。襟や前立て部分、フラップポケット、袖口、裾部分は生地が重なっているため、身頃に比べて加工による色の変化が少なくなっており、不均一な味わいが楽しめる。

12/LAMINATE – NOC 1
SEASON: 1999 SS MODEL: 30154C41

色の付いたマットな樹脂を用いてラミネート加工を施した、2枚の超軽量コットンガーゼ生地を使用。若干の伸縮性も備え、自然由来の素材でありながら防水性、防風性、そして高い通気性を備えた高機能生地となっている。内側は熱融着でシームテープを裏打ち。フードはガスマスクの形状をもとにデザインされ、射出成型で作られた「PVC NOC 1」と呼ばれるモデル。

13/PURE METAL SHELL – BRONZE
SEASON: 1999-00 AW MODEL: 331154T43

「1999 – 2000 Autumn Winter」コレクションで初めて発表された白色の刺繍を施したバッジは、生地や製作工程における先進的な研究によって誕生したウェアにのみ特別に取り付けられるもの。黒色のナイロンジャージ素材をベースに、ブロンズメッシュ100%を施したこの生地は金属の特性を持った自然由来の素材のため、酸化によって輝きが失われたり、着用していくことで表地にシワやヒビが入ることによって、一着ごとに異なる風合いが発生していく。

日本の先端テクノロジーが詰まったジャケット。

14/PURE METAL SHELL – SILVER SPRAY
SEASON: 1999-00 AW MODEL: 31154U39

真空かつ無菌環境において用いられるマイクロステンレススチールフィルムに、特許を取得した技術を応用した超軽量ポリエステル生地。「これはポリエステルだけど、半透明の素材で、こんなふうに光を通すんだよ。実はこの素材は日本の企業が作っていたもので、もともとは航空機の機内に搭載したコンピューターを電磁放射線から保護するために使用される素材だったんだ。テキスタイルのサンプルを見て魅力を感じ、それを使わせてほしいと会社と粘り強く交渉をして、やっとOKが出た。我々が5000mの反物を発注したら、先方から『一体、飛行機を何機造るつもりなんだ?』とびっくりされたんだよ(笑)」

15/MICROFELT TRANSPARENT COVER
SEASON: 2000 SS MODEL: 3215M322

ナイロンファイバーを凝固させた、紙のような見た目の超軽量フェルト生地を使用。表地に手作業でポリウレタンフィルムをラミネートし、内側にプリントされた「Stone Island」のレタリングが表から透けて見える。

16/KEVLAR®
SEASON: 2000-01 AW MODEL: 3154031

同一重量のスチールと比較して5倍以上の強度を持つケブラー®は、軽量で高い耐熱性と耐久性を備えた繊維。基本的に染色は不可能だといわれているが、水素結合したケブラー®ファイバーをナイロンメッシュにラミネートし、ポリウレタンコーティングを施すことで染色を可能とした。

17/MONOFILAMENT CAMO
SEASON: 2001-02 AW MODEL: 35154C48

生物医学やスクリーンプリントの分野において水を濾過する際に用いられるモノフィラメントナイロンを使用した、光沢のあるメッシュ生地にカモフラージュモチーフを生み出す渦巻き模様をスクリーンプリント。メンブレンを熱融着し、プリントを施した折り畳み式フードを取り付けた。ウールのライナーはセーリングに用いられるロープワークによって取り付けられている。

珍しい「転写プリント」で色付けしたニット。

18/SUBLIMATION POLY KNIT
SEASON: 2001-02 AW MODEL: 35155L59

ポリエステルの糸を身頃に編み込んだニットで、シンプルでベーシックなデザインに見えるが、最大の特長はその「色」にある。「素材そのものの色とは別に、圧力をかけてポリエステルに熱を伝える昇華技術を用いた『サブリマティック・プリンティング』という転写の技法を採用しているんだ。平らなテーブルの上に紙をのせてプリントするから、ほら、ニットの内側を見てみると色が付いていないだろう? 長年の間、染色についてもガーメントダイのみならず、さまざまなテクノロジーを試行錯誤して駆使してきた。これもまた〈ストーンアイランド〉らしいプロダクトだと思うね」

19/MONOFILAMENT-S
SEASON: 2002-03 AW MODEL: 37154316

ヘリンボーンナイロンメッシュ生地を使用。内側にはコットンモスリンを通気性と耐水性をもった黒色のメンブレンにラミネートし、白色のポリエステル製テープでシームの裏打ちを施した。ウェアの内部構造が見える、透過したデザインを採用している。裏地はポリエステル中綿入りのブラッシングコットン製キルティング。

20/
SEASON: 2002-03 AW MODEL: –

1990年代初頭、光を反射する「リフレクティブジャケット」を〈ストーンアイランド〉が世界で初めて製品化。ブランド創設20周年にあたる2002年には、光ファイバーを使用することによって光を反射するのではなくウェアそのものが発光することも可能にした。視界の悪い環境においての安全性を確保することも意図されている。

21/TYVEK® SHIELD
SEASON: 2003 SS MODEL: 38154225

135℃の高温で圧力をかけてガーメントダイを施した、2層の超軽量ポリエステルメッシュのシェル生地。裏にロゴをプリントした着脱式のタイベック®ライナーを取り付けている。

22/COMPACT
SEASON: 2003-04 AW MODEL: 39154N40

圧縮加工を施したリネンフェルト生地。目を細かくする圧縮加工は多くの場合、不純物である天然繊維の洗浄を目的として行われる。特殊な物質を加え、圧力をかけて130℃でボイル、最終工程に進んだ製品は約50%収縮し、ドライな手触りで伸縮性を持った生地に仕上がる。生地にはヴィンテージの織り機で織られたような不均等な風合いが生まれている。脇、前身頃、フード部分に取り付けられたストリングとループを締めることで体にフィットさせる機能は、ミリタリーのパイロットが着用する「耐Gスーツ」にインスピレーションを得て生まれたもの。圧縮加工された生地は製品染めと非常に相性がよく、より強く染まる。

23/POLYESTER MESH DOWN
SEASON: 2003-04 AW MODEL: 39154E36

21と同じく、高温で圧力をかけてガーメントダイを施した2層の軽量ポリエステルメッシュ製シェル生地を使用。パッチポケットはマイクロファイバー製リップストップ生地。2層になった軽量ポリエステルメッシュの間には、着脱可能なサテン織りのナイロン製ライナーが入っており、グースダウンを封入している。

24/OPAQUE NYLON TELA 30GR/DIAGONAL COVER
SEASON: 2005-06 AW MODEL: 43154C24/4315G083

わずか30g/㎡の非常に軽量な日本製ナイロンキャンバス生地。袖も重くならないようにとバッジにナイロンメッシュを使用して軽量化を図っている。軽量構造のダウンバッグに最高品質のダウンを封入。ベストはPVCカバーが裏打ちされた綾織りのナイロン製マルチポケットベスト。

25/DAVID-TC
SEASON: 2006 SS MODEL: 44154335

2006年、ブランドを代表する生地である「David」を初めて製品化。星形の断面を持つポリエステルナイロンを使用した日本製マイクロファイバーを採用し、高温で圧力をかけてガーメントダイを施した。熱が構造と手触りを大きく変化させ、インダストリアルな雰囲気が表現されている。あえて表地にシームテープを貼ることで、「David」生地の構造に由来する熱に対する反応が最大限に生かされ、独特のパッカリングが起きている。

26/OPAQUE NYLON TELA
SEASON: 2006-07 AW MODEL: 45154H24

24と同じく軽量な日本製のナイロンキャンバス生地を使用。生地そのものの軽さはもちろん、生地内側のブラックエッジによってフェザーバッグをなくすことでより軽量なダウンジャケットに仕上がった。胸部分のヨークは水平方向のキルトで覆われている。

27/DAVID-TC SUBLIMATION PRINT
SEASON: 2007 SS MODEL: 46154C44

リバーシブル仕様のジャケット。「David-TC」生地はシャモアレザーと凝固させた不織布に近い特徴を兼ね備えており、その独特の見た目と手触りも特徴。縫製後、リバーシブルの片側にダークカラーを刷り重ねている。

新旧の素材と加工を融合させたウェア。

28/PRISMATIC SILK
SEASON: 2008 SS MODEL: 4815M647

薄く光沢があり、透き通った、きめ細かいポリウレタンフィルムでラミネート加工を施した軽量な羽二重シルクを使用したジャケット。シルクファイバーは人間の肌のように湿気を軽減し、水蒸気を最大で50%吸収するたんぱく質で構成されている。「シルクはガーメントダイを施した際に最も色を吸収する生地のひとつ。そこに微粒子状ポリウレタンを重ねると、耐水性と耐風性をもたらすだけでなく、ざらりとした表面が光を反射して、メタリックな雰囲気を生む。古くからある素材と新しい技術を組み合わせたウェアなんだ」

29/TYVEK® SHIELD WITH PRINT IN AN AVALANCHE NO SINGLE SNOWFLAKE FEELS RESPONSIBLE
SEASON: 2008 SS MODEL: 4815MA68

防水性と防風性を備えた不織布フィルムであるタイベック®を、伝線防止機能が備わったナイロンメッシュの表地にラミネート。後ろ身頃はタイベック®にプリントを施した後、メッシュを貼り付けている。襟、袖口、裾にはきめ細やかなナイロンジャージのリブを使用した。

30/GRAPHITE KNIT
SEASON: 2009-10 AW MODEL: 51155MC8

グレーのメランジウールとナイロンの混紡生地による編み立て。縫製後のウェア全体に、グラファイトパウダーが浮遊した状態のポリウレタン溶液を手作業で塗布している。グラファイトは電磁放射線を遮ることに優れた物質で、溶液を吹き付けることによってウェアに適度な防水機能が備わる。

31/VENTILE® GHOST PIECE
SEASON: 2011 SS MODEL: 541543531

カモフラージュのコンセプトから生まれた「GHOST」のウェアはすべてを単色で仕上げており、バッジも単色でオールホワイトな見た目に。ベンタイル®は最高級の超長綿を使用した100%コットン生地で、コーティングもラミネート加工もされていないが、湿気や水分を含んだ際に織りの密度の高さと伸張する特性によって、風雨に対する防水性を発揮する。天然素材でありながら防水性、防風性、通気性、耐久性を兼ね備えている他、快適な肌触りを持ち合わせており、イギリス領南極基地のNATO軍のパイロットや、標高8000mを超える場所で使われている。

32/MUSSOLA PRISMATICA
SEASON: 2012 SS MODEL: 56154132

徹底した研究から生まれた「Muss ola Prismatica」は卓越したビジュアルインパクトを持った、他に類を見ない生地。光沢を持った透明な微粒子状ポリウレタンフィルムを、特殊な技術を用いてプリントした軽量のコットンモスリンにラミネート加工。特殊な二重のガーメントダイの技術によって、ポリウレタンフィルムが光を反射することで、カラーエフェクトを増進させ、生地になめらかで立体的な表情を作り出した。

33/G04XF STONE ISLAND MARINA_HEAT REACTIVE_THERMO SENSITIVE MATERIAL
SEASON: 2014 SS

温度によって色を変化させる、軽量なファインコットンキャンバス生地のベスト。色付けされたカプセルに包まれたマイクロピグメント分子が、温度上昇に伴ってウェアの濃淡と色を徐々に変化させる。「Stone Island Marina」のレタリングが施された蓄光パネルの付いたスタンドカラー部分には折り畳み式のナイロンフードを取り付けている。樹脂加工された軽量のナイロンキャンバス生地の袖は、ショルダーから着脱可能。

34/RASO HAND PAINTED TORTOISE SHELL
SEASON: 2014-15 AW MODEL: 43565

ミリタリーを起源とするコットンサテン製のフィールドジャケット。ガーメントダイ後、部分的に浸食ペーストを塗布して脱色し、脱色した部分にハンドペイントでべっ甲モチーフを描いた。徹底した人の手による工程を経ることで、いずれも世界に一着しか存在しない「一点もの」のウェアに。わずか26g/㎡の超軽量ナイロン素材、「Garment Dyed Down_26 GR X SQM_N」製の着脱可能なライナーを取り付けている。

35/RASO GOMMATO REVERSE COLOUR PROCESS
SEASON: 2015 SS MODEL: 70738

〈ストーンアイランド〉独自の技術を用いて作られた、防風性と防水性を備えた透明なカバーである「Reverse Colour Process」をボンディングした、ゴム引きのコットンサテン生地「Raso Gommato」製トレンチコート。縫製後の特別な脱色工程と、それに続くオーバーダイによって色の濃淡が表現され、ウェアごとに異なる独特の色合いが生まれている。

36/POLYPROPYLENE TELA
SEASON: 2015-16 AW MODEL: 40534

アンチドロップ加工を施し、最高品質のダウンを封入したポリプロピレン製パーカ。抗菌素材のポリプロピレンは最も軽量な人工繊維で、ボリュームのある見た目に反して驚くほど軽量。糸にペーストで染色を施すことで、コットンのようにマットな見た目を実現している。袖口には着脱可能なフリース素材のハーフグローブを取り付け、フードにも着脱可能なバラクラバを取り付けている。

37/POLY COVER COMPOSITE + POLY FUR SILVER DETACHABLE LINING
SEASON: 2015-16 AW MODEL: 491Y1

耐水性と防風性を備えた、マットで透明な2種類の成分に由来するポリエステルフィルム「Poly Cover Composite」を使用したフード付きジャケット。表地をシルバーでコーティングした、人工毛皮のポリファー製フード付きの脱着式ライナーを取り付けている。

38/POLYPROPYLENE DENIM
SEASON: 2016-17 AW MODEL: 42334

青色のポリプロピレンのヨコ糸とインディゴ染めコットンのタテ糸で織り出した、ポリプロピレンデニム製のフード付きジャケット。重量が劇的に軽量化されたデニム生地に、手作業による研磨と、酵素を加えた軽いストーンウォッシュによる「DARK」加工を施した。プリマロフト®を重ねた着脱可能なナイロン製ライナーを取り付けることで優れた保温性を備えている。

39/TELA NYLON DOWN WITH DUST COLOUR FROST FINISH
SEASON: 2017-18 AW MODEL: 70253

ウルトラハンマード仕上げの軽量な高密度ナイロン製ダウンパーカ。「Dust Colour Frost Finish」加工を施し、一着一着が風合いの異なる霜降りのような見た目に仕上げている。フードの内側には着脱可能なウールフェルトのライナーを取り付けた。

サーモ技術を初めてニットに応用。

40/ICE KNIT CREW NECK
SEASON: 2017-18 AW MODEL: 547B4

ダブルニットのクルーネックニットは、温度の低下に従って異なった色へと変化する特殊な感熱糸を表地に使用している。「ニットにスプレーで色をつけてみるよ! ニットの生地が赤く染まったけど、そこに手を当てると、色が元に戻るんだ。1990年代中盤からこうしたサーモ技術を開発していたけれど、それをニットに応用することは難しかった。編み機が繊維を伸ばしてしまうので、加工がうまく反映されないんだ。だけど、日本の企業と新しいマシンを開発して、2つの編み機を組み合わせて表と裏を同時に編んでいく手法で、あまり引っ張らずに編んでいく技術を可能にした。それでこのニットが生まれたんだ。実現するのに、3年ほどかかっているんだよ」

41/GARMENT DYED PIXEL REFLECTIVE
SEASON: 2016 SS MODEL: 45546

光を反射するピクセルリフレクティブ生地のロング丈ボンバージャケット。〈ストーンアイランド〉の研究成果がリフレクティブ生地にガーメントダイを施すことを可能に。玉虫色をした「NYLON METAL」生地に微小ガラス粒子を無数に含有する樹脂成分をプリントしている。

独自の技術を詰め込んだ先鋭的一着。

42/LASERING ON LIQUID REFLECTIVE BASE
SEASON: 2016-17 AW MODEL: PROTOTYPE RESEARCH_SERIES 01

一点一点に無数の細かいガラスビーズを塗布し、レーザー加工を施した、光を強く反射するリフレクティブ生地のロング丈アノラックパーカ。縫製後にレジンベースの顔料を手作業で塗布し、オーブンドライを施して定着させる。その後、洗いと乾燥を経て、グラフィックモチーフを身頃にレーザープリントしている。「反射する素材、熱転写、レーザー処理。一着のジャケットにこれだけの技術が注ぎ込まれていて、しかも職人による手作業の仕上げ。『プロトタイプ・リサーチ』のシリーズはまさしく先鋭的な試行錯誤によるもので、ビジネス的な面は度外視していると言えるくらいだ。だけど、こうした実験こそが、我々のものづくりを支えるバックボーンになっているんだよ」

43/GARMENT DYED DYNEEMA®
SEASON: 2017 SS MODEL: PROTOTYPE RESEARCH_SERIES 02

44/EXTREME COMPACTING PROCESS ON NYLON BASE
SEASON: 2018 SS MODEL: PROTOTYPE RESEARCH_SERIES 03

こちらも「プロトタイプ・リサーチ」シリーズのひとつで、異なる重量、構成、収縮率のポリアミドベースのキャンバス生地4種をミックスして作られた生地。収縮と圧縮を起こす複雑な染色加工を縫製後に施す。加工に対する反応が素材ごとに異なるため、独特な手触りと見た目に仕上がる。

45/MANUAL FLOCKING ON NYLON METAL GRID-OVD
SEASON: 2019 SS MODEL: PROTOTYPE RESEARCH_SERIES 04

「プロトタイプ・リサーチ」シリーズとして開発された、アイコニックな玉虫色の生地「NYLON METAL」製のフィッシュテイルパーカ。縫製後に高い専門性を有する職人によって、前衛的なフロック加工(短繊維の植毛)が施されている。2度にわたる染色工程を経ることで、ナイロンとコットンフロックのコントラストが引き立っている。

インフォメーション

ストーンアイランド

◯東京都港区南青山5-5-4 ☎︎03・6427・6148 11:00~20:00 無休

Official Website
https://www.stoneisland.com/