冷やし中華、始めてる?Vol.1
Hiyashi-Chuka for City Boys
2022.07.25(Mon)
photo: Kazuharu Igarashi, Megumi Uchiyama, Kunihiro Fukumori
text: Yuichi Samejima, Ryoko Iino, Toyofumi Makino
edit: Asuka Ochi
2015年8月 820号初出
暑い夏。冷やし中華くらいしか食べる気にならない日がある。
なのにまだ、近所の中華屋では始まってなかったりしてさ。遅いよ!
夏を繰り返すうちにいつしか、あの青い貼り紙を心待ちにするようになった。
なぜか夏にしか食べられない、落ち着く味の冷やし中華。
今年は何回食べられるかなー。
水道橋/北京亭の冷やし中華

バンバンチー麺、カニ冷やし麺、野菜冷やし麺、冷やし担々麺も。冷やし中華¥900
店には吉永小百合をはじめ、往年の名優や政治家のサインが、と聞くと緊張する店のように思えるけど『北京亭』は違う。近所のサラリーマンや東京ドーム帰りの客がふらっと寄って一杯引っ掛けたり、子連れでゆっくり食事を楽しんだりする人もいる。昭和の雰囲気が残る店内で早い時間からビールを飲む人を見ていると、まるで時間が止まったかのようで、少しだけ夏の暑さを忘れられる。ここには冷やし麺が8種類もある。具だくさんの正統派冷やし中華から、麺が隠れるまで大きなアワビを敷き詰めたアワビ冷やし麺まで! 冷やし中華の次は、何を食べに来ようか。
銀座/共楽の冷やし中華

1956年創業の『共楽』は、編集部からもすぐのご近所さん。2代目のご主人とイケメンと噂の息子さんが昔ながらの味を守る。何しろ古いお客さんも多いからと、店内の券売機で券を買うのはお母さんの仕事。「いつものでいいの?」なんて常連さんとのやりとりが、いつ来ても変わらず温かい。醤油味の中華そばはよく懐かしい味と称されるがそれだけじゃない。チャーシューとキュウリに黒ゴマを散らしたシンプルな冷やしも、ごまかしがないっていうか。1000軒以上で冷やし中華を食べた林家正蔵さんも絶賛したほど。サクッとおやつ感覚だけど大盛りにもできるからね!
神楽坂/龍朋の冷やし中華

全メニュー持ち帰りもできる。神楽坂駅からすぐ。冷やし中華¥950
まずはドーンと厚切りの錦糸卵に目を奪われるが、その下には、店名物のチャーハンにも入っているトロトロチャーシューが惜しげもなく隠されている! パンチのある冷やし中華は、硬麺で汁多め。食べ進めるうちに麺が伸び伸びになったり、味が薄まったりする心配もない。どこか中華屋っぽくない店のレトロ感もまたよくて、それはここが’70年代には普通のオフィスとして使われていたからだろう。常連さんは冷やし中華と一緒に温かいスープを頼むみたいだ。今度行ったら真似してみたい。