Tetsuhiro Hattori
プロフィール
服部哲弘
YAECA デザイナー
はっとり・てつひろ|1971年、神奈川県出身。2002年に〈ヤエカ〉をスタート。近年は25年に故・坂本龍一氏のプロジェクト「坂本図書」を体験できるスペース「坂本ヤエカ」を『YAECA HOME STORE』(白金)内にオープン。現在は岩手県遠野市で新しいプロジェクトを進行中。
Q1. シティボーイと聞いて最初にイメージする服やものは?
いきなり難しい質問ですね。服のイメージは正直あまり湧かなくて、なんとなく思い浮かんだのはAirPods。あれを耳に着けているところをイメージしました。音楽につながる行為だからなのか。いつも何かとつながっているというか。とにかく、服うんぬんということではない気がします。
Q2. あなたのワードローブに欠かせないシャツは?
基本的に、冬以外はほぼ白シャツです。それも自分たちで作ったもの(〈YAECA〉のコンフォートシャツ)で、季節によって生地感が違うくらいで、形はほとんど同じ。どれもコットンなのですが、夏場は涼しい生地のもの、ちょっと寒くなってきたら、しっかり打ち込んだ密度が高い生地のものを着ています。
半袖はあまり着ないですね。若いころは着ていたんですけど、今はなんだか恥ずかしいというか、苦手で(笑)。いつも長袖のシャツで、夏は袖をまくって着ています。
Q3. シャツの袖はどのようにまくりますか?
コンフォートシャツは袖をまくることを想定してカフスの幅を作っていて、実際に、だいたいその幅の分でまくっています。まくる回数は2〜4回で、そのときによりますけど。袖をまくるのが特に好きというわけでもないのですが、服が手首にかかるのがあまり好きではなくて。ニットでも、どうしても袖をまくっちゃいますね。
Q4. コンフォートシャツの両脇のスラッシュポケットはどう使いますか?
身の回りの小物を入れていて、今は主に老眼鏡かな(笑)。そのままポケットにシュッと入れています。他にはスマホとか、小さいものだったら、わりと適当に。普段、バッグもほとんど持ち歩かないので、小さな財布を入れることもあります。
Q5. あなたのワードローブに欠かせないジーンズは?
ジーンズはずっと穿いていないです。もう何年穿いてないだろう、っていうくらい。でも、好きなことは好きで、若いころはよく穿いていました。〈リーバイス〉501の“66”モデル、505、519あたりです。結構、色落ちしているものが多かったかもしれない。グランジに影響を受けた世代なので、穴が空いているようなジーンズもありました(笑)。
僕の場合、こうして髪を長くしているのは、ラクだからなんですよ。美容室で髪を切るのも嫌いだし。あらためて考えてみると、現在の自分の年齢で、この長髪でジーンズを穿くのもどうなんだろう…という、抵抗があるのかも。
ジーンズそのものは、最初のシーズンから作っていますし、メンズのワードローブとして絶対に必要なものだと思っているんですけどね。
Q6. あなたのワードローブに欠かせないパンツと言えば?
チノパンですね。“41カーキ”をはじめとして、軍モノの古着に見られるような、本当にオーセンティックなチノクロスのパンツ。色も、基本的にカーキかベージュしか穿かない。そういうチノパンが、白シャツには一番なんてことなく合って、ちょうどいいんですよね。他に穿くとしたら、コットンのイージーパンツみたいなものくらいかな。
Q7 あなたのワードローブに欠かせないシューズは?
これもずっと変わらず、〈ビルケンシュトック〉の“ボストン”が定番。それもソフトフットベッドという、より柔らかいインソールのタイプが最高です。もう何足も履いてきましたけど、色はだいたいブラウンかブラック、スエードでも何色か。飽きることがないし、とにかく、ラクなのが一番好きなので。最近また流行っているみたいですけど、そういうのも全然気にしない(笑)。
スニーカーは昔から〈ニューバランス〉を履いていて、990、991、993、2020といったモデルをローテーションさせているような感じ。ブラックでもネイビーでもなく、グレーばかり履いています。〈YAECA〉を始めたころから履いているから、もう25年くらいになると思います。
Q8. あなたのワードローブに欠かせないソックスは?
ソックスは5本指のタイプです。5本指で色が服に合えば、いろいろ買ってみます。ずいぶん前になるのですが、僕は体調を崩していたことがあって、それ以来ずっと履いています。自分にとっては、体調管理の一環みたいなところで。どこか、気持ちの問題でもあるのかもしれないですけど。
Q9. あなたのワードローブに欠かせないアンダーウェアは?
体を締めつけられるのがすごく苦手なので、自分たちでつくっているもの(〈YAECA CONTEMPO〉のボクサーショーツ)しか穿いてないです。それも白しか穿かない(笑)。オーガニックの落ち綿を混ぜた単糸で編んだ天竺なので、とても柔らかくて。上半身も、同じような風合いの白いTシャツです。
結局、糸は染めないほうが柔らかいんですよね。自分たちの作っている服では、最近、漂白しないことも多くて。自然により近い糸を使っているほうが、肌触りもいいなと思います。
Q10. 夏のワードローブに欠かせないアイテムは?
これも白シャツになります。140番手くらいの双糸を使ったブロード生地のものが多いですね。
足もとは〈ビルケンシュトック〉の“ビルバオ”というモデル。形は“アリゾナ”に似ているんですけど、医療機関などで働く人たちに向けたプロユースのサンダルで、ソールがぐにゃっと、めちゃくちゃよく曲がって履きやすい。この“ビルバオ”か、やっぱり“ボストン”か、その2択ですね。夏は帽子をかぶっている人も多いですけど、僕はかぶらないです。
Q11. 冬のワードローブに欠かせないアイテムは?
冬はカシミヤのニットです。しかも、軽いものがいいので、双糸ではなく単糸で編んだもの。〈YAECA〉でも単糸をよく使うのですが、どうしても扱いが難しくて、編んでいくと斜行して、よじれてしまいやすいんですよ。ニッターさんが本当に上手じゃないと、うまく成形できない。そういう面はあるものの、カシミヤならではの風合いも生きてくるし、とにかく軽いので、単糸のほうが僕は好みです。イタリア製の高価なニットなどは、ほとんど双糸を使っていると思いますけどね。ニットの色はグレーか、濃いグレーか。ネイビーも持ってはいるけど、グレーばかり着ています。
アウターは基本的にダウンしか着ない。何といっても、軽くて暖かいので。コートは肩が凝ってしまうから苦手で…。もう何年も、ずっと〈パタゴニア〉のダウンを着ています。今着ているのは、おそらく一番高いグレードのものだと思いますけど、4年くらい前に買ったのかな。なんとなく、くたびれてきたなと感じたら、ショップを覗きに行って新しいダウンを買う、というのを繰り返しています。色は、ブラックの一択。柔らかい着心地のものが好きですね。
Q12. いつもハンカチを持ち歩いていますか?
ハンカチは持ったり、持たなかったり、いろいろですけど、最近は持ち歩かないことが多いかな。水の付いた手などを一度拭いたハンカチを、その後また使うのが苦手で。お風呂で使ったタオルも、すぐ洗濯機に入れちゃいます。洗わずに、干してからまた使ったりするのもイヤなんですよ。そこは潔癖ぽいかもしれない。だから、外出先でも、そこにあるペーパータオルやペーパーナプキンを使うことが多いです。
Q13. フォーマルな場での身だしなみで大切にしていることは?
僕は、フォーマルな場でもノータイです。タイドアップはせず、足もとも変わらず〈ニューバランス〉か〈ビルケンシュトック〉。結婚式に主席する場合でも、黒のタキシードに、白いシャツでノータイ、足もとは〈ニューバランス〉のグレーのスニーカーで991とか993とか。
昔から、ずっとそんな感じです。色数を抑えて、胸にポケットチーフシャツを入れたり、襟などのつくりがきれいなシャツを合わせたりするので、別にタイはいらないかなと。堅苦しいのが、どうしても苦手なんでしょうね(笑)。
Q14. ファッションアイテムの中で、お金のかけがいがあるものは?
フォーマルなもの、ということになるのかな。革靴、ジャケット、スーツとか。僕自身は、あまり服にお金をかけるほうではないので、想像の限りになってしまいますけど。腕時計なども、自分はまったく着けませんが、いいかもしれないですね。
Q15. 雨の日の外出に欠かせないものは? 外出しないとしたら何をしますか?
傘くらいですよね。僕はあまり傘をささないほうですけど、開くときも閉じるときもワンプッシュでできる、〈Knirps〉というメーカーの折りたたみの傘をずっと使っています。
雨の日は、考えごとをするくらいですかね(笑)。結構、好きですよ。晴れていると仕事をしていても、ソワソワして、出かけたくなったりするので。雨が降っていると、少し気持ちが落ち着くというか、いろいろとあきらめがついて、ちょうどよかったりします。
Q16. 衣服のメンテナンスについて、特に大切にしていることや方法は?
この質問は、僕に聞いても……という感じなんですけど。洗濯した服は、丁寧にシワをとってから干しています。洗濯物を干すこと自体がわりと好きで、白いものばかりを揃えて並べるとか、色や形で分けて、きれいに干すようにしていますね。
それと、僕は服が異常なくらい少ないので、クローゼットが混まなくて、シワになりにくい。…それぐらいしか、思いつきませんでした(笑)。特に何か気をつけていることもなくて、セーターでもネットに入れて洗っちゃいます。
サンダルのソールを張り替えたりはしますけど、服に関しては、直しながら着続けるというより、とにかく限界まで着られるだけ着て、さすがにもう無理だと思ったら処分するようにしています。
Q17. あなたのワードローブの考え方に影響を与えた本は?
本そのものは、思いつかなかったんですけど。僕は、ファッション誌を作っている裏方、たとえばスタイリストやエディター、フォトグラファーといった人たちが着ている服を見続けてきました。
スタイリストだったら、たとえば、ジョー・マッケナの普段着のようなものです。ボタンダウンのシャツに、〈リーバイス〉のUKモデルの501なのかなと予想するブラックデニム、〈ニューバランス〉で900番台のグレーのスニーカー、寒い季節にはさらにVネックのブラックのニットといった出で立ちで、いつもほとんど変わらない。そういう着方がすごく好きで、僕にとっては手本のようなものかもしれない。
ファッション業界以外でも、小津安二郎やスティーブ・ジョブズなどにも、通じるところがあるように思います。常に同じような格好をしている人に、才能を感じてしまうというか。そういう人を、カッコいいと思ってしまうんですよね。
Q18. お洒落は何のためにするのでしょうか?
僕自身は、誰かに見せたくて服を着るというタイプではないし、自己満足するために服を着ているわけでもないです。多分…ですけど、お洒落をするというのは、その場、その場で、敬意を払うような行為なんじゃないかなと思います。たとえば、清潔な装いを心がけるのも、自分が快適ということもあるけれど、会う人に対してのマナーなのかなと。
Q19. お気に入りの旅先と、現地での過ごし方は?
旅は、あまりしないですね。とにかく飛行機が苦手で、海外に行ったのは10代と20代のころで、アメリカに2回だけ。1回目は、ネイティブのジュエリーを求めてニューメキシコまで行きました。当時は並行輸入ものにも興味があったので、アウトレットのようなところを巡りに行ったのが2回目。自分が海外で見た景色は、それだけです(笑)。そのあとは仕事を始めてしまって、ずっと余裕もなかったので。
国内旅行もそんなに行く機会は多くなくて、行ったとしても、現地ではせいぜい散歩をするくらい。息子が小さいうちにもう少し出かけてみようかなと、最近は思っています。
Q20. 旅に欠かさず持っていく便利なものは?
たまに持っていくのは、お茶漬け。大森にある「守半海苔店」ののり茶漬けで、個包装になっているんですけど、のりが本当にたくさん入っていて。ご飯にかけてお茶かお湯を注いで、梅干しやわさびを加えても、そのままでも、めちゃくちゃおいしい。小さいから邪魔にもならないし、おすすめです。
Q21. あなたがもっとも「東京だな」と感じる場所や時間は?
これは悩みますけど…、隅田川の近く、特に勝鬨橋の周りで、しかも時間帯としては夜かな。抜けのいい眺めが広がっていて、橋を歩いて渡るのもいいですよね。あの辺りの、夜の景色に「東京」を感じます。
Q22. お気に入りの美術館や博物館は?
「日本民藝館」は、展示物そのものも、建物のあり方も、一番いいなと思います。現代美術などになると、僕には意味のわからないところが多くて。
Q23. お気に入りの書店は?
書店にはめっきり行かなくなってしまったのですが、昔は、神保町近くの「源喜堂書店」によく通っていました。アートやクラフトを扱った本が充実していたので、いろいろと探しに。中目黒にあった「アートバード・ブックス」にも入り浸っていましたね。20代前半くらいまでは、そういう古書店に本当によく行っていました。
最近、盛岡によく行っているんですけど、「BOOKNERD」は面白かったです。久々に書店で買い物をしました。
Q24. お気に入りの飲食店は?
前に住んでいたところから近かったのは、幡ヶ谷の駅ビルの地下街にある「チャイナハウス 龍口酒家」。薬膳系の中華なんですが、ここはすごくおいしい。風邪をひきそうなときにも、ここの料理を食べると、体がポッポと温まってきます。笹塚の「洋食屋マック」も、めちゃくちゃおいしいですね。素敵なご夫婦で切り盛りされていて、今どきこの値段で?と驚くほど頑張っていて、本当に助かる(笑)。
この家に引っ越してきてからは、近所の店をそんなに開拓できていないのですが、九品仏にあるそば屋の「おまた」は、とてもおいしい。ご主人と女将さんのお人柄も含めて、僕は大好きなお店です。
Q25. シティボーイのための、とっておきの旅先を教えてください。
僕の両親の実家があるということもあり、最近、岩手県の遠野によく行っていて、古い民家を改修しているんですよ。どこか寂れた感があって、不思議なムードの土地だなと思っていたけれど、やっぱりいい風景で、行けば行くほど、よさがわかってくる。秋のお祭りでは、伝統的な「しし踊り」も見応えがあって。一度、遠野を旅してみるといいと思います。
Q26. いいお店の条件はどういうものだと思いますか?
清潔であること。控えめな接客で、無駄に声をかけてこないこと。そこで働いている人が優しいこと。そんなところになるのかな。
Q27. いい街の条件は何だと思いますか?
古いものが好きなので、昔の街並みが残っている場所には惹かれますね。それと、川が流れている街も好きです。僕は11歳まで遠野に住んでいたのですが、家の近くに川が流れていました。だからなのか、なぜか川のある風景が好きで。同じ岩手でも盛岡のほうに行くと、北上川とか中津川とか、いい川が流れているんですよ。個人的には、もう東京を離れたいくらいなんですけど…。息子がまだ小さいので、悩みどころです。
Q28. あなたの好きな移動手段や乗り物は?
歩くことと、タクシーに乗ることです。歩くのが一番いいと思うんですけど、以前住んでいた家の周辺は、散歩したくなるような雰囲気ではなくなってしまって、それがちょっと残念でした。ちなみに、僕は自動車の免許を持っていなくて。教習所に2回通ったんですけど、途中でどうしても飽きてしまってダメでした(笑)。
奥さんが運転する車にも乗せてもらうのですが、道順には詳しいので、細かく指示をしてしまいがちでイヤがられています。
Q29. シティボーイが初めて車を手に入れるとしたら、何をお勧めしますか?
昔から、車を見るのは好きなんですよ。これはやっぱり、ヴィンテージのヨーロッパ車じゃないかな。僕も18歳のときに、免許を取ったらBMWの“2002”を絶対買おうと思っていました。でも結局、免許が取れなかった(笑)。
Q30. 日常的に親しんでいるスポーツはありますか?
特にないです。以前はずっと、ストレッチをやり続けていたんですけど、子供が産まれてからは、なかなか出来なくなってしまいました。自転車も乗っていないのですが、1台くらい買ってもいいかもしれないですね。
Q31. お気に入りのラジオ番組やポッドキャストのチャンネル、ウェブサイトは?
ラジオは聴いていないし、ポッドキャストって何?っていうくらい、僕はわかっていなくて。若いころは、はっぴいえんどが大好きだったから、彼らが聴いていたというFENをラジオでずっと流していたことはありますけど。最近はまったく聴いていなくて、面白い番組があったら教えてもらいたいです。
決まったウェブサイトをチェックすることもないし、インスタやSNSを見ることもないですね。そういうのを見始めると、ずっと気になってしまって、キリがなくなるので、こちらからはアクセスしないようにしています。
Q32. 心地のよい住空間をつくるために、重視すべきことを教えてください。
やっぱり、日当たりですね。この家に引っ越してきたのも、そこが大きくて、しかも庭があるのがよかった。木の枝や葉が、風に揺れているのを見るだけで、どこか安心するというか。緑が多い環境に惹かれます。
室内の作り方に関しては、そんなに考えたことがないんですけど。ここは、もともと建築家のご夫婦が設計して住んでいた家で、本などを収納する棚が、至るところにたくさんありました。僕自身はそんなにたくさん本を持っていないので、長年にわたって買い集めてきた古物など、好きなものをそこに並べています。室内の空間そのものは、仕切りがなるべく少ないほうが好きかもしれません。
Q33. シティボーイが家具やインテリアを買うときに心がけるとよいことは?
流行りのものを選ばないで、なるべく、トラディショナルなものやスタンダードなものを選ぶこと。現代的なライフスタイルであっても、自分の帰る場所や住空間は、どこかクラシックなしつらえでいいんじゃないかなと思います。
実際に、この家に置いているのも、シェーカーのチェアや収納家具など、長年ずっと使い続けているものが多くて。あらためて室内を見渡してみると、色数も少ないですね。
Q34. 住空間にある植物について教えてください。
家の中には、ひとつも置いていないですね。たまに、いただいたお花を生けるくらいで。植物は、もっぱら庭で楽しんでいます。もともと、この庭に植えられていた柿、すもも、ざくろ、タイサンボク、ヒマラヤ杉、ケヤキなどはそのまま生かして、洋梨、レモン、ブルーベリー、ハーブ系といった食べられるものを多めに増やしました。
Q35. 日常的に使っている香水やルームフレグランスは?
これはずっと〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉の“ジェルソミーノ(ジャスミン)”。修道院を思わせるような香りで、長く残らず、すっと消えるところも好きです。他には、アルメニアペーパーもよく使いますね。古い建物をリノベーションして使う場合、どうしても、いろんな匂いが残っているので、これを焚きたくなります。
Q36. 起床してすぐすることや朝食などのルーティンは?
まずは、深呼吸をしっかりするようにしています。朝はどうしても時間がないのですが、これはずっと続けています。それと、白湯を飲むことですね。いつもは、子供を送り出したあとで、奥さんと軽く食事を済ませてから仕事を始めています。
Q37. コーヒーやお茶をおいしく飲むための秘訣を教えてください。
鉄瓶でお湯を沸かすことかな。日中はコーヒーで、夕方以降はお茶をよく飲みます。コーヒー豆に関しては、鎌倉によく行くようになってからは、「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」で買わせてもらっています。うちの洋菓子店(「サヴール」)で扱っている「オオヤコーヒ焙煎所」のブレンドもよく飲みますね。
お茶だったら、緑茶はもちろん、紅茶やハーブティーなど、結構なんでも。煮出した温かい麦茶もおいしくて、よく飲んでいます。
Q38. グルーミングで愛用している道具は?
どこのメーカーのものかもわからないのですが、小さなハサミがあって。どうやら糸切りハサミらしいんですけど(笑)。切れ味が抜群で、ちょっとヒゲを整えたりするのに、ちょうどよくて使っています。それくらいで、グルーミングと言っても、ほとんど気にしていないですね。
Q39. 愛用しているペンとノートは?
デザイン的には、〈パーカー〉の小ぶりなボールペン(ジョッター)が昔からすごく気に入っています。服の絵型を描くときに使っているのは、〈ステッドラー〉の製図用シャープペン。これも何年も使い続けていますね。今でも手書きで、うまくはないんですけど。
ノートは、奥さんからもらった〈エルメス〉のくるっと丸めるタイプのものを大事にしています。大事にしすぎて、何を書いていいのかわからず、実際に使う機会はあまりないのですが。日常的に書く紙に関しては、ほとんどこだわりがありません。
Q40. ずっと買い続けている、シティボーイにもおすすめしたい日用品や食品は?
僕はピーナッツバターがめちゃくちゃ好きなんですよ。〈アリサン〉というメーカーで、オーガニックのピーナッツを使った瓶入りのものがあって。パンケーキも大好きで、そのピーナッツバターをたっぷり塗って、さらにハチミツもかけて食べています。かなり甘党なので、ここぞとばかり(笑)。
Q41. 小腹を満たしたいときは、家で何を作りますか?
料理はほとんどしないです。奥さんが結構、料理が上手だから、余計にやらなくなったのかな。どうしても食べたかったら、やっぱりお茶漬けとか、バナナとか。そこにあるものを食べるくらい。でも、だいたいは、面倒だから食べなくてもいいやと思ってしまいますね。
Q42. 寝る前のルーティンはある?
足の裏を、グリグリと入念にマッサージしています。道具は使わず、握りこぶしを強く押し込むようにして、両足で10〜15分くらい。最初はすごく痛いんですけど、だんだん気持ちよくなってきて。これを行うと、すっきり眠れる。なんとなく、体調が悪くなりにくい気もします。押してみて、とくに痛みを感じる足ツボがあると、体の中のどこが弱っているかもわかるようになってきました。
じつは、〈YAECA〉を始めようとしたころに体調をかなり崩してしまって、そのときに足ツボのマッサージを、初めて自分で試してみました。それ以来、20年以上は続けていて。5本指ソックスも、同じ時期からずっと履いています。
Q43. よく使う絵文字を3つ挙げるとしたら?
絵文字は使ったことないです。全然使わないですね。
Q44. 友人の家を訪ねるときの手土産は?
田園調布駅の近くにある「パテ屋」でパテを買ったり、「ヤマナカヤ果物店」でフルーツポンチを買ったりすることが多いかな。お店が空いている時間が限られているのですが、「有明家」の佃煮もすごくおいしくて、買えるとうれしい。なかでも、僕は甘く煮たウグイス豆が一番好きです。「醍醐」の巻き寿司を買っていくこともありますね。
Q45. 週末に欠かさず行うことは?
だいたい、親子でちょっと寝坊します。たまに、息子がかなり早く起きちゃうことがあるんですけど、そういうときにも「もうすこし寝ようよ」って(笑)。
Q46. つい集まってしまうもの、ずっと集めているものは?
これは古物と石くらい。古物にしても作家ものを集めたりしているわけではないので、他の人から見たら、よくわからないようなものばかりかも(笑)。民芸の魅力を知ってから、特にこの10年くらいは、日本も含めて東洋で作られた古物の家具や器を買い続けています。
それ以前は西洋のものが好きだったけれど、イギリスの古い工芸品などにも日本の民芸の要素が含まれていたりするので、すっと入っていけたような気がしますね。
Q47. やめてよかったことや習慣は?
タバコでしょうね。繰り返しになるのですが、一時期、僕は本当に体調が悪くて、29歳のときにやめました。それまでは、めちゃくちゃヘビースモーカーで。あのとき、あそこまで体調が悪かったから、やめられたのだと思います。
Q48. あなたの生活様式に大きな影響を与えた本、映画、音楽などは?
吉村順三の『建築は詩』や、ジョージ・ナカシマの『木のこころ』など。どこか日本人的な考え方で、通じるところがあるように思えて、しっくりくるんですよ。他には、アフリカの民族が作った古い工芸品や土器などを紹介した本とか。もちろん、ファッション関連の本もそれなりに見てきましたが、やっぱり、何かしらの用途があって、使うために作られたモノに惹かれるところがある。自分が服などを作ろうとするときに、心の中に置いているのも、そういうモノを見ることで得た何かなのかもしれないですね。
映画はとくに思いつきませんでした。観ると面白いんですけど、なぜか、その世界にぐっと入り込めないというクセがあって、それほど積極的に観ていないです。音楽に関しては、ビル・エヴァンス、キース・ジャレット、ジェフ・パーカーといったジャズ系のものを最近は聴いています。
Q49. シティボーイとは、どのような振る舞いをする人のことだと思いますか?
これはすごく難しいですけど……、間のいい人ですかね。会話をしているときの間とか、帰り際の間とか。間の取り方の上手な人って、素敵なんじゃないかな。
Q50. あなたがシティボーイだと思うのは誰ですか?
ぱっと思いついたのは、伊丹十三。多才でいろいろなことができて、色っぽいところもあるけれど下品ではない。どこか軽やか、でもあると思います。
2026年6月16日
interview & text: Yasuyuki Takase