朝早く起きたら見る。
自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート @町田市立国際版画美術館

町田の穴場スポット・町田市立国際版画美術館で開催中の「自然という書物」展。こちらは15世紀から19世紀までの西洋のナチュラルヒストリー(自然誌/博物学)とアート(美術/技芸)のつながりに注目し、人間が表してきた自然のすがた・かたちを紹介する展覧会となっている。活字・版画などの印刷技術が果たしてきた役割を確認するとともに、自然の図解に用いられた美術の表現手法も見逃せないポイント。幻想・空想の動物への自由な表現や精緻な植物図解など、先人たちの記述・描写にかける情熱にびっくりすること間違いなし。会期も後半で、展示替えならぬページ替えが行われているので、一度行った人もぜひ!
『ソングの哲学』を読む。

ボブ・ディラン (著) 、佐藤良明(訳)
つい先日、とんでもなく凄まじい日本公演を終えたばかりの“生ける伝説“ボブ・ディランが、『自伝』以来18年ぶりの著書を発表。スティーヴン・フォスターからエルヴィス・コステロまで66人のミュージシャンの楽曲の解説を通して、ポップソングの真髄に迫る。内容も表紙もヤバい! 岩波書店/¥4,180
ラテンアメリカの民衆芸術 @国立民族学博物館 特別展示館

北はメキシコ、南はアルゼンチンまで。「ラテンアメリカの民衆芸術」では、豊かな先住民文化や、流入してきたキリスト教文化、そしてそれらを受け入れ融合し、発展してきた独自の芸術様式を一望できる。その造形や配色のセンスに「かわいい!」という感想で消費してしまいそうになるが、そこに秘められた搾取構造や暴力への批判的な視線・精神性を映し出す展示にはハッとさせられるものがある。生活に身近なアートだからこそ、暮らしの問題そのものを映し出す鏡として芸術が機能している。そう、ここにあるのはあくまで「Arte Popular(アルテ・ポプラル)」と彼らが呼ぶ世界そのものなのだ!
ダムタイプ|2022: remap@アーティゾン美術館

1984年に京都市立芸術大学の学生を中心に結成され、日本のアート・コレクティブの先駆け的存在であるダムタイプ。そのメンバーは流動的で、本展では新たなメンバーとして坂本龍一を迎え、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展・日本館展示で発表されたダムタイプの新作《2022》を再構築。《2022: remap》として日本初公開する。コロナ禍の影響で無料配信されたことも話題だった代表作《S/N》(1994)では、シグナル(S)とノイズ(N)の関係性と社会が直面する諸問題の表現が切実に描き出されていたように、身体とテクノロジーの関係を独自な方法で舞台作品やインスタレーションに織り込んできた彼女/彼らであるが、音を聴くことを探求し、「アウターナショナル」として世界に接続してきた坂本龍一がここに(コラボレーションやフィーチャリングではなく)”加わる”ことの意味を考えながら鑑賞したい。