
60年代初頭、ジャン=リュック・ゴダールとドキュメンタリストのD・A・ペネベイカーが、アメリカを舞台にした作品を共同制作する企画が持ち上がる。一度は頓挫したこの企画が復活したのは1968年のこと。ブラックパンサー党のエルドリッジ・クレヴァーにインタビューしたり、当時の政治的な空気感が存分に伝わる場面をフィルムに収めたものの、ゴダールは完成せずに再び放棄してしまう。本作は残されたフィルムを用いて、ペネベイカーらが完成させたもの。ゴダールの演出ぶりがわかるシーンを始め貴重なシーンがてんこ盛りなのだが、一番驚いたのはゴダールの英語の達者さ。いつかのカンヌ映画祭の記者会見で、英語で話す記者に「美しい母国語があるのに英語を使わないでください」と苦言を呈していた彼だったが……本当に食えないお方だ。4月22日より公開。