こちらの記事もあわせてどうぞ。
『いま、映画をつくるということ 日本映画の担い手たちとの21の対話』を読む。

是枝裕和、土田環他(編)
早稲田大学の人気講義「マスターズ・オブ・シネマ」がまさかの書籍化。毎回映画界の第一線で活躍するゲストを招き、様々なテーマについて語るという内容なのだが、そのゲストがすごい。黒沢清、青山真治、周防正行、三宅唱、芦澤明子、丸山昇一などなど。彼ら彼女らが語るリアルな声には、目からウロコが落ちまくること請け合いだ。なんだったら人生に役立つアドバイスもあったりするので、映画界を目指す人もそうじゃない人もぜひご一読を。/フィルムアート社
『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』アレクサンドレ・コベリゼ(監)を観る。

ジョージアの新生、アレクサンドレ・コベリゼ監督が手掛けた本作はマジでとんでもない。1組の男女が出会い、デートの約束をするも、当日の朝目覚めると運命のいたずらで2人とも別人に変わってしまって会えなくて……という話を聞けば、「ラブコメみたいだなぁ」と思うかもしれない。しかし、風のせせらぎや奥行きを巧みに使った、まるで絵画のごとくキマりまくったショットの波状攻撃には、視線を釘付けされちゃうこと間違いなし。多くは語らないでおくけど、サッカー好きも必見。4月7日より公開。
「アルベルト・ジャコメッティ」展 @エスパス ルイ・ヴィトン大阪

© Succession Alberto Giacometti/Adagp, Paris 2022.
© Fondation Louis Vuitton/Marc Domage
Fondation Louis Vuitton, Paris
アルベルト・ジャコメッティ(1901〜1966)は、彫刻家ながら過去にはスイス・フランの紙幣にも描かれ、もはや”偉人”といっても差し支えない存在だ。ヒョロっとした人体の造形が特徴的で、実際に鑑賞すると、人間そのものに向き合ったストイックな表現に圧倒されること間違いなし。今にも折れそうなほど細い”線”から、生々しく強い生命力を感じられるのが不思議だ。しかし、ジャコメッティ本人はあくまで自分が「見えた」世界を再現しているんだとか。その姿勢は実存主義で有名な哲学者・ジャン=ポール・サルトル(1905〜1980)も絶賛するところだ。ともかく、まずは会場でじっくり見てほしい。極度に削ぎ落とされたその彫刻からは、作品を形容する言葉すらも邪魔になるほどのパワーが放たれているのだ!
インフォメーション
「アルベルト・ジャコメッティ」展
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
会期:2023年2月23日(木)~2023年6月25日(日)
時間:12:00〜20:00
休み:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる。
料金:無料