『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』アレクサンドレ・コベリゼ(監)を観る。

ジョージアの新生、アレクサンドレ・コベリゼ監督が手掛けた本作はマジでとんでもない。1組の男女が出会い、デートの約束をするも、当日の朝目覚めると運命のいたずらで2人とも別人に変わってしまって会えなくて……という話を聞けば、「ラブコメみたいだなぁ」と思うかもしれない。しかし、風のせせらぎや奥行きを巧みに使った、まるで絵画のごとくキマりまくったショットの波状攻撃には、視線を釘付けされちゃうこと間違いなし。多くは語らないでおくけど、サッカー好きも必見。4月7日より公開。
『アメリカへようこそ』を読む。

マシュー・ベイカー(著)、田内 志文(訳)
なんて爽やかなカバー! とページをめくって驚いた。なんせ「幽霊語」の辞書編纂者だったり、「女王陛下」と揶揄される少女だったり、奇想天外な者たちが大挙するかなり攻めた作品集なんだから。しかし、どうやらこれらの物語を通して、現代のアメリカの暗部に肉迫しようとしていることはひしひし伝わってくる。カバーに騙されてよかった! ¥2,750/KADOKAWA
水谷太郎「淼/びょう」@隙間

Hender Schemeによる「物々交換」をコンセプトとしたオルタナティブスペース「隙間」にて、写真家・水谷太郎の個展「淼/びょう」を開催中。会場では、水谷氏が2022年冬のドイツ・ベルリンで撮影した未発表の新作を展示する。その作品はまるで印象派の絵画のようで、画面を媒介として、どこか違う場所へと誘ってくれるような不思議な印象を受ける。メディア(=媒介)としての写真の姿に迫った作品群。ぜひとも実際に足を運んで鑑賞したい。
会期:2023年4月8日(土) 〜16日(日)
時間:12:00~19:00
会場:隙間 東京都台東区蔵前3-11-2 1F
「アルベルト・ジャコメッティ」展 @エスパス ルイ・ヴィトン大阪

© Succession Alberto Giacometti/Adagp, Paris 2022.
© Fondation Louis Vuitton/Marc Domage
Fondation Louis Vuitton, Paris
アルベルト・ジャコメッティ(1901〜1966)は、彫刻家ながら過去にはスイス・フランの紙幣にも描かれ、もはや”偉人”といっても差し支えない存在だ。ヒョロっとした人体の造形が特徴的で、実際に鑑賞すると、人間そのものに向き合ったストイックな表現に圧倒されること間違いなし。今にも折れそうなほど細い”線”から、生々しく強い生命力を感じられるのが不思議だ。しかし、ジャコメッティ本人はあくまで自分が「見えた」世界を再現しているんだとか。その姿勢は実存主義で有名な哲学者・ジャン=ポール・サルトル(1905〜1980)も絶賛するところだ。ともかく、まずは会場でじっくり見てほしい。極度に削ぎ落とされたその彫刻からは、作品を形容する言葉すらも邪魔になるほどのパワーが放たれているのだ!
インフォメーション
「アルベルト・ジャコメッティ」展
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
会期:2023年2月23日(木)~2023年6月25日(日)
時間:12:00〜20:00
休み:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる。
料金:無料