『その輝きを僕は知らない』を読む。

ブランドン テイラー(著)、関麻衣子(訳)
1989年生まれの作家によるデビュー作。主人公は名門大学で生物化学の博士課程を目指す院生のウォレスだ。南部出身の黒人でゲイでもある彼の人生が、ある夏、白人の同級生と出会ったことをきっかけに動き出す。映画『君の名前で僕を呼んで』を彷彿とさせるこのエモい青春小説は、ラッパーのキッド・カディが映画化を進めているという噂。ぜひ実現しますように。¥3,630/早川書房
『トリとロキタ』ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(監)を観る。

ベルギーを代表する社会派映画監督コンビの新作は、アフリカからベルギーに流れ着き、姉弟と偽りながら暮らす少女ロキタと少年トリを通して、移民問題にフォーカスを当てる。ビザがなく正規の職にありつけないロキタは、偽造パスポートと引き換えに、大麻栽培を強いられるのだが、その栽培所の姿があまりにもそれっぽくて驚いた(見たことはないけど)。リアリズムの真骨頂、ここにあり。3月31日(金)より公開。
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IMAGRATION@Gallery COMMON x Each Modern

表参道に居を構えるギャラリー・Gallery COMMONにて、台湾のギャラリー・Each Modernとの協働による展覧会「IMAGRATION」が開催される。この展覧会は東京と台北の2つの場所で開催される交流展となっていて、それぞれのギャラリーがキュレーションした現代アーティストによる作品が展示されている。Gallery COMMONではLan Chung-Hsuanのキュレーションによって原宿の「リミックス」文化からインスピレーションを得た展示となっており、5人のアーティスト(チャン・ティントン、アントン・ケンスト、フェリックス・トレッドウェル、ツェン・チェンイン、ウー・メイチー)が紹介されている。台北のEach Modernでは4月6日から開催予定で、Gallery COMMONのキュレーションによる5人の日本人アーティスト(IKEUCHI、西祐佳里、多田圭佑、Shohei Takasaki、山本和真)の展覧会が開催される。文化の垣根を越えたコラボレーションを見逃すな!
Gallery COMMON x Each Modern「IMAGRATION」
会期:2023年3月25日(土)~4月23日(日)
時間::12:00-19:00 (水~日) *月、火 休廊
「アルベルト・ジャコメッティ」展 @エスパス ルイ・ヴィトン大阪

© Succession Alberto Giacometti/Adagp, Paris 2022.
© Fondation Louis Vuitton/Marc Domage
Fondation Louis Vuitton, Paris
アルベルト・ジャコメッティ(1901〜1966)は、彫刻家ながら過去にはスイス・フランの紙幣にも描かれ、もはや”偉人”といっても差し支えない存在だ。ヒョロっとした人体の造形が特徴的で、実際に鑑賞すると、人間そのものに向き合ったストイックな表現に圧倒されること間違いなし。今にも折れそうなほど細い”線”から、生々しく強い生命力を感じられるのが不思議だ。しかし、ジャコメッティ本人はあくまで自分が「見えた」世界を再現しているんだとか。その姿勢は実存主義で有名な哲学者・ジャン=ポール・サルトル(1905〜1980)も絶賛するところだ。ともかく、まずは会場でじっくり見てほしい。極度に削ぎ落とされたその彫刻からは、作品を形容する言葉すらも邪魔になるほどのパワーが放たれているのだ!
インフォメーション
「アルベルト・ジャコメッティ」展
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
会期:2023年2月23日(木)~2023年6月25日(日)
時間:12:00〜20:00
休み:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる。
料金:無料
レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才 @東京都美術館

「クリムトかエゴン・シーレか」。映画『アデル、ブルーは熱い色』で、おしゃれピープルたちがこんな会話を繰り広げる場面があった。シーレとクリムトは同じオーストリア出身で同時代の画家でも、どちらを選ぶかでその人の性格がちょっとわかるくらいに対照的であるということだ。映画の言葉を借りるなら、クリムトは「華やかで装飾的」なのに対してシーレは「暗くて黒い」。これだとシーレに良い印象を抱かないかもしれないが、実のところシーレはクリムト(彼の師匠)に「才能がありすぎる」と言わしめた稀代の天才画家なのであるから要チェック。18歳以下は入場無料。2月9日(木)までは大学生・専門学生も無料と、若者の財布にも優しい展示になっている。しかしまあ作品の影響力が強いから良い意味で要注意だ!
会場:東京都美術館
会期:2023年1月26日(木)〜4月9日(日)(※会期等は変更になる場合がございます)
時間:9:30〜17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休み:月曜日
会場:東京都美術館(東京・上野公園)〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
料金:一般 2,200円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 65歳以上 1,500円
※本展は、展示室内の混雑を避けるため、日時指定予約制となっております。
※詳細は公式HPにて。